第37話 魔法学園⑬
梓紗が一瞬だけ固まる
「あ……」
視線が少し泳ぐ
「えっと、その……前に、葵が使ってるのを見て……」
リリスは黙ったまま見る
梓紗が慌てて続ける
「いや、ちゃんとは分かってないですよ? なんか言葉で動かしてるみたいな感じで……」
「ふうん」
リリスが椅子にもたれ直す
「見ただけでそこまで分かるのも大概だけどね」
梓紗が少し気まずそうに目を逸らす
葵はその横で黙ったまま座っている
リリスが今度はそっちを見る
「で、葵」
「昨日から何回くらい無意識で動かしてる?」
葵が少しだけ眉を寄せる
「……分かりません」
「でしょうね」
リリスが小さく息を吐く
「もう漏れ始めてるもの」
リリスがそう言った瞬間、机の上の紙がふわっと浮く
梓紗が反射的にそっちを見る
「え……」
紙だけじゃない
近くに置かれていたペンも、小さく震え始める
葵は動いていない
「ほらね」
リリスだけが落ち着いたまま言う
次の瞬間、ペンが壁に向かって弾かれる
乾いた音が部屋に響く
梓紗の肩が跳ねる
「ちょちょちょちょっと待ってくださいこれ危なくないですか!?」
「そりゃマジ危ないわよ」
リリスは普通に返す
「だから言ってるの」
リリスが壁に刺さったペンを見る
「その状態で外を歩かれる方が困るのよ」
葵は少し黙る
「……すみません」
「謝らなくていいわ」
リリスが立ち上がる
「制御できてないものを制御させる、それだけ」
梓紗が少し目を瞬かせる
「えっと……それって」
「しばらくここにいなさいってこと」
あっさり言う
葵が視線を上げる
リリスはそのまま続ける
「葵は言霊、梓紗は天獄」
「今のまま外に出したら何するか分かったものじゃないわ」
小さく肩をすくめる
「だから、私が見るしばらく外出禁止ね」




