俺、考察します。
明日といってもまだ昼。これから・・・そうだな、これから火山にでも・・・。
と、言いながら思い出してしまう。克服したはずの、倒したはずのトラウマが脳裏に浮かんでしまう。
駄目だな。弱いな。まだまだ。過去は振り返っても仕方ない。俺はもうガルドグリズリーに負けたりはしない。そう分かっていてもどこか不安になってしまう俺がいる。
ああもう考えるな!今は目の前のケモミミ少女と機械的少女に専念しろ!
ほら、見てみろよ。顔には出さないけどどこか嬉しそうに腕にしがみつく雪月と、それを睨むミル・・・。
・・・ん?ミル?無言で近づかないで?ハンマーみたいに空のティーポットを持たないで?「許して・・・」その言葉の意味何?え?ティーポット振りかぶらないで!?
† † † †
なぜかサイレントホラーのような狂気の沙汰にでくわした俺はとりあえずアンデッドファントム化したような目のミルに何度も何度も謝罪していた。ほんと、何でだよ。
「うん、色々考えてたけどやっぱガールヴン火山の中腹に行こうと思う」
難しいことは後にして、ファントムブレイカーの本業である日銭を稼ぎに行かなくてはな。
ただ過去について語り合っても何も生み出さないしな。
「わかった。着替えてくる」
「わかりましたあるじさま」
二人ともしっかりとした返事を返してくれる。これがどれだけありがたい事か。
ミルは自分の部屋に入っていく。
「さてっと、俺も準備っと」
基本的には整ってるけど一応必要になるかもしれないアイテムを服の内側とかポケットに収納しておく。
「あるじさま、私は何をすればいいですか」
肘のあたりをくいっとひっぱり問うてくる。
「うーん、そうだな、そういえば雪月は戦えるのか?」
全身武装のような恰好をしているが、心配になった。
「百式開放前のあるじさまよりは」
愚問だったか、悩む暇すらなく答える雪月。それもそうか。コイツ自身武器なんだもんな。
「なら俺のサポートだったり、大勢に囲まれた時助けてくれたら嬉しいかな」
雪月の戦闘力は未知数だからこの目で見てみるまで何とも言えないが。
「では精一杯あるじさまをお守りします」
何だかよくわからないがとても微笑ましい気分になる。
「そっか。じゃあ期待してるぞ」
そう言って頭を撫でる。
「ん・・・んっ」
気持ちよさそうに目を瞑りながら声を上げる。・・・何だかいかがわしい事してる気分になったからやめよう。
見た目の幼さや小柄な体躯で年下の子のような扱いをしているが、正しいのだろうか。
まあ考えても仕方ないからこのままでいくけども。
「そういえば百式開放って何なんだ?」
目が覚めた時に言ってたレベル50の特典のようなスキルを思い出し、だいぶ唐突に問う。
「簡単に言えば武器の形が変化します」
さらっと答える雪月。
「まじか」
「はい。例えば槍だったり、ながーい刀になったり、色々です」
手振り身振りを交え簡単に説明をしてくれる。
「雪月もそれができるんだよな」
「はい。私の場合はあるじさまの半分ほどの力ですけど」
少し申し訳なさそうに雪月。
「それでもだいぶ戦力だよ。助かる」
「実際に試してみればわかると思います」
「そうだな」
その百式開放とやらがどれだけ強いのかは知らないけど、せいぜい期待して待っとくか。
っと、いい感じに会話が終了した頃に
「おまたせ」
ミルが準備を終えた。
「おう」
皆準備を終え、出発の手筈が整った。
「それじゃ、いくか!」
俺の旅の始まりからの相棒、ユニークウェポンであり意思のある人間でもある雪月を新たな仲間に、今日もまた、ファントム狩りに精を出す。
これからまた見える景色はめくるめく変わっていくだろうな。
近くに控える拠点移動の為に、少しでも多く稼いでおかないとな。
しかし、こうも目立ってしまうとそりゃ、”あの男”も黙っていないわけで。
新たな扉が開けば、扉の向こうからも何かはやってくる。




