夢も希望も打ち砕かれ、また僕は元通り。
3年半の営業仕事の中、
僕は何かを掴み取ろうとしていた。
仕事にやりがいも感じていた。
ただ、その先に待っていたのは…
僕はこの営業の仕事に思い切って変わってみて、よかったと思った。
だが、そんな時も長くは続かなかった。営業の仕事になってから3年半くらい経った夏の、お盆休みに入る前のある日のことだった。
メーカーの営業の仕事をするようになってからは、よくいうカレンダー通りの休日というやつになった。土日祝が休み、あと年末年始とお盆など。あ、でも普段の土日などは店舗のメーカーイベントだったり、販売応援に行ったりしていたので、たまに出勤して代休を平日に取るという感じ。でも基本はそういう休みだった。
というわけでお盆もだいたい10連休くらいある。どんだけ休むね〜ん!というくらい休む。そんなお盆休みに入る前の日。派遣会社の部長から電話があった。
「ごめんなんやけど、9月いっぱいでその仕事終わりやわ。メーカーがもう金でーへんらしくて」
「え?正社員雇用とかていうわけじゃなくて、クビ…ですか?」
「そやねん、ごめん!あ、そんで、前と同じ販売ヘルパーの仕事はあてがえそうなんやけどそれでええかな?まぁ嫌っていう場合は辞めるしかないんやけど」
は?クビ…?それもいきなり?
え、正社員雇用は?というか…あまりにも理不尽過ぎんか…。
僕は言葉が出なかった。僕も新入社員の頃ならともかく、ずっとメーカーヘルパーの仕事をしていたから、もうそれなりに歳は取っている。
今更どこかに再就職なんて受け入れしてくれるわけがない。
一大決心をして変わった営業の仕事をクビだと…。
「まぁまだお盆前やし、日にちあるから休みの間にゆっくり考えときな」
派遣会社も軽いものである。その部長の口利きで営業仕事をすることになったのに、なんの責任も感じないのか。まぁ派遣社員の弱いところなのかもしれない。要は日雇いみたいなもんだから。
3年半。とても短い。それまでの10年以上に比べるととても短い期間だったが、僕にとっては物凄く濃く、自分自身も成長できたし、今までは1店舗の販売だけというものだったのが、物事を割と広く見ることができるようになった気がしていた。
ただ、結局は。結局はそれでさえも駒のひとつでしかなかったのだ。
いらなくなれば捨てられる。
その頃には、そのメーカーの兵庫営業所や、本部の商品部の人間なども割と顔が知れてきており、色々なやり取りや、会議での顔合わせとかもあったが、様々なメーカーの人と関わることができるようになっていた。
それでも。クビになってしまったら終わりだ。
僕は絶望した。いくら頑張っても、いくら一生懸命していても。ダメな時はダメなのだと。
ただ一人、僕のクビをとても悲しんでくれた人がいた。任侠先輩である。
この頃はコロナ禍ということもあり、大人数の送別会はあまり歓迎されていなかったこともあり、小刻みに送別をしてくれた。
簡単に言うと、みんなとしては1回ずつなんだが、僕は5〜6回くらい送別会に参加した。
今はお酒は物凄く量が減っているが、この当時はアホほど飲んでいた。アホほど飲んでいたけども、それでもだいぶキツかった。
その何回目かの送別会で、任侠先輩は僕に言った。
「結局あまり役に立つ前にクビになってしまったなぁ…」
先輩は精一杯の強がりで言ったが、男泣きに泣いていた。
僕は先輩に、上手く答えることができなかった。ずっと同じ仕事のままでいることはなかったかもだが、ここまであっけなく、終わると思っていなかったからだ。
結局お盆の休みを何もせず鬱々と過ごし、休み明けに出した結論は…
前にしていた、エアコンの販売の仕事に戻ることだった。どうしようもない。新しい仕事先?すぐに見つかるわけがない。
あと、自分自身に自信がなかったのもある。
一応なんだが、兵庫県の中でも割と大きめの規模の店舗をあてがってくれることにはなった。せめてもの計らいというやつだろうか。
そして、その店舗でまた僕はエアコンの販売をすることになる。その店舗で僕は「くろくまの頭の中」という作品のサイコパスについて書いているエピソードのサイコパス先輩に出会う。
どうにもやる気が起きない中に、更にそういう環境。サイコパス先輩は無事どこかへ旅立ってくれたが、その後も僕の絶望は続く。
そんな中、僕の生涯の友人となる人物に出会うことになる。
結局大手企業の正社員雇用の夢も叶わず、
長くしていた、メーカーヘルパーのエアコン販売の仕事に戻る僕。
おまけにサイコパス先輩のイジメ。
もうどうにでもなれ。色々なことに絶望していた時だった。




