俺、思案します。
「・・・ありがとうございます」
「いえ」
今はリビングでミルにお茶を貰った。
「その、ミルさん?」
「何ですかシュウさん」
いやめっちゃ怖いんですが。
「敬語・・・やめま」
「何か?」
「いえ!何でもないです!」
怖すぎますよミルさん・・・。
「あの、多分何か誤解されてるのではないかと・・・」
「何が」
いつぞやの柔らかい表情はどこへやら。目を見ると石化しそうな程に恐怖を抱かせる俺のパーティーメンバー。
「この子は俺のユニークウェポンであって、その、恋人とかではない・・・んですよ」
駄目だどうしても敬語になってしまう!
というかそれよりも。
「じゃあ何で」
雪月が。
「その子シュウの腕にしがみついてるの」
わざわざ椅子を近づけて俺にしがみついてるのが問題だよねそうだよね!
「私はあるじさまのものですから」
そう言い顔色一つ変えずしがみつく力を強める雪月。
「・・・」
違うんです、ミルさん誤解なんです、だから無言で俺を睨まないで!
+ + +
「ん。大体わかった」
約一時間かけてようやく説得ができた。
「まぁつまり雪月は人であり武器である、ってわけだな」
「そういうことですあるじさま」
うん。
「わかったから一旦離れようか」
「そう。シュウから離れて」
「お前もな!」
右に雪月、左にミル。両手に華ってか。ははは、馬鹿か。
「それで、これからどうしようか」
二人を無理矢理ひっぺがし、どうにか話す体制が整った。
「何が」
ミルがやる気なさそうに問う。
「そうだな、まずテラリプトン戦のその後、雪月の事、狩りの場所、とかだな」
頭の中で色々考えながらとりあえずのこの3つを優先すべきだと結論付ける。
「シュウがしたいようにする」
「それじゃ元も子もないだろ・・・」
皆の意見が聞きたいから相談してるってのに。
「あるじさまはお強いので、この街を離れてさらに強い敵などと戦うのはいかがですか」
なるほど、確かに道理は通ってるな。
「でも俺、信念とかあるわけじゃねえし、暮らしさえ安定してりゃ別に、なぁ」
触るな危険なら、自分から触らないのが俺だ。
・・・他で思惑が働いて人為的に災いが降りかかってくることは多々あるけどな。多々。
「ですが、ここには居づらいのでは?」
「うっ・・・」
そうだった。俺この街でだいぶやらかしてるんだった。
「じゃあどうしようか・・・」
居づらいのは確かだし、いずれこの街からも離れようとは思ってたけど、そのタイミングが今来たとは。
ただ、その前にまず片付けないといけない問題が。
「強い敵と戦うのは一旦置いといて、だ」
ここでテラリプトンのその後が関係してくる。
「テラリプトン倒したから、2000万入ってくるんだよね」
「・・・そういえば」
忘れてたのかよ。その金に目が眩んでテラリプトンとかいうバケモノと戦ったんだからな俺は。
・・・「触るな危険」も時には「触らないと後悔」に生まれ変わるんだよ。
「それで、その資金を元手に色々新調したり新しい何かを買ったりしたいんだよ」
「私はあのロンドがあればいいの」
そういうミル。
あ~。
あのなミル、言わないといけないことがあるんだ。
「ミル、この間とある人からご指摘を受けて、何とは言わないけどとある便利グッズで調べたら杖の事はロンドじゃなくてロッドと言うらしい。にわかでごめんね」
いやまじ、間違えて覚えててすいません。
「・・・へぇ、そうなんだ」
ミルも間違ってたことにショック受けてるみたいなんで許してやってください。
・・・話がずれたから戻そうか。
「まぁつまり、お買い物にでも行きましょうって話だな」
あまり街の中を物色とかしたことなかったし、何気に楽しみだったりする。
「雪月も増えたことだしな。雪月は服とかいらないのか?」
そう言い雪月の服装を見やる。
「はい。私はこの服が戦闘服であり私服ですので」
確かに全くもってずぼらで無く、むしろかっこかわいい、みたいな表現が似つかわしい華美な服だ。
うん、艦隊とかこれくしょんしてそうだもん。
なら俺とミルの服とか見てみよっかな。
「んじゃあ明日朝から街物色してみて、後のことはそれから考えようぜ」
「うん」
「はい」
二人もそれで納得してくれたみたいだ。よかった。
・・・一応雪月の服とまでは行かなくても、小物とかプレゼントしようか。
”ありがとうございますあるじさま”
「うわぁ~い!?」
びっくりして奇声が出でしまった。
慌てて雪月を見やるとクスクスっと口に手を当てて微笑んでいた。
そうだった。雪月ってユニークウェポンだから意思疎通がホントの意味で出来るんだったな。
何だか俺まで可笑しくなって、釣られて苦笑した。
「・・・?」
当然ミルは何が起きてるのか分からなかったみたいだ。
さて。明日は何処に行こうか。
ロンドってなんだよロッドだよ。




