スコッパーに自分の作品を発掘してもらう方法
生成AIで執筆した作品が、この「小説家になろう」でもたくさん投稿されるようになってきたみたいですね。
読者としては別にAI作品でも面白ければいいんですけど、作者さまは嫌ですよね。
特に、自分の力で一生懸命作品を執筆している作者さま。大量のAI作品がものすごいスピードで投稿された結果、自分の作品が隅に追いやられて、読まれるチャンスを失うなんて……悔しいだろうなあ。
そこで、ふと思いました。
スコッパーに自分の作品を発掘してもらいたいと願っている作者さまもいるんじゃないかな、と。
あ、「スコッパーって何?」という人のために、一応説明をしておきますね。
スコッパーというのは、大量の作品の中から自分の好みに合う作品を発掘する人のことです。
そんなスコッパーと呼ばれる人たちは、自分の好みに合いそうと思えばポイント関係なく作品を読むし、好みに刺さればお気に入り作品として他の人たちにその作品を紹介することもあります。
さて、実は私もスコッパー活動を楽しんでいる読者のひとりです。読んだ作品は1000作品以上。
自分がスコッパーだからこそ、どうやったらスコッパーに読んでもらえるのかがわかります。
というわけで、「スコッパーに自分の作品を発掘してもらうために何をすればいいのか」をスコッパー目線でまとめてみることにしました。
長くなっちゃったので、さっさと結論を知りたい方は『まとめ』というところまで飛ばしてくださいね。
*
スコッパーに自分の作品を発掘してもらうために何をすればいいのか。
答えは簡単。
『スコッパーの好みに合う作品を投稿すること』
これだけです。
とはいえ、この情報だけでは何の役にも立たないと思うので、もう少し詳しく書いていきますね。
まず、スコッパーが作品を発掘する過程を見てみましょう。
私の場合、女性向けの恋愛作品が好きなので、女性向けのコンテストに応募されている作品から探しています。2025年の冬から2026年の春にかけての期間は「第2回Ruhuna小説大賞」と「第8回アイリス異世界ファンタジー大賞」の応募作品を読んで、その中からお気に入り作品を発掘していました。
すべての応募作品を読むのは無理なので、読みたい条件を決めて作品を絞り込みます。
8万~20万字の完結作品。除外ワードは「悪役令嬢」「婚約破棄」「乙女ゲーム」「ざまあ/ざまぁ」「悲恋」。BL、GLも除外。ジャンルは異世界恋愛、現実恋愛、ハイファンタジー、ローファンタジー。
読みたい条件で絞り込んで検索したあと、さらに既読作品も除外します。
ここまで絞り込んで、初めてタイトルとあらすじを確認します。
タイトルとあらすじを見て、女性向けでない作品や自分が苦手な要素を含む作品を除外。
そこからは、実際に本文を読んで判断していきます。
読みにくかったり、キャラがどうしても好きになれなかったり、退屈な展開ばかりだったり――読む気が失せた段階で読むのをやめます。
こうして最後まで読めた作品の中から、最終的に「これはおすすめ!」と紹介できるレベルの作品をピックアップ。
これで、発掘作業終了となります。
さて。
発掘する過程を見たらすぐにわかりますが、スコッパーは最初に読みたい条件で検索をかけています。
参考までに、私が読みたい条件に合う作品がどれくらいの割合で存在したかを計算してみました。
ルフナの応募総数1489作品のうち、読みたい条件に合ったのは333作品。つまり22.4%。
アイリスの応募総数5260作品のうち、読みたい条件に合ったのは259作品。つまり4.9%。
あら大変。8~9割の作品は、読みたい条件に合っていないという理由で除外しちゃってますね。
このことから、「スコッパーの読みたい条件に合わせた作品を投稿すること」が最も重要というのがわかります。スコッパーの読みたい条件に合わない作品は、タイトルやあらすじを読んでもらうことすらできません。
もちろんスコッパーによって読みたい条件は違います。
女性向けの恋愛ものが好きという人もいれば、男性向けのファンタジーが好きという人もいる。ポイント関係なく読むという人もいれば、100pt未満の作品は読まないという人もいる。完結作品しか読まないという人もいれば、連載中でも面白ければ読むという人もいる。
