第85話 飛行船
旅行計画も大事だがまずは移動するための乗り物である。
一応、メールにて社長には連絡だけはすでに入れてあった。
「なにそれ面白そうだ!手伝わせて欲しい!」
というメールを頂いている。
この人、社長のはずで忙しいはずなんだけど…おかしいなぁ。
ノリノリだったのもあって出資金も含めて用意しようと思い母に換金を頼んだという背景もある。
「まぁ資本金が増えたおかげで倍々に増やそうと思えば増やせそうなんだけど…」
投資は基本的に動かせる額が増えればリターンが増える。
しかし、利確してしまうと税金が大量に発生してしまうので正直、もうこっちで稼がなくてもいいのではとも思い始めていた。
「異世界マネーロンダリングが便利過ぎてなぁ…」
確かに金貨を売って利益を出しているが、得たお金は経費という事で鉱石類を購入している。
どういう訳かというか…まぁ当然のことながら俺の『通販サイト』を通すと金の流れがそこで途切れるのだ。
まぁ元々汚いお金はないので不正をしてるつもりはないが異世界からの輸入業をしているだけでかなりのお金を稼げてしまっている。
「ほんとは鉱石系を売れればもっと稼げるんだけどなぁ…」
あまりアカウントが注目されるのもよくないのでそちらにはまだ手を出していない。
まぁそれはこっちの世界のアカウントでやるつもりである。
まぁそのへんの話はおいおいかな…この通販サイト通したら実質無税になるわけだし…。
税金に持っていかれるからそれ以上に稼がなきゃいけなくなるっていう社会構造は実はバグなのではという状況を打開出来るとんでもスキルである。
メールで詳細を伝えた所、リモートで話が出来ないかという連絡がきたのですぐに準備を整える。
そして連絡を取ると
「いやぁどうにも技術者としての腕が騒いでしまってね」
とどうやら待ちきれない様子だった。
「飛行物体は気軽に作って試せませんからね」
「そうなんだよ!この前のブースターについても試験飛行をしようと思ったらどれだけ面倒か…」
国への届け出も含め色々とめんどうな事をしなければならないのだが…。
あっちでは誰に咎められる事もなくその手の事はなんでも出来る。
ドローンを飛ばすのも許可を取る必要もないので飛ばし放題である。
「この前の映像も年甲斐もなくとても興奮したよ」
打ち上げから結果も含め撮影した映像はすべて共有してあったりする。
「全く素晴らしい、しかも今度は飛行船を作るだなんてワクワクしないわけがない」
そう依頼したのは飛行船の設計である。
居住性もさることながら安全性を考えると気球では厳しい。
飛行機を作っても運転難易度が高すぎて操縦が出来ない。
という訳で飛行船である。
飛行船も難しいといえば難しいのだが。
本来は風の影響等を考える必要がが、そこは魔法があるので操縦難易度はかなり下がる。
「操縦システムは既存のシステムを使うとして、後は内装と外装って感じかな?」
「そうですね、また先日のように材料と設計図さえ用意出来ればと思っています」
「いいね、制作が絡まないのと法律ガン無視できるのはとても助かるよ」
「安全性は確保して欲しいです…乗るので」
「そこはもちろん、ただどうしても色々お金のかかる法律がね…」
安全性の担保というのは重要だが、制作するのにあたって関係ない所で色々と費用が発生する。
それこそ制作費がかからないというだけでかなりの額が節約出来る。
「基本大量生産できない飛行船は色々とコストがね」
「ちなみに出資ということですでに奥様には言ってありますので…」
前回のとは別で5000万出資している。
「いち学生が支払う金額じゃないよ…ほんとに」
「あんまりお金溜め込んでても仕方ないので…価値ある所に提供しますよ」
「まぁ先日のブースターの実験結果は是非参考にさせてもらうよ」
前回のブースターに関しては実験品という事になっている。
実際に試験飛行させてデータも提出しているのでかなり役に立つそうなので何よりである。
「ただ、こればっかりはそれなりに時間を貰うよ、人が乗る以上は安全性は大事だからね」
「こちらこそ無茶なお願いをして申し訳ないです」
「かなり楽しんでやらせてもらってるから問題はないよ」
「でも、全部お一人でやってるんです?」
「いや、さすがにこの規模だと1人は難しいから数人手伝いを頼む予定さ」
「実物のない製品なのにいいんですか?」
「別にうちで開発して発売しても構わないだろ?」
「売れますかね…?」
正直飛行船の需要はあまり高くない。
制作費が高額な理由は、どちらかというと利益の回収率が低いという問題もあるからだ。
「実地試験の費用がないだけでかなり節約出来るからね…そこは心配しなくても大丈夫。出資してもらってる以上慈善事業にはしないつもりさ」
との言葉を頂いた。
「そちらに関してはおまかせしますが、あちらのことなどは内密にお願いしますよ」
「その辺りは抜かり無く、それと例の件も妻に頼んで準備を進めているよ」
「ありがとうございます、まだ皮算用状態ではありますが…最低でも金は卸せますので…」
「それだけでもお釣りが来そうだよ」
鉱物資源の卸し先として協力を要請していた。
大量の鉱物を仕入れたとしてもそんな大量の鉱物を捌くのは難しい。
しかし大手企業に協力してもらえるのであればかなり容易になる。
「そちらについては…こちらも法人化の準備を進めておきますのでよろしくお願いします」
「では、また何かあれば相談させてもらう」
という事で打ち合わせは終了した。




