第6章 息子の輝きと緊張の大失敗
艦内の戦術試験場は、期待感に包まれていた。この日は子供たちと若い訓練生たちが、身体能力、反射神経、エネルギー制御の実技試験を受ける番だった。ローラと友人は観覧席から、中央の試験コースに目を凝らしていた。
リーの番になった。わずか八歳の少年がシミュレーターの中心へ歩み出ると、合図と同時に疾風のように動き出した。精密な動きでホログラムの攻撃をかわし、戦術解析アルゴリズムを瞬時に解き、標的を次々と撃ち抜いていく。そのあまりの余裕に、誰もが息を飲んだ。中央のモニターに表示される彼の成績は急上昇し、子供部門の記録を塗り替えた。
彼は間違いなく、天才的な才能を見せていた。
ローラは胸の前で手を組み、我が子の活躍に目を細めた。誇らしさが胸にあふれる。隣の友人も口を開けて驚いていた。
「女神よ……」友人はつぶやいた。「あなたの息子、戦術の天才じゃないわ! 他の子供たちがかなうはずないわ!」
ドリア長官がグループのそばへ来て、大型モニターの数値を見ながら眼鏡を押し上げた。
「驚いた……」ドリアも明らかに驚いていた。「この年齢でこれほどのエネルギー制御は、まさに常識外だ」
だがリーの活躍の輝きは、古い嫌がらせの声によって曇らされた。周囲の観覧席からは、驚きの沈黙がやがて陰口に変わっていった。
「あり得ない……あの忌まわしい血が、ここまで上り詰めるのか?」
「この子が大きくなったら、我々全員にとって脅威になるだろう」
「クリザードの血は、消えることを知らない」
ローラの笑顔は消えた。彼女はうつむき、胸が締めつけられるような寂しさに包まれた。どれほど我が子が努力しても、父親の影が常につきまとうのだと思うと、心が痛んだ。
友人はローラの落胆に気づき、そっと肩を軽くたたいた。
「ねえ、そんな人たちの言うこと、気にしないで」友人は低く、だが力強く言った。「ただ前へ進めばいい。八歳の男の子が艦隊全員より才能があるなんて、彼らはただ嫉妬しているだけよ!」
ローラは深呼吸した。心の中で、昔からの誓いがさらに強くなった。「私は、この子たちへの偏見を変えてみせる。アレスは私たちの名前を汚した……だけど私は、息子に同じ思いをさせない。リーはこの場所の英雄になる。そしていつか、誰もが彼の価値を認める日が来る!」
彼女は悲しみを振り払い、顔を上げると、手を口の周りに添えて、心からの愛を込めて叫んだ。
「頑張れ、リー! お母さんはいつでも応援してるよ!」
下のコースにいたリーは母の声を聞いた。彼は立ち止まって観覧席を見上げ、真剣な表情を解いて、満面の笑顔を浮かべた。
そのまさにその時、施設の磁気シャッターが開いた。
重々しい存在感が会場全体を静かにさせた。ヴァロン卿が精鋭の衛兵五人を従えて入ってきた。彼は落ち着いた歩調で歩を進め、その自然な指導者的なオーラに、誰もが目を奪われた。
観覧席のそばを通りかかると、ヴァロンはローラの方を見て、わずかに、ほとんど分からないほど頷いた。
ローラの顔が一気に真っ赤になった。彼女は思わず一歩下がり、慌てて視線をそらした。
当然、友人は見逃さなかった。彼女はローラの肩越しに身を乗り出し、いたずらっぽく囁いた。
「ほらね……我らが素敵なリーダーよ? ねえ、彼、絶対あなたのこと気になってると思うわ!」
「ち、違うから!」ローラはどもりながら、ますます顔を赤らめた。
「まあまあ、その真っ赤な顔は何なのよ~」友人は楽しそうに笑った。「いつもは強気なあなたが、こんなに慌てるなんて!」
ヴァロンはそばへ来て、責任者に声をかけた。
「ドリア長官、今日の調子はどうだね?」
「おかげさまで順調です、ヴァロン卿」ドリアは恭しく答えた。「それにしても、リー君は本当に驚くべき才能です。そして母親のローラも、戦術訓練で非常に優れた成績を上げています」
ドリアはローラの方を向いて、にっこりと笑った。
「そうです、ローラ……次はあなたの番です。個人実技の発表をお願いします。さあ、行って、どれほど上達したかを見せてあげなさい!」
ローラの頭の中が真っ白になった。今⁉ まさか、あの人の前で⁉
足がすくんで動かなくなった。不安が一気に押し寄せる。彼女は友人の方を振り返り、目を見開いた。
「どうしよう……助けて! 無理だわ、絶対に!」
友人はローラを軽くコースの方へ押し出しながら笑った。
「行ってらっしゃい! あなたの実力を見せてあげて! でもほどほどにね、あの人にカッコ悪いところ見せないように~ 頑張って、見てるから!」
心臓が早鐘を打つ中、ローラはコースの中心へ歩み出た。上の観覧席からは、ヴァロンの落ち着いた視線が注がれているのを感じた。
そして、惨劇が始まった。
ここ数日、常に優秀な成績を収めていたローラだったが、緊張のあまり体が動かなくなった。最初の障害を飛び越えようとした瞬間、自分のブーツにつまずいて、そのまま地面に倒れ込んでしまった。
観覧席の一部からは、笑い声が漏れた。
「あらあら、どうしたの、凄腕の戦術家さん?」
「足、震えてるわよ!」
ローラは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら起き上がり、訓練用の銃を構えて標的を狙うも、的はずればかり。弾道がエネルギーバリアにはね返って天井に当たり、エラーの警報が鳴り響く。さらに擬似障害物を避けようとしたら、命綱に足をからませて、しばらく宙にぶら下がる始末だった。
上の方では友人が両手で顔を覆い、恥ずかしそうに、だが笑いをこらえきれずにいた。
「女神よ、ローラ……何をやってるのよ~」友人は指の隙間からつぶやいた。
周りの笑い声は大きくなった。だがローラがやっとの思いで立ち上がり、うつむいて地面に穴が開くほど恥ずかしがっていると、指揮台の方を見た。
ヴァロンは怒っていなかった。彼は心から面白そうに、穏やかな笑顔を浮かべていた。指導者としてのあの厳しい顔ではなく、めったに見せない、自然な笑みだった。
彼はドリアと数言話すと、ゆっくりと階段を下り、アリーナの中へ入ってきた。汗びっしょりで、まだ顔の熱が冷めないローラの前で立ち止まった。
ヴァロンは柔らかい眼差しで彼女を見つめ、落ち着いた声で言った。
「ローラ……私の部屋へ来てください。少し話があります」




