↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

61/125

第六十一便 元帥なんて呼ばないでっ!

七つ道具(七つでは足りない)

輪ゴム 何かと便利です。

 見送りには、王様や医者、博物学者、そしてゴシェと守備兵たち、更に城の多くの人たちがやってきた。

 そのうちの一部はゴシェと同じ南の国出身らしい。中には涙を流し、跪いている人もいた。


 王様も、当然のことながら〝南風のフェアリー〟退治には喜んでいたし、娘たちが無事だったことについてお兄ちゃんに感謝していた。同時に、「この時期なら」と娘を二度も港に送り出したことを悔いていた。

 まあ、確かに、前々回の薬草運送時に南風のフェアリーに襲われていたら、多分グリシーヌは助からなかったし。


『それにしても』


 一通り礼を言った後、王様がグリシーヌを見た。


『あの南風のフェアリーの行動というか、二人の前に行き、止まっていたのはいったい何だったのか?』

 

 隣の医者と博物学者も首をひねる。

 お兄ちゃん、ここはかっこよく正解を!


「いや、俺もわかりませんが」


 ガックシ。


「それより、グリシーヌ姫様の、というか、この国の皆様の思いにまた触れた気がします」


 死んだ虫を、グリシーヌは城内の片隅に埋めた。つい数時間前に戦った相手なのに、土に埋めると黙祷をしていた。ヴィオレットも隣で同じようにしていた。

 まあ、二人はまだわかる。

 驚いたのはゴシェだ。

 彼からすれば、故郷を滅ぼした憎むべき相手だし、実際、南風のフェアリーをはじめ夏の魔女の使徒について話すときは、常に憎悪を隠さなかった。

 でも、死んだ虫に対しては、踏みつけたり切りつけたりすることもなく、ほんのわずかだけど黙祷を捧げていた。王様たちもそれに倣った。


『荷車の騎士殿』


 それからゴシェは振り返ってお兄ちゃんを見た。


『あらためまして、故郷を滅ぼした夏の魔女に対して一矢報いて下さったこと、心から感謝いたします』

「あ、いいえ」

『今は亡き祖国、そして家族のためにも、また、私たち南の国の難民に手を差し伸べて下さったポローニャ王、そして東の国のためにも、この命、いつでも捧げる覚悟です!』


 ……うっとおしいね、軍人って。

 まあ、でも、ある意味義理堅い人ってことか。


『守備兵隊長がそこまで言う人物、逃す手はないな』

 

 王様(一応名前があったんだね)が頷く。


『では、荷車の騎士殿、我が軍の元帥として迎えたいが、いかがか?』

『お父様! 無茶言わないで!』

 

 お兄ちゃんの隣に当たり前のように立っているグリシーヌが顔を赤くした。お兄ちゃんが不思議そうに彼女を見てから、オレに小声で訊いた。

「フッフ、元帥って何?」

 この人はそう言う用語は弱い。

「元帥ってのは軍で一番偉い人だよ!」

 グリシーヌが気になるけど、ポローニャ王、なかなかわかってんじゃん、と思いながらオレが答えた。


「えーと、失礼ですが」

 お兄ちゃんが遠慮がちに訊いた。

「ちなみに、守備兵隊長さんはどういう階級で?」

『城の守備はもっとも重要な任務の一つ。わが軍では将軍クラスだ』

『ポローニャ王は、他国出身の私を取り立てて下さった心の広いお方です』


 いちいち感動してうざいな、おっさん。


「前線にはシェーヌ将軍がいるんですよね? ちなみに、ヴィオレット姫様は?」

『ヴィオレットはまだ若いが、王族特権で大尉だ』


 〝特権〟とか自分で言うなよ。

 ヴィオレットもちょっと自慢気な顔してんなよ!


「えーと、それ以外の皆さんは?」

『専業軍人は皆中尉、それ以外の臨時徴用は皆少尉だ』


 下には将軍と大尉と中尉と少尉しかいないじゃん!

 一般兵なんて0じゃん!

 それ、ほぼどっかの海賊か野盗レベルじゃん!

 何が元帥だよーーーーっ!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。