その男、キンちゃん
前回は家電量販店とは?
僕の販売士としての心構えなどを語った。
ついに、友人登場??
あ、もちろんはじめから友人ではないです。
さぁさぁ、前回は家電量販店とはなんぞや?そのあと、販売士としての僕の考えなどを書いたけども…
ついに、友人登場!!
まぁはじめから友人だったわけではないけども。僕が営業仕事をクビになったあとに、派遣された兵庫県の店舗で1年くらい経ったころのことかな。例のサイコパス先輩が旅立ったあとの、その後任としてエアコンのメーカーヘルパーとして、やってきた人がいた。
「僕、接客嫌いなんですよ!あまりしゃべりたくないんで!」
なんだこいつ〜〜!!
あとでわかったことだが、僕より6つほど年上のこの人は、なかなかのくせ者だった。なんだかくせ者しかいないよな。
仮でキンちゃんと呼ぶことにしよう。このキンちゃんは、なんかつかみどころがなく、かといって嫌なところがあるわけでもなく、その時エアコンコーナーにはもう一人他メーカーのヘルパーがいたが、その人、僕、キンちゃんの3人で売り場に立っていた。
前回のエピソードで書いたように、接客業においてなかなか本来の仕事をきちんとこなせる人は限られている。僕がちゃんとできているかと言うと、僕も長くしてはいるが、まだまだ未熟である。できていないこともたくさんある。
「エアコンの台数なんてね。どうでもいいんですよ!というか、自分のことしか考えないやつばかりだから、家電量販店はお客さん離れていってるんですよ!」
キンちゃんは、仕事をあまりしない。その割にめちゃくちゃ文句を言う。ただ、言っていることは、僕が思っていたこと、考えていたこととすごく似ていたのだ。
あと、仕事とは少し違う話なんだけど、僕は長らく健康診断に行ってなかった。健康診断は義務付けられていると思うのだが、僕が所属している派遣会社は自己申告というか、自分が行きたかったら勝手に予約して、あとで基本料金だけ振り込むので、というスタイル。
僕はその面倒くささもあって、20年以上健康診断を受けていなかった。
その話をキンちゃんとしていたら、
「健康診断は絶対うけたほうがいいですよ!僕も何回か死にかけたんで!」
え、ほんまかい。まぁでも、そんだけ言うなら受けるか…
というわけで、何十年ぶりかの健康診断を受ける。結果はというと…まぁあまり詳しくはいいませんが、心臓とか、胃とか、眼とか、あとなんかわからんとこがダメでした。
で、医師の診察の時に言われたのが
「タバコやめたほうがいいよ、あと酒も」
あ、やっぱりね…僕はタバコは吸ったり吸わなかったりだったんだけど、たぶんやめようと思ったらやめれるというくらいだったのだ。2日で一箱くらいかな?
んで、やめた。酒は毎日なかなかの量を飲んでいたんだけども、毎日はやめた。月に2回くらい飲むくらいかな、飲んでも。
まず、それでびっくりするくらい身体が楽になった。
「そりゃそうですよ!体に毒いれてるようなもんなんだから、それを取らなかったら楽になるに決まってるじゃないですか!」
と、キンちゃん。んで、このキンちゃんテレビ大好きなのと、後々知ることになるが、めちゃくちゃ競馬が好き。
「いくとこまで行ったらんかい!!」
これが口ぐせ。え、それってカタギじゃないよね。なんだか任侠先輩の片鱗を感じてしまう僕。
まぁそれはいいんだけど、身体が楽になったのに加えて、健康志向に目覚めた僕は、毎日歩くようになる。
職場への通勤は電車&バスで1時間40分くらいなのだが、徒歩を加えて、およそ2時間半くらいで通勤する。どうするかと言うと、最寄り駅より2〜3駅先から電車に乗り、職場の最寄りも、たとえばだけど、少し手前で降りたりする。調子のいい時はバスに乗らず全部徒歩でいく。
まぁ元々足腰は何故か丈夫だったので、これでメキメキと健康になった。
体重はおよそ10キロ…んー、忘れたけども、ピーク時からすると16キロくらい落ちたと思う。体重だけでなく体脂肪、内臓脂肪も落ち、およそ適正体重というものになったみたい。
「キンちゃんのおかげでたぶん健康になりました」
「よかったですね!でも、馬が来てくれないから、僕はやばいですよ!」
そうなのだ。キンちゃんはまぁまぁエグいくらい馬に張るので、勝つときは◯十万円単位で勝つけど、負ける時もエグい。
エアコンの実績なんてどうでもいい。あ、これってホントのことだったんだ…。
でも、何故かこんなぶっ飛んだキンちゃんだからか、接客スタイルには妙に説得力がある。
「エアコンってね、冷やしたり温めたりする機械でしょ?値段高い安いとか、電気代高い安いで選ぶもんですか?行くときはいかなあかんでしょ!」
え、カタギじゃないやろ。
でも、こんな行くときは行ったらんかい接客が、ほんとに説得力があった。
というか、メーカーヘルパーではあるが、自分のメーカーを強く押さない。ほんとにそのお客さんに必要なものを見極めてオススメする。
そんなやり方に、僕は強く惹かれたし、元々僕が考えていたやり方を素でやってる人だなと感じた。
ただ、そういうできる人ほど、敵を作りやすいのだ。
「あいつほんまムカつくんですけど!なんやねん挨拶せんかい!」
その相手は、家電量販店の偉いさん。なんかね、キンちゃんは弱きを助け、強きをくじく。なんだかVシネマ大好きなんだけど、それをリアルでやろうとするスタイルらしくて。
「あ、キンちゃん。一応なんだけど、仕事なくなったらあかんから、ある程度はちゃんとしてたほうが…」
「そんなんどうでもええんですよ!あいつ二度と物つかめんようにドラえもんみたいな手にしたろか!」
おい、笑っていいんか、本気なんかよくわからんネタやめて。
まぁ、そんなこんなで、僕の荒んだ心は、徐々にゆっくりと癒され、そして、毒されていく。あれ?毒されて…
つづく…のか?
なんだか、まぁまぁ破天荒な人
キンちゃんが来た。
それでも、今まで見たことないキンちゃんに
次第に惹かれていく僕がいた。




