第71話 測量
さすがに毎週休みをもらう訳にはいかないので土曜日に部品を受け取りにいった。
「ありがとうございます。それとこちらが頼まれていたものです」
「あくまでも仕事だからね、気にしないでくれ⋯それに正直もらいすぎな位さ」
「そう言ってもらえると助かります」
プラモ達をホクホク顔で受け取りご満悦な表情を浮かべる社長からブースターを受け取りとんぼ返り。
とんぼ返りをする為にメイも同行している。
ナギサさんに頼んでいたプログラミングソフトを受け取っていた。
「これでばっちりのはずよ、地上からの一定の高度で射出されるようになってます」
実際にあの世界のあの星がどういう仕組になっているかまでは調査中なのでその辺りのプログラムをどう組むのかが結構問題だったのだが⋯。
「細かい調整は、メイさんなら出来るはずだから」
ということでメイさんが出来るようになってくれたのは朗報だった。
そしてそのまま家に戻り3人で異世界に移動した。
こちらの世界でアヤネのアカウント出品した品をそのままこちらで購入する。
結果として届くのは明日である。
そのまま持ち運び出来ればいいのだが⋯向こうの物品をこちらに持ち込むには俺の『通販サイト』のスキルを通さないとどうしようもない。
さてなので何をするにしても明日からである。
「それで今日は何をするの?」
「ゆっくりしましょうと言いたい所なんですがやりたいことがありまして」
先日ドローンと一緒に購入していた高度計である。
電波を飛ばして距離を測定してくれる優れモノなのだが、ドローンの高度の関係で測れずにいた。
「この高度計を宇宙まで飛ばしたいんですよ」
ドローンの限界高度まで行った後が問題だった。
「この世界って実際の高度は地球と同じくらいじゃないの?」
「うーん、恐らくなんですけど地球より少し大きいんじゃないかと思ってます」
「でも時間は同じくらいですよね?」
そうこちらの世界とあちらの世界の時間はほぼ同じ。
まぁおかげで助かっている訳だが⋯。
ただ、問題は定点カメラで撮影をしたのだが星の流れる速さが地球と比べると早かったのだ。
つまり自転周期が地球よりも早い可能性があった。
なのに地球と時間が一緒という事は地球よりも大きい可能性が高い。
衛星を打ち上げるのにあたって高度の測定は必須という訳である。
「ブースターの方はある程度余裕をもって作ってもらったから大丈夫だと思うんだけど結局どこで射出するかは調べないといけないんですよ」
「高度を測るとは言っても浮遊魔法は使えないわよ」
とエルナから言われる。
「正直宇宙という存在自体が私達にとっては最近知りましたからね⋯」
とメイも続く。
「大丈夫です、とりあえずこいつを宇宙まで飛ばして貰えれば」
「それでこのまえの実験ってこと?」
この方法は一応地球で実験済みである。
地球では普通に上手くいったのでこちらでもうまくいくことを願うばかりである。
「前回と同じように風魔法で持ち上げてください、可能な限りまでで大丈夫なので」
気球というには不格好な作品だが、ブルーシートを切り出して簡易気球を作り、それをあげてもらうことした。
これは風魔法が空気を生み出しているのではなくあくまでも空気を操って風を起こしていると聞いたからである。
つまり空気が有る所までしか上がらない。
地球では上手くいったのでこっちでもいけると思い試してもらった。
結果は成功したが⋯。
「あっちでやるより大変だった⋯」
「こっちじゃなかったらアヤネがいないと出来なかったかも」
魔力が潤沢にあるこちらの世界で大変という事はやはり星の質量が違うのかもしれない。
先日体重計を購入して計ったのだが、あちらの世界よりも0.2kgほど少し重くなっていた。
恐らく質量の関係で重力が地球よりも強い。
高度計の発信する電波を地上で拾った結果⋯およそ地球から120kmの地点で空気がなくなるようだった。
地球ではおよそ100kmで無くなるのでやはり地球とは多少違うようだ。
「いけそう?」
とメイから尋ねられる。
「とりあえずは高度500km地点で放出かなぁ」
ということでメイにプログラミングをしてもらう。
「それでそこまではどうやって上げるの?あれ以上の高度となると何かで飛ばすしかないわよ」
とエルナから言われる。
「小型ロケットは用意してある、それが届くのは明日だけどね」
材料を揃えて組み立てオプションを使用して出品した商品を俺のスキルで購入した。
ちなみに材料と設計図は司馬社長から提供されたものである。
「設計者である以上自分で作ってみたいと思って制作してたものだけど日本じゃ作っても打ち上げとかめんどうな上にかなり費用がねぇ⋯」
という事で断念した話だった。
材料は揃っていたのでそのまま譲ってもらい出品したものを組み立てオプションをつけて購入した。
プラモと同じであればこれでロケットが送られてくいるはずである。
強度などの問題もあるのでこれで上手くいくかわからないと社長はいっていたが⋯多分なんとかなりそうだなぁとなんとなく感じていた。
「神頼みっていうやつかな」
と呟き明日の為に準備を行った。
◯あとがき
さすがに専門知識すぎてネットで漁った知識しかないので細かい数字などはこういう世界なんだと受け入れて頂けると助かります。




