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俺、同居します。

今回はほのぼのです。

-6話 俺、同居します。-


ミルとファーストコンタクトを交わしたその日、なんとまぁ衝撃な笑劇が始まってしまった。

「なんだって?」

「私、今日からシュウの家に住むの」

「なぜだ」

「家がないの」

「なぜだ」

「もともと住む家は作らないの」

「なぜだ」

「それが習性なの」

「なぜだ」

「獣人族は用心深いの」

「なぜなんだ・・・」

つまりはこういうことだ。「私、あんたと仲良くなったんだから家ぐらい提供シなさいよねバカ」という具合の意味合いだ。だがしかしだ、普通の健全男子ならば皆口をそろえて「はい」と頷くのだろう。ふざけろ、この状況になってない奴の戯言など知るか。いいか、この手の会話は出会って最低でも5ヶ月は欲しいところだぞ。考えてほしい。俺と彼女は今日出会ったばかりなのだ。それで同棲を迫られてはいはいわかったと頷けるか、否だ。ここは丁重にお断りする必要がある。義務がある!

「・・・悪いが、それは出来ん。まだ会ったばかりで互いをよく知らない。幸い毎日オークを狩っていたからお金がある。家を借りてやるからそこに住むといい」

とりあえずの打開案を提示したのだが、正直いって厳しい。二人分の家賃を払うとなると単純計算で今の二倍だ。今あるゴールドも近いうち底をつくだろう。それに、今さっき40万も消費したからな!結婚指輪買えるぞクソ!

とまぁ頭の中の俺と俺がせめぎあっている中、目薬差して「クゥー!」て叫びそうな眼で

「・・・だめなの?」

と上目遣いで聞いてくる美少女ケモミミっ子ミル!くっそ~、断れねぇだろくそが!

「え、あ、いや、その、だな」

美少女を目の前に香辛料みたいな名前の白いロボットを想像させる動きをする18才童貞の少年の姿がそこにはあった。回りくどいって?端的に言うとキョドったキモヲタみたいな感じだ分かりやすいだろお前ら。お、俺は違うぞ。

「私、今まで一人だったから・・・寂しいの」

またも、と言うべきか続けて、と言うべきか、上目遣いで問うてくるその目に否を押し付ける事の出来る人類はいるだろうか。それこそ否である。されどまだ微力ながらの抵抗をしてみせる。

「う、うち汚いしな」

「いいわ」

「お、俺だって男だ、お前に何をするか分からないぞ」

「・・・するの?」

「しししないわ!」

「・・・そ」

「つまり、その~、なんだ、つまりだな・・・」

言いよどみ、続く言葉を考えている最中の俺に。

うるうると、そろそろ溶けるのじゃないか?と思わせるほどにはうるうるしている目に、だがそこには強い意志もあり、同時に何か懇願するようなその顔で

「一緒に、住も?」

と、一言。

か弱いながら確実に発せられたその声に、否定など出来なかった。

「わ、わかった、一緒に住もうか・・・はは、ははは」

「うんっ」

童貞即死スマイルを送ってくれたミル。俺も死ぬのだろうか。いや、死ぬな確実に。


ここ最近巻き込まれ体質になっていると思うのだがそれは気のせいか?いや、気のせいじゃないよ?ほら、そこの耳をピクピク動かしてる小動物を見ろ。こいつ、今日から俺の家に住むらしいからな。はは、アホか。


-------------------------


帰って参りました我がホーム。狭くは無いが、綺麗でもない我がホーム。風呂トイレは別、ダイニングキッチンにリビング寝室完備。悪くない。しかし以前ゴミ屋敷だったのを大家に追い払われ、つまりずっとゴミ屋敷だったこの家は所々シミがあったり、凹んだり腐ったりしている。買い取り手が居ないため安く借家として提供されていたところを俺が見つけたのだが、安くと言っても一戸建て。マンション程度には値は張った。

「ここがシュウの家?」

ソワソワしながらせわしなく家を見て回っているミル。

「そうだ。汚いところで悪かったな」

「そんなことない。洞窟よりマシ」

今までどんなところで暮らしていたのかを洗いざらい聞いてやりたいとこでもあるが、それどころでもない。

「おい、あまり探索しないでくれな?」

なにかやらかしそうな予感がする。

「こっちは?」

確認した意味も無くずかずかと部屋に入っていくミル。まて、そっちは寝室だ。みられたくないものの一つや二つあるんだが!

「ま、まて!」

「これがシュウのベッド。てい」

「おい!」

ミルは華麗に宙を泳ぎベッドへとダイブした。

「くんくん、くんくんくん。シュウの匂いがする。ふぁぁ、んんっ、あっ、くんくん、あ、だめ・・・んんっ」

「なぁにやってんだよアホが!」

毛布を太ももで挟み匂いを嗅ぎながらいかがわしい声を艶っぽく出すミルにチョップをお見舞いする。だがその光景をみて、俺の俺が物理的に起きてしまったのを誰が責められよう。

「ひゃうんっ」

チョップされたミルは変な声を出しながら頭を抑え、忌々しく俺を可愛らしく睨む。

「でもシュウの匂いじゃないのもする。何か、ベッドからイカのにお」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぉ!」

何言い出そうとしてんだこいつは!

そして、ハっと、何かに気づいた顔になり、片手を唇に置き悪戯っぽく笑うと、

「シュウも男の子。このくらいはきにしないわ」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁああぁ!!!!!!!!!!!」


------------------------


「じゃ、今日からミルの部屋はここです」

カーストに変動が生じてしまった後、部屋を用意して差し上げた。

「わかったわシュウ。けど、襲いに来ないでね」

「こねぇよ!」

あの後、さらにいかがわしい本とか、いかがわしいブツとかが見つかってしまい、威厳とか、信頼とか、信用とか、そう言うのが跡形と無く消え、完全に変態を見る目になったミル。威厳はそもそもなかったか。

「でも、ありがと」

「あ?」

「・・・それだけ」

「なんだそりゃ」

ふいっと視線を逸らし虚空を見つめる彼女は、どこか儚げで、悲しそうでもあった。


その日は夜ご飯も食べず、そのまま眠ることにした。

部屋を後にしたあと、すぐに電気が消えたことから、ミルももう寝たのだろう。

俺はベッドに横たわり今日のことを振り返る。

オークに襲われていたケモミミっ子を助け、話を聞けば俺とにたような境遇で、そいつとパーティーになった。お金もないし、装備もない彼女に装備をプレゼントしたな。そして、今家で寝ている。


・・・寝よう。


振り返るのをやめ、考えるのをやめ、そのまま眠りについた。


あぁ、明日からどうしよう。

今現在進行形でおなか痛いです(関係ない)

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