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遊び人と妖精⑥ それだけ?

賭博で稼いでその日暮らしではなく、安定した仕事を探す。

柄にもないことをしていた。


ようやく見つかった仕事は、バーの店員。


「お兄さん歳いくつ?」


「毎晩通っちゃおうかな」


外見目当ての女性客がすぐついた。

俺は割と楽な仕事だくらいにしか思っていなかった。

そのせいで妖精が不安になっているなんて

思いもしなかった。


ベッドの上で唐突に聞かれた。


「どうして、仕事変えたんですか?」


「いつまでも不安定な仕事してる訳にいかねぇだろ」


「……それだけ?」


「何が言いたい?」


「女の人に会いたいのかなって……」


「は?」


浮気の心配か。

よくある話だ。


「お前がいるだろ」


「私は……妖精だし、男だし」


震えた声。

俺はため息をつく。


「言っただろ、関係ないって」


妖精は黙り込む。


「……仕事は」


「お前のこと考えて、変えた」


「え?」


「養えるように」


タバコに火をつける。


「ごめんなさい……私が、稼げないから」


「俺がしたくてやってんだから、いい」


「でも……」


持ちつ持たれつ。

そうやって世の中は回ってく。

なのに。


「あなたの負担には、なりたくないんです」


また、それか。

たまには甘えろよ。

ちょっとカチンときていた。


「そうか」


それだけ言って背を向ける。


「……怒っていますか?」


「……いや」


恋人になったはずなのに、一向に自分から求めて来ない妖精。


それどころか、前より遠慮がちになった気がする。


付き合う前は、朝まで飽きずに抱いていたのに。


段々と、抱く回数が減っていった。


妖精は何も言わなかった。


抱く回数が減っても、

会う回数が減っても。


最初からそういうヤツだった。


わかっていた。


たとえ俺が浮気しても何も言わない。


きっと。


多分。


それがほんの少しだけ、寂しかった。


新しい仕事に慣れた頃、客の女に誘われた。


近くの宿を取ってるから、来ないかと。


もちろん断った。


ただ、その女は計算高かった。


店に財布を忘れていった。


俺は財布を届けに宿に向かった。


客の宿に財布を届けただけ。


まぁ予想通り誘惑はされたけど、軽くかわして宿を後にした。


そのとき、宿に入る俺をアイツが目撃していたなんて知らなかった。


次に会ったときに唐突に言われた。


「やっぱり女の人がいいですよね……」


「は?」


ポロポロと妖精は涙をこぼす。


「どうした?」


妖精は首を振る。


「いえ……」


無理して笑う。

その意味がわかっていなかった。


宿にばかり行こうとしていた理由も。


「ホテル行きませんか?疲れちゃって……」


今思えば。

必死に抱かれようとしていたのかもしれない。

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