第87話 不穏
昨日は爆弾をぶっこまれて疲れたのだが、それよりも昨日夜中にトイレに起きた時に何やら物音がしていたエルナの部屋で何があったかの方が気になっていた。
今日の朝食時は心ここにあらずのような状態だったので聞けずにいた。
他の人達もその様子に気付いていたようだが、俺と母と祖母は心配していたがアヤネとメイの2人はいつもの事かみたいな顔をしていた。
「なぁエルナさんの様子おかしかったけど大丈夫かな?」
「ああ、あれは新しい魔法とか見つけたとか発見した時の状況だから大丈夫」
どうやら2人にとっては知っている状態だったようだ。
「ひどいとご飯も何も食べないからまだ初期状態かな」
おうふ、さらに状態は進化するようだ。
「そうならないようにしないとな…」
「いやぁ…あの状態までいくとほんとにテコでも動かないから大変じゃないかなぁ」
研究者タイプはこれだから…。
「まぁやることはしっかりやるから大丈夫よ、あの状態でも敵倒したりとかの仕事はしてたし」
それはそれで怖いんだが…。
そんな会話を繰り広げながらも学校に向かう。
ちなみに今日は母も出勤日なので一緒に出発である。
「そういえば大会の日は休みとれそうだから頑張りなさい」
と母がアヤネに伝える。
「地区大位なら別に良いのに」
とアヤネが言う。
まぁアヤネの身体能力的にはそうかもしれないが地区大会は凄いんだぞ…。
「前回仕事でいかなかったせいで他の保護者の人から色々言われたのよ」
ああ、確かに他の保護者は見に来てた気がするな。
俺もいくか行かないか迷った位のレベルだったので母は呼ばなかったのだ。
「それは、ごめん」
と俺が謝る。
「ああ、別に嫌味とか言われた訳じゃないのよ。お宅のお子さんすごかったのよ!っていっぱい言われてさ」
なるほど嫌味の方に想像してたが…まぁ部のエースに喧嘩を売る親はいないかさすがに…それにアヤネの出場してる種目は基本的にリレー以外はうちの選手はエントリーしていない。
「凄い力を持ってるのかもしれないけど私にとっては自分の子供の晴れ舞台だもの見たいじゃない」
「それならしっかり見に来てよ、全部1着取るからさ」
と少しアヤネは恥ずかしそうにしつつも嬉しそうであった。
現状アヤネと拮抗出来る相手がいない以上どうしても消化試合のように感じてしまっている。
チートだと言われればその通りなのだが、まぁ前世で培った力を使っている以上アヤネの力だ。
それを使うのにズルだと言われる筋合いはないという心持ちで俺はいる。
「ハヤトも走れば良いのに」
「いやいや、参加するなら土日の練習でなきゃいけないし嫌だよ」
しかもここ最近は色々立て込んでて走り込みなども疎かになっている。
こんな状態で勝てるほど甘くはない。
「3年の大会だけ期待してるわね、ダブル表彰台」
と変なプレッシャーをかけられるがそれこそ出る気はない。
3年の大会だけ出るとかどんだけ性格悪いんだって話である。
「マネージャーってことで隣に立つからそれで満足して」
今のうちに念押ししておかなければ…。
「むぅ…息子の晴れ姿も見たかったのに」
「違う方面ではがんばるから」
鉱石類の採掘ルートと販売ルートが確定したらそのまま会社設立に切り替え予定である。
出資という形で誤魔化しているがそろそろ税金関係がめんどくさくなってきた。
「まぁ…正直期待以上というか凄いことしてるとは思ってるけど」
「兄さんは凄いのはわかるけど…あんまり私は目立ってほしくないなぁ…」
「そこまで目立つつもりはないから大丈夫だと思う」
と言うとアヤネが訝しい目で見てくる。
確かに最近は陸上部の方では少し目立っている気もするが…学校内ではそこまで目立っているつもりはない。
勉強は出来ても正直余り目立つ事はない。
全教科で1位だったとしても俺が公表しなければバレる事はないからだ。
アニメや漫画だとテスト順位などを発表というイベントでバレたりするのかもしれないが、そんなイベントはないのでクラス内では目立たず過ごしているつもりだ。
「クラスで目立ってるのはアヤネのせいだろ…席離れてるくせにすぐ寄ってくるんだから」
「だって…そうでもしないと…牽制しとかないと…」
「なんだって?」
なにやら小言でブツブツと言っているが聞き取れなかった。
「それじゃ私は仕事行ってくるから2人も気をつけてね。車を吹き飛ばさないように」
「はいはーい」
「了解」
俺はともかくアヤネが事故にあったら吹き飛んだり凹むのは車の方である。
そんなこんなで学校に向かう。
ちなみに朝練があるのでそれなりに早い時間なので人通りは少ない。
ほどなく学校に着く。
着替えをして部活へと参加する。
「おはようございます、今日も早いですね」
「ええ、今日も指導お願いね」
とサヤ先輩は一番乗りであった。
「あの飴のせいか知らないけど身体に全く疲れとかないんだけどほんとに大丈夫なのよね?」
「アヤネも服用してて何も言われてないので大丈夫ですよ」
「それは一番の保証なのは間違いないのだけど効果が良すぎて不安なのよ」
「調合自体は専門の人がやってるから大丈夫ですよ、ほらうちの母は医療関係者ですから」
だからなんだという話ではあるのだが、並べ立てれば説得力になるのだ。
「まぁそういうことなら」
そんな話をしているとアヤネと2人の先輩もやってくる。
「今日もよろしくお願いします」
と頭を下げてくる2人。
「さて準備運動してから始めますか」
それから朝練をこなしてから学校の1日を過ごして帰宅した。
今日は部活を最後までこなして帰宅するつもりだったのだが、ある所から連絡が入っていたので早めに帰宅した。
「ここからの電話は少し不安なんだが…」
そう連絡が来ていたのは司馬官房長官からであった。




