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第20話 攻撃の練習①

今回試しで文章を多くしてあまり改行しないように書いてみました。もしかしたら読みにくいかもしれません、もしこっちのほうが見やすい、とか 前のほうがいい戻して!って少しでも思ったら気軽に感想お願いいたします。

「普通はね、マイナスからレベルが動くなんてあり得ないのよ」


葵の動きが止まる。リリスは腕を組んだまま続け、そこが“固定領域”であり本来は成長や変動といった概念が入らない場所であることを淡々と説明するが、その一方で今まさにその領域が動いているという事実だけははっきりしていた。


「しかも上昇扱いで動いてる」


リリスは小さく息を吐く。


「普通じゃないわね」


風が一度だけ強く抜ける。その中で葵は自分の手を見て、何も変わっていないはずなのにさっきより少しだけ軽くなったような、うまく言葉にできない感覚だけが残っている。


「……じゃあ今のは」


小さく声が漏れる。


リリスはすぐには答えず、少しだけ間を置いてから「分からない」とだけはっきり言う。


「でも一つだけ言えるわ」


視線がまっすぐに戻る。


「今の君は規格の外側に触れてるかもしれない」


そう言うとリリスは視線を外しそれ以上は何も付け加えなかった。


葵は小さくその言葉を繰り返すが意味はまだ掴めずただ頭の奥に沈んでいくだけで

その代わりに止める・動かす・戻すという感覚だけがまだかすかに手の中に残っていた。


「じゃあ次、攻撃の練習をするわそこの石を使いなさい持ち上げるだけじゃなくて、ちゃんと“動かす”ところまでやってみて」


リリスがそう言って地面の石を指すと、葵は小さく頷きながら目の前の石へ意識を向けた。今までの“止める”“戻す”とは違い、対象に明確な意図を向ける感覚が少しだけ重く感じられる。


息を整えながら視点を広げると、石だけではなく、その周囲にある空気の流れやわずかな力の偏りまで一緒に捉えようとする意識が自然と広がっていく。


「最初は難しく考えなくていいわ。ただ浮かせてそのあと少し動かす。それだけできれば最初は十分よ」


リリスの言葉は淡々としているのに、妙に具体的で逃げ道がない。


「……動け」


葵がそう意識した瞬間、石はわずかに浮き上がり空中で小さく揺れた。その揺れを見ながら自分が何か“掴みかけている感覚”だけが残る。


「そのまま横にずらしてみて、力で押すんじゃなくて流れを変える感じで」


「……流れ」


葵は繰り返しながら意識を切り替える。押すというよりも、空気の向きを少しだけ変えるような曖昧な感覚に集中すると、石は揺れながらも横へと滑るように動き始めた。ただその動きはまだ不安定で、少しでも意識が途切れれば落ちてしまいそうだった。


それでも葵は視線を外さず動きと安定を同時に繋ぎ続ける。さっきまでなら途中で崩れていた感覚が、今は“繋がっている時間”として少しだけ長く保たれていた。


「そこまで。今度はその状態を維持して。落とさないことだけ考えればいい」


リリスの声に従い、葵は呼吸を整えながら意識を二つに分ける。一つは動き、もう一つは安定。その二つを同時に握るように繋ぐと、石は空中で小さく揺れながらも止まり続けた。


「……上出来ね。才能かしら?」


その一言に、葵の中でほんの少しだけ実感が残る。

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