第88話 地区大会
その後は、エルナが日に日に様子がおかしくなったこと以外は特に問題なく日々が過ぎていった。
メイさんに仕事は問題ないか聞いているのだが、特に問題はないらしく粛々とこなしているらしい。
ちなみに飛行船に関してもプロジェクトチームが立ち上がり色々と動き出しているそうだ。
まぁ急かすつもりはないのでゆっくりやってもらえればと思う。
部活の方は順調そのものでタイムがドンドン伸びていくので不気味がられている。
サヤ先輩の方は去年の地区大会の時の記録に並んでいた。
まだ1度出しただけなのでまだまだ安定はしていないのだが、まぁここまで来たら頑張って欲しい気持ちもあるのでこのまま地区大会で結果を出してもらいたい。
「明日に備える必要もないだろうけど無茶はするなよ」
いよいよ明日が地区大会なので念押しをしておく。
「大丈夫、タイム調整は完璧だからそれにここで目立つとめんどくさいしね」
まぁ優勝した時点で注目されるのは間違いないが、さすがにとんでも記録を出すと注目の度合いが変わってくる。
例年を少し上回る程度のペースで調整しているので後は一緒に走る人次第ではあるが…一緒に走った人が遅いと困るのでしっかりとタイム調整を行なった。
「本当は全力出してもらいたいんだけどなぁ」
「そこは弁えてるから、それにあっちで充分暴れてきたしね」
ちなみに今日は練習なく休養日だったので向こうにいって海竜を狩ってきていた。
鬱憤を晴らすかのようにボコボコにしてきたそうだ。
エルナとメイも一緒にいって魔力の補充をしてきたみたいである。
魔岩のおかげで行き来のエネルギー問題はほぼ解消したのでかなり気楽に行き来が可能になった。
今週の土日は2日とも全員でアヤネの応援に行くことになっている。
祖母は料理教室の腕によりをかけて弁当を仕上げると張り切っていた。
ちなみに会場へはアヤネ達は部の車で向かうそうだ。
男子の陸上部からも1人出場しているので、女子と男子で合わせて5人とマネージャーが1人を先生が引率という形である。
そんなこんなで大会当日無事に会場へと到着した。
アヤネは朝早く先生が自宅に迎えに来たのでこの会場で合流である。
「俺は一応顔出してくるよ」
「私達はこのへんにいるわ」
という事で母達と別れて部の先生とマネージャーの元に合流する。
「運転お疲れ様です、先生」
「いやいや、これくらいしか力になれないからね…ただ世界に届くアスリートを乗せてると思ったすごく緊張したよ…」
「来年からは予算増額されてバス会社とか頼めるんじゃないですか?」
「どうかなぁうちは国立だしなかなか…」
という会話を先生とする。
マネージャーの方は色々と準備をしているようでテキパキと動いていた。
あれ?確かこの子は…以前挨拶した小町先輩だったかな?
男子陸上部のマネージャーなので接点らしい接点はないが、練習の際にはよく会釈するくらいの関係性は築いている。
選手達は着替えているようなのでこの後、合流するようだ。
「そっちこそ男子の部で出れば結果出せたんじゃないか?」
と先生がぶっこんでくる。
「ほとんど練習に参加してない奴が出場するなんて嫌ですよ」
「参加する気はないというのがヒシヒシと伝わってくるなぁ…」
「高校に通ってるうちには起業するつもりなのでそんな時間ないです」
「起業ってお前、マジか…」
「家族に1人スポーツマンがいれば充分ですよ、俺はサポートで満足してます」
「まぁそのサポートのおかげであいつらもここ数週間で凄い伸びたからなぁ」
とサヤ先輩達の事を言っているようだ。
「今度入ってくる1年とかは最初のフォームなんか指導を頼むかもしれんがそれくらいは良いか?」
恐らく先生なりの妥協案という所だろう。
「平日であれば付き合いますよ、基本アヤネが出てるうちは」
「助かる」
とそんな話をしていると男子陸上部のエース、宮野先輩だったかがやってきた。
「うちの次代のエースの勧誘ですか?先生」
「いま振られた所さ」
「お前はやっぱり女子に囲まれてた方が良いか?」
とふざけて言ってくる。
この先輩は割とはっきりと物を言ってくるので色々と角が立つ事があるが…。
「ええ、汗臭い男子を見てるより女子を見てた方が健康的なんで」
「ハハハ、そりゃちがいねぇ。まぁお前に対してとやかく言うやつがいたら俺にいいな大半の奴は黙らせてやる」
「お世話になります」
こういうタイプの先輩である。
歯に着せぬ物言いは敵を作りやすいがこっちがはっきり言えばそれ以上追求してくることもなければ嫌がらせをしてくることもない。
将来は警察官になりたいそうなので、曲がった事を嫌う。
俺に対して陰で嫌味を言っていた奴を黙らせたのもこの先輩だ。
「なぁに、文句がいいたければお前に勝ってから言えと言って誰一人勝てなかった訳だし文句を言える立場でもないだろうさ」
男子陸上部全員とすべての競技で勝負したが肉薄したのは宮野先輩だけで後は相手にもならなかった。
現在男子陸上部で表立って俺に対して文句を言う奴がいないのもこれのおかげである。
「陸上部の事を考えればこっちに参加して欲しい気持ちもあるが、正直お前1人だけ突出するだけだしな。ただ、今度入ってくる1年とかは少し練習を見てやってくれ」
「それは今、先生にも頼まれたので協力はしますよ。土日は嫌ですが」
「そこはほんとに頑なだなぁ…」
「土日は忙しいんですよ」
そしてそうこうしてるうちに女子4人がやってくる。
そこから先生からの激励の後、それぞれの種目の出番まで待機である。
◯あとがき
今後の流れですが、大会終了後に修羅場→四大国の動向→夏休み+飛行船→戦争という流れになります。
新作の書き溜めを始めたのでこちらの作品の頻度は落ちると思います。
ご了承ください。




