第2話「止まった言葉」
教室の空気が変わる
視線がまた集まる。
逃げたい
でも、逃げられない
俺はゆっくり立ち上がった
足が重い
一歩踏み出すたびに、心臓の音がうるさい
教卓の前に立つ
先生が見下ろしてくる
――そのときだった。
「いい加減にしろよ。毎回そうだよな?」
胸がぎゅっと締まる
「他の授業ではそれで済んでんのかもしれないけどよ」
教室がしん、と静まり返る。
「ここはそうはいかねぇんだよ。分かってんのか?」
……言えない。
分かってる
分かってるけど
声が出ない
喉が詰まる
視線が痛い
「なんとか言えよ」
――カチッ。
頭の奥で何かが弾けた。
違う、やる気がないんじゃない。
できないんだ。
……分かれよ。
胸の奥に溜まっていたものが一気に溢れる。
やめろ。
これ以上、言うな。
――黙れ。
その瞬間
先生の口が止まった。
「…………」
言葉の途中でぴたりと動きが止まる、時間が止まったみたいだった
教室が一瞬だけ無音になる誰も動かない。
先生は何か言おうとしている
口は動いているのに、声が出ていない。
喉だけが空回りしているみたいに、不自然に。
「え、なに今……?」
誰かの小さな声がきっかけで、ざわめきが広がる。
「先生、どうした?」
「今止まってなかった?」
クラスがざわつき始める。
でも違う
これはただのトラブルじゃない
……分かってしまった
今のは俺がやった
理解した瞬間、背筋が冷えた
心臓の音がやけに大きく聞こえる。
ドクン、ドクン、と鳴り続ける。
いや、違う
偶然だ。
そうに決まってる。
そんなことあるわけがない
でもタイミングが合いすぎている
さっき俺は確かに思った
――黙れ。
その直後にこれだ
……ありえない
でももし本当にそうなら試せば分かる
俺はゆっくりと息を吸った
そして頭の中で呟く。
――話せ。
その瞬間
「っ……!」
先生が息を飲み、動きを取り戻した。
「……なんだ今の……?」
声が出る
教室が一気にざわついた。
「え、やっぱ変だったよな!?」
「絶対止まってたって!」
一斉に声が重なる。
でも
俺の意識はそこに向いていなかった
……やっぱり。
今のは俺がやった
否定できない
偶然なんかじゃない
俺の中の“何か”が、現実に影響している。
意味が分からない
怖い、こんなのおかしい
でもほんの少しだけ。
ほんの少しだけ――
「使えるかもしれない」
そんな考えが浮かぶ
その瞬間、自分で自分にぞっとした。
……やっぱり。
これは俺の力だ




