↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒き天使:敵国の王の妻として誤解され、子供たちを守るために最強の司令官となった女  作者: Leon


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/11

第6章 息子の輝きと緊張の大失敗

艦内の戦術試験場は、期待感に包まれていた。この日は子供たちと若い訓練生たちが、身体能力、反射神経、エネルギー制御の実技試験を受ける番だった。ローラと友人は観覧席から、中央の試験コースに目を凝らしていた。


リーの番になった。わずか八歳の少年がシミュレーターの中心へ歩み出ると、合図と同時に疾風のように動き出した。精密な動きでホログラムの攻撃をかわし、戦術解析アルゴリズムを瞬時に解き、標的を次々と撃ち抜いていく。そのあまりの余裕に、誰もが息を飲んだ。中央のモニターに表示される彼の成績は急上昇し、子供部門の記録を塗り替えた。


彼は間違いなく、天才的な才能を見せていた。


ローラは胸の前で手を組み、我が子の活躍に目を細めた。誇らしさが胸にあふれる。隣の友人も口を開けて驚いていた。


「女神よ……」友人はつぶやいた。「あなたの息子、戦術の天才じゃないわ! 他の子供たちがかなうはずないわ!」


ドリア長官がグループのそばへ来て、大型モニターの数値を見ながら眼鏡を押し上げた。


「驚いた……」ドリアも明らかに驚いていた。「この年齢でこれほどのエネルギー制御は、まさに常識外だ」


だがリーの活躍の輝きは、古い嫌がらせの声によって曇らされた。周囲の観覧席からは、驚きの沈黙がやがて陰口に変わっていった。


「あり得ない……あの忌まわしい血が、ここまで上り詰めるのか?」


「この子が大きくなったら、我々全員にとって脅威になるだろう」


「クリザードの血は、消えることを知らない」


ローラの笑顔は消えた。彼女はうつむき、胸が締めつけられるような寂しさに包まれた。どれほど我が子が努力しても、父親の影が常につきまとうのだと思うと、心が痛んだ。


友人はローラの落胆に気づき、そっと肩を軽くたたいた。


「ねえ、そんな人たちの言うこと、気にしないで」友人は低く、だが力強く言った。「ただ前へ進めばいい。八歳の男の子が艦隊全員より才能があるなんて、彼らはただ嫉妬しているだけよ!」


ローラは深呼吸した。心の中で、昔からの誓いがさらに強くなった。「私は、この子たちへの偏見を変えてみせる。アレスは私たちの名前を汚した……だけど私は、息子に同じ思いをさせない。リーはこの場所の英雄になる。そしていつか、誰もが彼の価値を認める日が来る!」


彼女は悲しみを振り払い、顔を上げると、手を口の周りに添えて、心からの愛を込めて叫んだ。


「頑張れ、リー! お母さんはいつでも応援してるよ!」


下のコースにいたリーは母の声を聞いた。彼は立ち止まって観覧席を見上げ、真剣な表情を解いて、満面の笑顔を浮かべた。


そのまさにその時、施設の磁気シャッターが開いた。


重々しい存在感が会場全体を静かにさせた。ヴァロン卿が精鋭の衛兵五人を従えて入ってきた。彼は落ち着いた歩調で歩を進め、その自然な指導者的なオーラに、誰もが目を奪われた。


観覧席のそばを通りかかると、ヴァロンはローラの方を見て、わずかに、ほとんど分からないほど頷いた。


ローラの顔が一気に真っ赤になった。彼女は思わず一歩下がり、慌てて視線をそらした。


当然、友人は見逃さなかった。彼女はローラの肩越しに身を乗り出し、いたずらっぽく囁いた。


「ほらね……我らが素敵なリーダーよ? ねえ、彼、絶対あなたのこと気になってると思うわ!」


「ち、違うから!」ローラはどもりながら、ますます顔を赤らめた。


「まあまあ、その真っ赤な顔は何なのよ~」友人は楽しそうに笑った。「いつもは強気なあなたが、こんなに慌てるなんて!」


ヴァロンはそばへ来て、責任者に声をかけた。


「ドリア長官、今日の調子はどうだね?」


「おかげさまで順調です、ヴァロン卿」ドリアは恭しく答えた。「それにしても、リー君は本当に驚くべき才能です。そして母親のローラも、戦術訓練で非常に優れた成績を上げています」


ドリアはローラの方を向いて、にっこりと笑った。


「そうです、ローラ……次はあなたの番です。個人実技の発表をお願いします。さあ、行って、どれほど上達したかを見せてあげなさい!」


ローラの頭の中が真っ白になった。今⁉ まさか、あの人の前で⁉


足がすくんで動かなくなった。不安が一気に押し寄せる。彼女は友人の方を振り返り、目を見開いた。


「どうしよう……助けて! 無理だわ、絶対に!」


友人はローラを軽くコースの方へ押し出しながら笑った。


「行ってらっしゃい! あなたの実力を見せてあげて! でもほどほどにね、あの人にカッコ悪いところ見せないように~ 頑張って、見てるから!」


心臓が早鐘を打つ中、ローラはコースの中心へ歩み出た。上の観覧席からは、ヴァロンの落ち着いた視線が注がれているのを感じた。


そして、惨劇が始まった。


ここ数日、常に優秀な成績を収めていたローラだったが、緊張のあまり体が動かなくなった。最初の障害を飛び越えようとした瞬間、自分のブーツにつまずいて、そのまま地面に倒れ込んでしまった。


観覧席の一部からは、笑い声が漏れた。


「あらあら、どうしたの、凄腕の戦術家さん?」


「足、震えてるわよ!」


ローラは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら起き上がり、訓練用の銃を構えて標的を狙うも、的はずればかり。弾道がエネルギーバリアにはね返って天井に当たり、エラーの警報が鳴り響く。さらに擬似障害物を避けようとしたら、命綱に足をからませて、しばらく宙にぶら下がる始末だった。


上の方では友人が両手で顔を覆い、恥ずかしそうに、だが笑いをこらえきれずにいた。


「女神よ、ローラ……何をやってるのよ~」友人は指の隙間からつぶやいた。


周りの笑い声は大きくなった。だがローラがやっとの思いで立ち上がり、うつむいて地面に穴が開くほど恥ずかしがっていると、指揮台の方を見た。


ヴァロンは怒っていなかった。彼は心から面白そうに、穏やかな笑顔を浮かべていた。指導者としてのあの厳しい顔ではなく、めったに見せない、自然な笑みだった。


彼はドリアと数言話すと、ゆっくりと階段を下り、アリーナの中へ入ってきた。汗びっしょりで、まだ顔の熱が冷めないローラの前で立ち止まった。


ヴァロンは柔らかい眼差しで彼女を見つめ、落ち着いた声で言った。


「ローラ……私の部屋へ来てください。少し話があります」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。