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せっかく転生したのに日本でスキルが通販スキルなのはさすがにひどくないですか?  作者: 色蓮
1章

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第31話 アヤネside

 通販で届いた魔石は、間違いなく魔力を持っており本物であった。

そしてその商品には手紙がついていた。



そこには兄の現状が書いてあった。

異世界に飛ばされ、ある人に保護されているそうだ。

兄の無事が確認出来て安心することが出来、すぐに母と祖母にも伝えた。



兄と手紙のやり取りをする為に、こちらでも出店登録をして商品を出品してくれと指示があったので名前も兄の指示通りに出品する。

「商品は塩で良いって書いてあるけど…しかもこんな高値で…」

他の人に買われると面倒だからとかなり高額で出品した。



出品して1時間ほどで購入され、手紙を付けて発送手続きを行った。

これで無事に届けば手紙のやり取りは可能となる。



送ってから1日、向こうから届く1日メールであればすぐにやりとりが出来るというのに、この2日のラグがとてもやきもきする。

本来であればこのやりとりが出来るだけ神様に感謝しなければいけないのだが…。



そして、あちらから大量の魔石を送ってもらう事に成功して魔力を補填し転移魔法を使える状況にまでなった。

自宅で練習も行い、大丈夫な事を確認した。



「ほんとに転移出来るのね…魔法みたい」

「魔法なのよ、ママ」

眼の前に突然現れた私の姿を見てそんなやりとりを交わす。



ちなみに1階の居間では祖母が私が消えたといって騒いでいた。

無事に転移は出来たが、問題は魔法陣の維持であった。

あちらの世界であれば魔法陣を一度書けば壊されない限りは何度も使用することができたのだが…。



こちらでは魔力の補充が出来ないせいで魔法陣が維持することが出来なかった。

何度試しても、1日が限界であった。



あちらの世界に送った魔法陣は、恐らく問題はないがこちらの魔法陣の維持を考えるとあちらに長居することは出来ない。

それに私までいなくなってしまったら2人を悲しませる事になってしまう。



そんな事もしたくなかった。

親切な人に世話になっているとは聞いているし安全で暮らしには問題ないとは聞いていてもやはり自分の目で確かめたかった。



「必ず帰ってくるから待ってて」

と母と祖母に伝えて転移魔法を発動した。



飛んだ瞬間に上手くいったという感覚があった。

慣れ親しんだ魔力に満ちた世界、空に近かった自身の身体に魔力が染み渡っていく感覚と共に万能感に包まれる。



しかし目を開くとそこは現代風の部屋だった。

「あれ…失敗した?」

と口にした瞬間に…。



「アヤネ…?」

と久しぶりの声を聞いた。

私はそのまま兄に抱きついていた。



兄に言われるまで自分が全裸だと全く気付いていなかった。

なるほど、魔力を吸収効率がやけにいいと思った。

手紙で聞いていた通り、兄はとても健康そうで問題は無さそうで非常に安心した。



というよりあっちの世界にいた時と同じような格好をして同じような物を食べていた。

まぁ確かにあっちの世界の食事を味わってしまったらこっちの世界のご飯は美味しいとは…素材の味と言われれば良いと思うが正直あっちのご飯を味わった後にこっちの世界のご飯が美味しいとは口が裂けても言えなかった。



