滅びゆくエレクトリック・ファイター
前回に書いたエピソードの続報を、少しだけ書いておこうと思います。
滅びゆくエレクトリック・ファイター。
どんなタイトルやねん! という感じですが。まぁちょっぴり危なかったよ、というお話です。まぁ常に綱渡りみたいな危なげな働き方はしていますけども。
前回の「27年問題と言われている事柄」についての連載追加に加えて、さらに追加エピソードを書くことにした理由は、僕が書くまでもないかもしれませんが、その後の様子をせっかくなので書いておこうと思ったからです。
簡単に言いますと、来年高くなるから今年のうちに無理してでもエアコンを買わないといけないということはないですよ、ということをお伝えしました。
僕がエッセイを書いてから変わった、というわけではないですが、やはり世論であったりメディアも、報道の仕方を変えてきましたね。
そこまでエアコン買い替えを気にしすぎる必要はない。
値上がりの幅も多少はあるが気にする程ではない。
まぁ全て後付けみたいな言い方でしたが、まぁそれでもないよりはいいでしょう。それがエアコンを焦って買おうとする人達のブレーキになるのであれば。
ちなみにそれからもエアコンは前年大幅増の売上げになっており、その中で中東情勢の影響、ナフサ不足も相まって、商品の在庫不足や、工事部材不足が取り沙汰されていました。
もちろん地域によって需要も違うと思うので全国一律ではないと思いますけどね。
僕がその後に主に注力したのは、
◯本当に必要な方に買っていただくようにお願いする
◯待てそうな方はなるべく待っていただく
このあたりの二点です。
え、君ってエアコンを販売する仕事だよね? 買いたいって言ってるのに、売らないって、どうかしてるの?
ええ、ええ、そうでしょう。
僕はちょっとアホなので。
でもね、よく考えてみてください。
そうやって、自分の売上げとか、数字や、評価ばかりを気にして、販売を続けていったとします。
まぁ僕一人がどうあがこうが与えることができる影響は微々たるものですけども。
でも、必要もないエアコン、潰れてもないエアコンも煽られて買う方がすんごく増えたらどうなると思いますか。
エアコンが品切れを起こす、先ほど言ったように工事部材も不足していく。
その結果、エアコンが潰れて買いたいと思っているお客さんが、エアコンを買えない。買ったとしてもすぐ取り付けできない状況になるということが起きてきますね。
家に何台かエアコンが付いている家ならまだなんとか凌げるかもしれません。
でも、一家に一台きりのエアコンなら?
それが潰れたままで、暑くて死んでしまったらどうするんですか?
めちゃくちゃ極端な話にはなりますが、そういうことを考えることができない人が多すぎる。
自分の損得しか考えない人が多すぎる。
だから、僕は売らない、というわけではなくて、真実をきちんと伝えるんです。
あるメーカーはこう言いました。この勢いでどんどん数字を上げてトップシェアを狙うんや!!
来年どうせ売れなくなるんやから、今のうちに売っといたらいいんや!!
はい、アホですね。
そんなことで一時的に実績があがったところで、そんな数字はなんにもならない。
しかも、値段の安さだけを求めて買った商品が、もし性能があまり良くなかったら、逆にそんな商品に憎しみさえ湧いてくるかもしれない。
まぁまぁそういうなんやかんやが、ここ一ヶ月と少しの間ありました。
さて、以前にお話をしたかもしれませんが、僕は四ヶ月の間に具体的な数字は伏せておきますが、何百台というエアコンの実績を上げなければクビという、まぁまぁ厳しめのノルマがあります。
そして、先ほど言っていたような仕事をしていたら、もちろんですが、あまり実績は上がりませんね。
まぁそれはそれでいいかーと、気楽には構えてはいたんですが。
「真面目に仕事せーよ、このボンクラ!」
「休み削ってでも出勤して数字あげろ! このクソ野郎!」
多少誇張していますが、まぁこんな心にもないようなことを言う外野もいるんですよね。
そんな人間は、自分が置かれている恵まれた環境に感謝をすることもなく、ただ文句を言うことしかしません。
もちろん、そんなことを言うやつは、自分の仕事自体に、たいした信念も持っていません。ただの欲得のために仕事をしているからです。仕方なく働いているだけだからです。
まぁ、そんな人達を相手していても仕方ないです。あ、たまには厳しめに叱りもしましたけどね。
この夏で、僕のエレクトリック・ファイター人生も終わりかもしれない……とちょっぴり本気で考えてはいました。
でも、そういう時って、何かわからないような力が働く時があるみたいです。
ほぼほぼ絶望的と思われていたノルマが、この数日で一気に減りました。
え、ノルマって勝手に減るもんなの??
いや、ノルマが減ったのではなく、僕が働いている店舗の皆様が、僕のメーカーのエアコン販売を助けてくれたのです。
まぁ正確に言いますと、まだノルマクリアはしていないのですが、おそらくクリア可能という範囲までは来ました。
もちろんそれをよく思わないライバルメーカーの方もいますが。
ただし、僕が今しているようなメーカーの派遣の販売の仕事は、どちらにしても長くは続かないかもしれません。
それは近い将来か、はたまた少し先の未来か。
それはわかりませんが。
でも、今はもう少しだけ僕はこの仕事に携わることができそうです。
みなさんの暮らしが少しでも豊かに、幸せになりますように。




