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第13話 効かない制御

「おはよー葵」


「あ、梓紗。おはよ」


「昨日、大丈夫だった?」


「うん、大丈夫。そっちこそ遅くまでごめんな」


「私は平気だよ」


少しだけ間が空く


「あとさ、ちょっと面白いの見つけた」


「え?」


「対象転移」


「……対象?待って何それ?」


「自分ごと動けるやつ」


「え、葵が?」


「まぁそんな感じ」


梓紗の目が少しだけ変わる


「ちょっと詳しく聞いていいかしら」


「昼でいいか?」


「なら図書室がいいわね」


「了解」


そのタイミングでチャイムが鳴る


一斉に席に座る


「起立、礼」

「お願いしまーす」


そのまま授業が始まる


少しして、横から小声が飛んでくる


「おい葵」

「……なに」


中田が机に肘をついたままこっちを見る


「さっきからあいつと何話してんだよ」


「いや別に」


「また変なことに巻き込まれてるとかじゃねぇよな?」


「そんなことないって」


「ほんとか?」


じっと見てくる


「お前そういう顔のとき、だいたい何かやってるだろ」


「なんだよその基準」


「なんとなく」


少しだけ笑う


「まぁいいけどさ」


前を向き直る


「やばくなったら言えよ」


「ならねぇよ」 ...きっとな。





それまでの授業の時間は゛一瞬で終わっていった゛早く図書室に行かないと、と思うばかりに

チャイムが鳴って、一斉に立ち上がる


「じゃあ行こ」


「早いな」


「時間もったいない」


そのまま教室を出る


廊下を抜けて図書室に入る


人はほとんどいない


奥の席に座る


「で、対象転移って?」


「昨日、家で試した」


「家で?」


「中と外、普通に行き来できた」


梓紗が少しだけ黙る


「……それ、距離は?」


「リビングくらいまでなら」


「結構伸びてますね」


軽く頷く


「ここでもやる?」


「やってみようか」


ポケットから消しゴムを出す


「まずこれで確認する」


「はい」


手から離す


落ちる瞬間に合わせる


「――座標転移」


途中で止まって、少しズレて落ちる


「……精度はそのままですね」


「対象もいけると思う」


少しだけ間が空く


「やってみてください」


「ここでか?」


「小さくなら」


軽く息を吐く


近くの床を意識する


「――対象転移」


視界が一瞬揺れる


次の瞬間、立つ位置が少しズレている


「……できてる」


「問題なさそうですね」


そのまま梓紗が続ける


「もう少し、範囲広げてみます?」


「……いけるか?」


「試すだけなら」


少しだけ考える


「……やるか」


軽く息を吐いてさっきより少し遠くを意識する


机じゃなくて棚の奥


「――対象転移」


一瞬だけ、引っかかる


「……あれ」


「どうかしました?」


梓紗が横を見る


そのまま、感覚が抜けない


「いや、なんか――」


図書室の扉が開く


「おーい、やっぱりこんなところで何してんだよ」


中田だった


「……なんでもない」


「いや絶対なんかあるだろ」


近づいてくる


その間にも、感覚が広がる


止まらない


「ちょっと待て」


「え?」


「葵?」


足元がわずかにズレる


棚も、床も、位置が合わなくなる


「...まずい」


言い切る前に、視界が揺れる


焦点が合わない

青い光の粒子が教室、いや学校全体に広がっていって...



音が遠くなってきた


中田が何か言ってるが何も聞こえない


梓紗が手を伸ばす


その手の位置だけ、妙にはっきり見える


――合う


その瞬間、全部が切り替わる

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