第12話 スキル確認
第一前提としては元の世界に帰る手段を探すというのはあるのだが、それを置いといてもやることが決まった。
「帰れるかどうかについては正直方法がわからないのですが…そういった魔法があるのですか?」
「一応召喚魔法っていう分類の魔法は存在してるんだけど…呼び出せるのは小さな虫位なもので人間を、しかも別の世界から呼び出せたなんて話は聞いたことがないわね」
魔法の第一人者のエルナが知らないということは存在しない、もしくは確認されていないという事だろう。
「実はここに飛ばされる寸前に魔法陣みたいな物が現れたんですけど…」
一瞬の出来事だったので性格に記憶している訳ではないのだが…。
エルナに頼み紙と書くものを貸してもらい書いてみた。
「正直合ってるかどうか怪しいのですが…」
現れたのはほんの一瞬しかもすぐに崩壊してしまったので細かい部分は覚えてはいない
星の形と円の数位なものだ
「へぇ…なるほど系統としては召喚魔法に近いものみたい」
どうやらこれを見ただけでどんな魔法かわかったようだ。
「八芒星が召喚魔法に用いられるものなんだけど、問題はこの円の部分ね」
太い線と細い線が二本、そらにそこになにやら紋様のような物が描かれていたことしかわからなかった。
「ここは基本的に呼び出す為の命令式みたいな物なんだけど…ちょっとこれだけだと判断できないわね」
どうやら解読は難しいようだ。
しかしこの魔法陣自体はこの世界の召喚魔法であることは確認出来たのは大きな進歩だ。
「ちなみに呼び出した物を返す魔法っていうのは…」
「存在しないわね、基本的には実用性の乏しい魔法だからあまり研究が進んでないの」
「そうですか…」
「まぁでもちょっと色々調べてみるからあんまり気を落とさないで」
と言って慰めてくれた。
本当にこの人に拾われてよかったと心の底から思っている。
色々と考えを巡らせていると…
「今日はもう疲れたでしょう?…ゆっくり休みなさい」
と言ってくれた。
確かに今日は、入学式から始まって異世界転移…裸で遭難してからのこの怒涛の展開である。
疲労は溜まっていた。
「あっごめんなさい、残念ながらベッドは一つしか無いの…」
「大丈夫ですよ、床でも寝れますから」
「さすがにお客様にそんなことはさせられないわ…」
と言って外の小屋に何かを取りに行った。
藁を持ってきて部屋に入っていった。
「いいわよ」
と呼ばれ部屋に入ると先ほどは、ベッドという言葉に変換されたが彼女が使っているベッドは、ベッドと呼ぶにはあまりにも些末な物であった。
木枠の上に藁を下に敷きその上に布を被せたものに見える。
先ほど彼女が用意してくれたのは藁を敷き、そこに先ほど俺が横になっていたゴザをのせた物であった。
「女性と同じ部屋で寝るわけには…」
「女性って久しぶりに言われたわね。こう見えても私は200歳をとうに超えているのよ。そんなの気にしなくて良いからそこで寝なさい」
と衝撃の事実を知った上で俺は言われるがままにござの上に横になった。
そして彼女も上着を脱ぎ今、俺が着ている服に変わった。
胸につける下着が無いのか動くたびに揺れるので視線を逸らした。
「ほんとはこっちを使わせてあげたいのだけど…」
「いえいえ、これで充分です!」
「これで寝ないと寝付けなくて…それにこれ自体が魔道具になっててね」
と彼女がベッドに腰掛けると部屋全体がほんのりと暖かくなった。
「私自体の魔力を使って温めてるから私が寝ないと効果が出ないの」
ある意味凄い技術だなと関心しつつ…やはり木造の家で恐らく防寒対策などもしていないのだろう。
隙間から入り込む風で部屋の温度自体は少し低い。
「後はこれを羽織って寝てね」
と言われ外陰を渡される。
「何から何までありがとうございます」
「気にしないで今日はゆっくり休みなさい」
と言われエルナが部屋に灯っていたロウソクの火を吹き消した。
星あかりが窓から差し込み少し明るいがほぼ真っ暗の状態となった。
それから少しして疲労のせいかこんな状況であっても眠気に襲ってくるが…。
自身のスキルの事を思い出し…。
「7日で届くし今のうちに…」
という思いでテントや寝袋なんかの野営道具、他にもこっちの世界で役に立ちそうな調味料や食料、そして服なんかもまとめて注文した。
どれだけ注文しても届くのは7日後であり送料も一緒なのでどうせならとまとめて注文を行った。
そもそもこっちの世界でこのスキルが使えるのかどうかわからないが、動画配信やなんかは見ることが出来るので、通販も大丈夫だろうと思い注文した。
かなりの量を頼んだので合計金額が今まで頼んだ事が無い金額になっていたが背に腹は変えられないので約30万の注文を完了した。
これで7日後に届けばこのスキルを使って…と色々思考を巡らせるには疲労が溜まっていたようで気づけば眠りについていた。
転生神サマside
「一体どこに行ったんだ!」
自身の世界から完全に痕跡が消え残されたのは彼が身につけていた物達。
恐らく世界を渡るのにあたって取り残されたものだ。
慌てふためく彼女だったが、こちらも状況の把握が出来ていない。
どこかに召喚されたというのはわかっているがその場所がわからない。
世界というのは無数に隣り合わせに存在している。
その距離が近ければ近いほど似た世界であり、遠ければ遠いほど関わりが薄い世界となる。
私はその中の一つを任されているに過ぎず、他の世界に飛んでしまうと探すのが困難となる。
通常ここまで必死になる事はないのだが、貴重な観察対象を失う訳にはいかないという一心で捜索していた。
しかし、残念ながら近隣の世界には彼の存在は確認出来なかったそうだ。
他の管理神にも確認してもらった。
飛ばされるとしたら近しい世界しか無いと思っていたのだが、一体どこにいったと思っていたら、与えたスキルから注文が入った。
「どうやら無事生きててくれたみたいだ」
そのおかげで場所を特定することが出来た。
すぐにその世界の管理神に確認を取ったが、かなり遠い世界の神な為少し時間が掛かりそうだ。
会社で言うと近隣の世界は隣のデスク、遠い世界は別の支社位の距離があるので確認にも時間がかかる。
「なるほど…彼女だけ指定して召喚魔法を使った訳か…しかも媒介を使って」
通常であればこんなに離れた世界から召喚は不可能なのだが、彼女のみを指定して狙い撃ちをした召喚だったようだ。
これから大変かもしれないが生きててくれて何よりである。