そして驚いたのは、世話になっていた人が師匠だったことだ。

私の魔法の師匠であり人生の師匠でもあった。

彼女がいなかったら私は勇者にはなっていないし、世界も救えていない。



兄の着ていた服に身を包まれて久しぶりの兄の匂いを堪能しているが…

お世話になっていた人が師匠だと知って安心感と一緒に自分の中にある、ある感情が湧き上がっていた。



そのモヤモヤを発散するために、久しぶりに狩りをする。

大型の魔物に遭遇し自身の力を誇示するかのように叩きつける。



久しぶりの感覚にとてもスッキリしていたというのに戻ってきて2人が仲睦まじく話す様子にスッキリしていたというのにまたモヤモヤとした感情が湧き上がる。



この感情の正体は知っている。

しかし、実の兄である存在に抱く感情ではないことも知っている。

だけど、どうしてだろうか…この感情は年々強くなっていく。



兄を連れ帰れればすべて解決だったのだが、服すら持っていけない状況で兄を連れて帰る事が不可能なのは分かっていた。

そして私自身が長居出来ないということも分かっている。

母達を残してこっちに残る事は出来ない。



しかし、その前にやっておく事があった。

兄にちょっかいを出そうとしていた学友達にもやっていた事ではあるが、どうしても止まれない。

「了解、帰る前に師匠と2人でお話したいから昼ご飯の用意しててもらえる?久々に食べたいし」



そういって師匠と2人きりになる。

「兄の事を保護して頂いて本当にありがとうございました」

「アリナ、良いのよ。正直こっちのが面倒見てもらってる状況だし」

「えっと…アリナって呼び方はもう止めてください。私の名前はアヤネって言います。アリナはもう死んだ存在なので」



私…いやアリナはもう死んだ。

勇者であった自分の役目は終えて転生したのだから、その名前を引き継ぐつもりはなかった。



「そ、そうアヤネね…わかったわ。でもこれだけはアリナに伝えてもいいかしら…この世界を救ってくれて本当にありがとう…」

そう言って頭を撫でられる。



師匠のこの言葉が最高のご褒美であり最高の勲章だったかもしれない。

転生出来た事も含めて本当に頑張ってよかった…そう思えた。



だけど、兄の事はそれとこれとは別である。



「それで師匠…兄とは何かありました?」

「何かって?ええっとご飯とかは作ってもらってるけど」

「いえ、そうじゃなくて男女の何かです」



「えっ!?男女ってそんな…いくつ歳の差があると思ってるのよ、そんなこ…」

「無いんですね?」

「無いわ、もちろん向こうもそんな気、起きないでしょう?」



師匠の貞操観念はこっちの世界の基準だ。

こっちの世界の男は見た目がどんなに若くても年齢が上=恋愛対象としてはありえないというのが常識であり長命種のエルフである師匠は、人間から見たら恋愛対象としてありえないのだ。



もちろん年齢を話さなければわからないのかもしれないが…この世界の人間は基本的に魔力の質で眼の前の相手が自分より年上だと直感でわかるように出来ている。

そのため、自分より上の相手を相手にすることは滅多にないのだ。



だからこそ、師匠は油断しているし恐らく自分が女性として見られている事に気付いてもいない。

だからこそここで自覚させておかなければいけない。



「いいですか、あちらの世界では歳の差なんて些細な事なんです。だから兄の前で絶対に気を許しちゃダメですよ!」

「ええ、そんな訳ないじゃない。若い女にしか価値がないというのが常識でしょ」

「そんな常識は向こうにはありませんよ!だから絶対に無防備な姿を晒しちゃダメですからね!」



どうも納得がいっていない様子の師匠だったが…。

「面白い魔法を教えてあげるのでこれであちらの世界の書物を読んでみてください」

「えっ読めるようになるの!?」

師匠は魔法の方に興味津々だがこれでわかってくれるはず…。



「翻訳魔法の応用で完成させた文字の翻訳魔法です。実際の本に限りますけど本にかければわかる言葉で私達が読むことが出来ます」

これは、あっちの世界にきて兄が読んでいる本を自分も読みたいと思い自力で開発した魔法だった。



ちなみに兄が読んでいたのは簿記の本だったのだが、読めるようになってもさっぱりわからなくて泣いた記憶がある。

読めるのと理解出来るのでは違うのだ。



とりあえず、師匠に魔法を教えた上で兄の前では無防備な姿を晒さないように忠告する。

大丈夫、いい歳なのだから兄がどう思っていようと師匠なら大丈夫なはず。



とりあえず師匠に注意してもらう事でやり過ごしてもらうしかない。

こっちの世界で兄が生きていくには師匠の助けは必要不可欠なのだから。



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