第33話 魔法学園⑨
二人はそのまま歩く、少し間があってから中田が口を開く
「で、どうする」
葵は少しだけ考える
「……探す」
「他のやつ?」
「……ああ」
中田が軽く息を吐く
「当てあんのか」
「……ギルド」
短く返す
「あー、まあ無難だな」
それで決まる
そのまま二人で方向を変える
少し歩くと建物が見えてくる、人の出入りが多い場所、ざわついた音が外まで漏れている
扉を押して中に入ると、一気に音が広がる
人、声、足音、全部混ざっている
中田が周りを見ながら言う
「思ったより人多いな」
「……普通だ」
葵はそのまま視線を流す
受付の方へ向かう
「あの、すいません」
声をかける
相手が顔を上げる
「はい!なんでしょうか」
「……人を探してるんですけど」
少しだけ間
「お名前は?」
「梓紗」
短く言う
受付の視線が一瞬だけ動く
何か引っかかった反応
「……登録名、ありますか?」
「分からないです」
「そうですか……」
少しだけ考える仕草
中田が横から口を出す
「最近入ったやつとかで、それっぽいのいないか?」
受付が少し困った顔をする
「個人情報になるので、詳しくは……」
言いながらも完全には切らない
少しだけ声を落とす
「ただ、似た名前で一人、今ダンジョンに入ってる方はいます」
葵が反応する
「……どこにいますか」
「第二層です、ついさっき入ったばかりなので、まだそこまで深くは行ってないと思います」
中田が小さく舌打ちする
「タイミング悪いな」
「……行く」
葵は即答する
中田が一瞬だけ見て、すぐに笑う
「だろうな」
「場所、分かるか」
「……ああ」
それ以上は言わない
二人はそのまま踵を返す
「気をつけてくださいね」
後ろから声が飛ぶ
振り返らない
そのまま外に出る
さっきより空気が冷たい
人の流れを抜けて、ダンジョンの方へ向かう
中田が歩きながら言う
「また潜ることになるとはな」
「……そうだな」
短く返す
「さっきの感じだと、まだ間に合うな」
「ああ」
それだけで十分だった
二人はそのまま足を速める。ただ、〇〇〇〇〇〇事が起こるなんてまだ知らないのに。
入口を抜けると空気が変わる、さっきと同じ重さが戻ってくる
中田が軽く息を吐く
「やっぱ慣れねえなこれ」
「……すぐ慣れる」
葵はそのまま前を見る、止まらない
通路を進む、気配はあるが静かだ
少しして影が揺れる
「来る」
短く言うと同時に小型の魔物が飛び出す
中田が前に出て受ける、そのまま流して斬るが、横からもう一体来る
「横!」
葵が声を落とす、わずかに軌道がずれて空振る
その隙に中田が振り抜く
「……助かる」
「まだ来る」
崩れた音が消える前に、奥の気配が増える
二人とも止まらない、そのまま処理して進む
動きは少しずつ噛み合っていく
階層を下りると空気がさらに重くなる
中田が周りを見ながら言う
「この辺か?」
「……もう少し先」
短く返す、視線は前のまま
少し進んだところで気配が変わる、人の気配
葵が足をわずかに速める
「いた」
中田も視線を上げる
「あれか」
距離を詰める、はっきり見える
一人で立っている
見覚えのある姿
「梓紗!」
声をかける
相手が振り向く、その瞬間だった
横から別の影が割り込む
速い
「っ、横から来る!」
中田が反応するが一瞬遅れる
葵の感覚がわずかにずれる、何かがおかしい
間に合わない
鈍い音が落ちる
梓紗の体が揺れる
右腕が消える
一拍遅れて血が噴く
「おい……!」
中田が踏み込むが、突っ込んできた魔物に弾かれる
「下がれ!」
葵が短く言う
一瞬だけ意識を合わせる
流れを掴む
「……止まれ」
小さく落とすと、魔物の動きがわずかに鈍る
その隙に中田が横から斬り込む
「くっ……!」
もう一撃、崩れる
静寂が戻る
中田が振り返る
「大丈夫か!?」
梓紗が崩れかける
葵がすぐに支える
「……立てるか」
返事はない、呼吸だけが荒い
血が止まらない
中田が舌打ちする
「ここでやるのは無理だ、戻るぞ」
「……ああ」
それだけで動く
葵が支えて、中田が前に出る
来た道を引き返す
途中で気配が寄る
「来るぞ!」
「止める」
短く落とす、わずかに足が鈍る
「今だ!」
中田が抜ける
止まらない、そのまま出口まで抜ける
外に出ると空気が変わる
中田が息を吐く
「……くそ、あれは反応できねえだろ」
葵はそのまま歩く、止まらない
「俺も行くか?」
「……いい」
短く返す
「場所分かるんだろ」
「ああ」
少し間
中田が頷く
「……頼んだ」
それで別れる
葵は梓紗を支えたまま、家へ向かう




