真夏日メモリー
原作と少々違うところもありますが、別の世界線(?)としてお楽しみください!
『ピピピピ』
目覚ましの音が聞こえる。
……あれ?
目を開ける。
見慣れた天井。
見慣れた机。
見慣れたカーテン。
「……?」
寝ぼけているのか。
昨日の夢を思い出す。
長い夢だった。
妙に現実感のある夢。
誰かがいた。
大切な誰かが。
でも──
顔が思い出せない。
名前も。
声も。
ただ、胸の奥だけが痛かった。
「なんだよ……これ。」
時計を見る。
2003年7月1日。
「……2003?」
一瞬、意味が分からなかった。
そして。
『ピピピピ』
目覚ましが鳴る。
「……」
夢の中と同じ音。
夢の中と同じ時間。
偶然だ。
そう思いたかった。
「二度寝しよ……」
布団に潜り込む。
その瞬間。
「起きろォォォ!」
「うわぁぁぁ!」
布団が吹き飛ぶ。
そこには。
幼馴染がいた。
「もう!何回起こされれば起きるの!」
「……」
声。
聞いたことがある。
いや。
毎日聞いているはずなのに。
なぜか。
ずっと探していたような気がした。
「……どうしたの?」
「いや。」
言葉が出ない。
目の前にいる。
確かにいる。
なのに。
頭の奥で誰かが叫んでいる。
違う。
この子は──
「……死んだ?」
「え?」
しまった。
口に出していた。
「何それ。朝から怖いんだけど。」
「いや、なんでもない。」
笑ってごまかす。
でも。
胸の奥に残る違和感は消えない。
昨日見た夢。
知らないはずの記憶。
失ったはずの何か。
---
学校への道。
幼馴染はいつも通り歩いている。
「今日、雨降るかな?」
「なんで?」
「なんとなく。」
空を見る。
晴れている。
なのに。
なぜか嫌な予感がした。
この景色を知っている。
この会話を知っている。
でも。
どこで?
いつ?
「ねぇ。」
幼馴染が振り返る。
「何?」
「……いや。」
言えない。
怖い。
もし聞いてしまったら。
もし確かめてしまったら。
何かが壊れる気がした。
---
その日の帰り道。
バスの中。
俺は窓の外を眺めていた。
隣では、幼馴染がくだらない話をしている。
笑っている。
生きている。
それだけで安心した。
──なのに。
突然。
大きな音が響いた。
悲鳴。
揺れる車内。
何が起きたのか分からない。
ただ。
手を伸ばした。
隣にいるはずの存在へ。
「逃げろ!」
届かない。
届かなかった。
まただ。
また失う。
「嫌だ。」
「嫌だ……!」
暗闇が迫る。
最後に聞こえたのは。
あいつの声だった。
「またね。」
---
『ガコンッ』
お楽しみいただけたでしょうか?
正直、改稿版作るの大変でした…
なので次の話も、どうぞお楽しみください!