スコッパーに自分の作品を見つけてもらいたいなら、まず「このスコッパーさんに読んでもらいたい!」というのを一人だけ決めましょう。そして、そのスコッパーさんが読みたいと思う条件を満たした作品を投稿するのが一番の近道です。
スコッパーにタイトルとあらすじを確認してもらえるところまで来ても、油断をしてはいけません。
スコッパーが苦手とする要素が入っていたり、面白くなさそうと思われたりすると、本文まで読み進めてもらえないからです。
参考までに、実際に私がタイトルとあらすじを確認したうえで本文まで読み進めた作品が、どれくらいの割合で存在したかを計算してみました。
ルフナでは217作品中121作品。つまり55.8%。
アイリスでは84作品中35作品。つまり41.7%。
わあ、5割くらいの作品は、タイトルとあらすじを見ただけで本文を読むのを諦めてますね。
このことから、「スコッパーが興味を持つタイトルとあらすじにすること」が大事だとわかります。
どんなタイトルとあらすじに興味を持つか――これも、スコッパーによって変わります。チート展開が好きな人もいれば、嫌いな人もいる。ダークな雰囲気が好きな人もいれば、ほのぼのした雰囲気が好きな人もいる。
だからこそ「このスコッパーさんに読んでもらいたい!」というのを明確に決めたうえで、そのスコッパーさんが好きそうな感じのタイトルとあらすじにしましょう。
そのスコッパーさんが苦手とする要素は絶対に入れないようにすること。「○○なし」とか書くのもダメ。あっという間に除外されてしまいます。
本文まで読み進めてもらえても、まだまだ気を抜いてはいけません。
読む気が失せると、スコッパーはあっさりと作品から離脱するからです。
参考までに、私が最後まで読むことができた作品がどれくらい存在したかを計算してみました。
ルフナとアイリス合わせて、156作品中68作品。つまり43.6%。
なんということでしょう。物語の最後までたどり着くのは4割程度のようです。
しかも、ほとんどの作品は序盤(20000字程度まで)で離脱しています。タイトルとあらすじで興味は持ったけど、本文を見たら「なんか違う……」と感じてしまったことが原因でした。
このことから、「スコッパーの期待に応える序盤にすること」が大事だとわかります。
これもスコッパーによって許容範囲が違うので、とにかくスコッパーの好みに合わせてください。
ちなみに、私がどんな理由で離脱したかを書いておきます。
ランキング形式で3位から1位まで発表しますね。
離脱した理由ランキング、第3位――「文章の基本ルールが守れていない」。
離脱した88作品中59作品が該当していました。
基本ルールを守れない作者さまって、そもそも読書量や作品研究が不足しているんですよね。だから、文章が読みにくい。良質な書籍をたくさん読んで、書き方を研究することをおすすめします。
離脱した理由ランキング、第2位――「物語の目的・主人公の目的がよくわからない」、「テンポが悪い。不要なエピソードが多すぎる」。
離脱した88作品中63作品が該当していました。
プロットを練らずに、勢いだけで書き始めたらこうなりがち。序盤でしっかりと物語の方向性を明示して、必要ないエピソードは削りましょう。
離脱した理由ランキング、第1位――「キャラにリアリティがない」。
離脱した88作品中75作品が該当していました。
具体的には「言動の矛盾がある」「完璧すぎる」「作者さまの操り人形にしか見えない」「主人公がヒーローに好かれる理由が謎」「無個性」などですね。要するに、このキャラには共感・納得できないなあ、と思っちゃったらアウト。
キャラにリアリティがないお話は、子どものおままごとやお人形遊びを見ているような気分になります。
子ども向けのお話ならそれでもいいけれど、恋愛ものではやめてほしい。
ちゃんとキャラに命を吹き込んでください。血が通った人間にしてください。
最後まで読んでもらえても、スコッパーのお気に入り作品として発掘してもらうのは至難の業。
参考までに、私が最後まで読んだうえでお気に入り作品として選び出した作品が、どのくらいの割合で存在したかを計算してみました。
68作品中11作品。つまり16.2%。
なんと、最後まで読んでも2割ほどしか残らない……!
