第76話 肉体改造
許可をもらったので遠慮なくいく事にした。
まずはフォームの改造から始める事にした。
異世界品を試すのはアヤネが来てからである。
「とりあえずタイム測定もしたいので走ってもらっていいですか?」
と3人に促し並んで走ってもらう事にした。
アヤネや俺と比べると遅いのは当然なのだが、サヤ先輩でもこのままだとインターハイは難しそうなタイムであった。
他2人はさすがにレベルが違い過ぎてこのままだとアヤネが爆走する羽目になりそうであった。
「とりあえずわかりました。1人ずつフォームを改造しますけど誓約書に書いてある通り身体を触るのでご了承くださいね」
といって1人ずつ足や腰まわりの筋肉を触って確かめる。
残念ながら見てわかるほどの眼は持っていないので触って確かめるしかないのである。
改造とは言っているが、無駄に力の入っていたり、力そのものを出せていない箇所を矯正する。
そしてそれぞれの筋肉量に合わせてフォームを改造といった手順である。
1人ずつフォームのアドバイスをしながら走ってもらいフォームを固めていく。
「思ったよりも普通ね」
とサヤ先輩につぶやかれた。
「まずは基礎フォームですからね、改造するのはこれが出来てからです」
正直一朝一夕で出来るものではないのでここは徐々にやっていくしかない。
「ちなみに今週の平日でフォームは固めるので土日は3人で撮影しながら走ってください、また来週の月曜日に見るので」
「そんなに早く出来るの!?」
「元々基礎は出来てるので後は個々の筋肉量に合わせて色々とって感じです」
まぁその前に下準備があるのだが…。
とそんな事をやってるととんでもない形相を浮かべてアヤネがとんでもない速度でやってきた。
「なにしてるわけ?」
なぜだか怒気を含んでいる。
自分以外が教わるのが気に入らないのだろうか…。
「先輩達から指導を頼まれたからなアドバイス中」
「そんな身体に触る必要あるわけ?」
「そもそもの筋肉量が足りてないと怪我するからな、把握するのに必要なんだよ。お前にもしただろうが」
と正論を翳すと不満そうな表情を浮かべていた。
ある程度のフォームに変更した後は何本も走ってもらう。
そして疲労が溜まった所に異世界の品である。
「とりあえずこれ舐めてもらえます?」
というエロ漫画だったらかなりまずいセリフを呟きながら取り出したのはタッパーに入っている飴玉である。
「これは?」
「疲労回復用の飴です」
さすがにこんな不用意に出した飴を舐めるのは危機意識の欠片もないのでアヤネも呼ぶ。
と待て待て全員普通に取って舐めようとするな警戒しろ。
「何?」
まだご機嫌ななめのようだ。
「これ舐めてくれる一応安全なもんだって証明させたいから」
「ああ、それね」
そういってアヤネが俺が手に持っているタッパーから飴を一つ摘んで舐める。
「とりあえず安全な飴だっていうので舐めてもらいましたけど…ほんとはこんな他人から出されたもんをぽいぽい食べちゃダメですからね」
「いや、まぁ信頼してるし」
「信頼と盲信はダメです。一つ取って俺にもらってもいいですか?」
と言うとサヤ先輩が手にとって俺の口に入れようとする。
「いやいや、手でいいですから!?」
「いいじゃない、ほら先輩命令」
とかいう訳のわからない理屈でそのまま口に放り込まれた。
「ありがとうございます…とりあえずドーピングとかの類ではないので安心して舐めてください」
という訳で3人が舐める。
「なんか楽になったかも…」
「さっきまで足とか重たかったのに…」
「ほんとに大丈夫これ?」
と三者三様の反応を示した。
「一時的に脳を騙してるだけなんでほら、休憩終わり行っていって」
といってまた走ってもらう。
そしてその後も限界まで走り込んでから飴を舐めて走ってを繰り返してもらった。
ちなみに舐めてもらっているのは治療に使うポーションを飴に加工したものである。
筋肉痛などの炎症なんかに効くかどうかとどういう回復の仕方をするのか気になったので実験している訳である。
もし走る事によって受けた筋肉のダメージを回復させてくれるのであればそれは筋肉の超回復が起こる事になるのかという実験でもある。
もしそれが可能であれば、これによって通常時間がかかる超回復を繰り返す事が出来るのである。
「なんかすっごい走ったのに全然疲れないんだけどほんとにこの飴合法?」
「合法だよ…アヤネもパクパク食ってるだろ」
ちなみにアヤネは一度ドーピングを疑われて薬物検査された事がある。
まぁあれだけの身体能力を見せている以上目をつけられるのは仕方ないのだが…当然何も出ない。
なんせこの飴玉に含まれているのは市販で売ってるクエン酸などを含んでいる飴玉とほとんど変わらないのである。
大きな違いはこの世界では検出されない魔力が含まれていること位である。
ちなみになぜこんなものを持っているのかというと俺が食べているからである。
魔力が芽生えないかという実験も兼ねてという感じではあるのだが…。
アヤネ達についていくのにある程度の身体能力が欲しかったからである。
なので先週作成したので今週から実験する予定だったのだ。
サンプルは多いほうが好ましいので試してもらった訳だが…最後に身体を触って調べた結果。
明らかに筋肉量が肥大していた。
わずかではあるがこんな短時間でこれほどの効果が出るのは驚きである。
3人とも自身のタイムが伸びているのはフォーム矯正の結果と思っている。
後はこの増えていく筋肉量に合わせてフォームを改造していくことになる。
インターハイまでの日数でどれほどの効果が出るかわからないが頑張ってもらおう。