もう、この領域まで来ると、スコッパーの好みと作者さまの好みが一致してないと無理ですね。
だからこそ、スコッパー選びは慎重に。
できるだけ自分の好みと近い感覚を持ったスコッパーさんを選ぶようにしましょう。
スコッパー目線で見ると、100作品並んでいても気に入る作品は1作品あるかどうかという世界です。実際にルフナの応募作品1489作品の中から私が気に入ったのは、9作品でした。そう考えると、作者さまが自由に書いた作品がスコッパーに気に入ってもらえる確率は1%くらいになるのかな。
いや、そもそも女性向けのコンテストの応募作品ではない作品を除外したところからスタートしているので、それを考慮すると1%未満になりますね。
1%未満。
作者さまとスコッパーの好みが偶然一致しないかぎり、スコッパーに発掘されることはまずないと言っていい数値だと思われます。
これはもう、自分の作品を発掘されたいのなら、スコッパーの好みに合わせて書く方がどう考えても早い。
つまり、スコッパーに自分の作品を発掘してもらうために何をすればいいのか。
答えは簡単。
『スコッパーの好みに合う作品を投稿すること』
これだけです。
はじめに書いたとおりの結論に辿り着きました。
そもそも作品を執筆するなら、そして読まれたいと思うなら、「自分の作品を読んでほしい層」を考えるのは必須です。
マーケティングの世界では、この「読んでほしい層」のことをターゲットと呼び、さらにペルソナ(persona)というものを考えるそうです。
ペルソナとは、商品の典型的な、ただ一人のユーザー像のこと。名前や年齢、職業、趣味、家族構成、将来の夢、生活習慣など、具体的に設定します。
そして、そのペルソナに刺さる作品を書けばいい。そうすれば、ペルソナだけでなく、ペルソナに近い人たちにも刺さります。
でも、ペルソナ設定って難しいし、面倒くさい。
だから、実在するスコッパーをペルソナにしちゃえばいいのです。
スコッパーをペルソナにして書いた作品は、たとえそのスコッパー本人に見つけてもらえなかったとしても無駄にはなりません。そのスコッパーと好みの近い誰かに、きっと刺さるから。
*
『まとめ』
スコッパーに自分の作品を発掘してもらうために何をすればいいのか。
その答えは、『スコッパーの好みに合う作品を投稿すること』です。
具体的に、また重要な順番で言うと、この3点になります。
①スコッパーの読みたい条件に合わせた作品を投稿すること。
(ジャンル、文字数、総合ポイント、完結しているかどうか、など)
②スコッパーが興味を持つタイトルとあらすじにすること。
(スコッパーが好きな要素を入れる、苦手な要素は避ける、など)
③スコッパーの期待に応える序盤にすること。
(スコッパーが嫌うタイプの主人公にしない、序盤で物語の方向性を明示する、など)
スコッパーによって好みや許容範囲は違うので、まずは「このスコッパーさんに読んでもらいたい!」というのを一人だけ決めましょう。
できるだけ自分の好みと近い感覚を持ったスコッパーを選ぶのがおすすめです。
そのスコッパーに刺さる小説を書けば、きっとそのスコッパーは発掘してくれます。運悪く、そのスコッパー本人に気付いてもらえなかったとしても、そのスコッパーと好みが近い読者には必ず刺さります。
作者のみなさま。
「自分の作品を読んでほしい層」を明確にしていますか?
誰でも読めますと謳っている作品ほど、結局は誰の心にも刺さりません。
この人に読んでもらいたい――そういう思いを込めて、物語を書くようにしてみてくださいね。
《参考文献》
中村 航 『これさえ知っておけば、小説は簡単に書けます。』 祥伝社新書 2023年
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女性向けの恋愛ものを執筆している作者さまへ。
「このスコッパーさんに読んでもらいたい!」というスコッパーに、うさぎ妖精を選んでみませんか?
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