遊び人と妖精⑤ 付き合うか?
「……付き合うか?」
宿屋でいつものように行為が終わった後、
俺は一服しながら言った。
隣で妖精は固まる。
「え……?」
「お前のこと養う財力はないけど」
「それでいいなら」
相変わらず賭博で金を稼いでいた俺は、
その日暮らしの日々だった。
ただ、
コイツをそのままにしておくのは違うと思った。
それだけだった。
妖精の目からポロポロと涙が溢れる。
「おい……」
何で泣いてんだ。
「夢みたい……」
泣き止ませるみたいに、頭を撫でた。
「本当に、私でいいんですか?ただの妖精の、私なんかで……」
「んなの、関係ねぇだろ」
涙でぐしゃぐしゃになった顔にキスをした。
嬉しそうに笑う。
コイツのこういうところに、
胸が少しだけ熱くなった。
ーー
「ちゃんとメシ食えよ」
次の日。
別れ際、金を渡す。
「ほら」
妖精は首を振る。
俺は妖精の手を取り、金を握らせた。
「じゃあな」
「あ……」
振り向くと
「ありがとうございます……」
妖精が頭を下げていた。
恋人になっても、アイツの腰の低さは変わらなかった。
敬語で、遠慮して、金は受け取らないし。
変わったのは、前よりよく笑うようになった。
それだけで、十分だと思っていた。
ーー
賭博の帰り。
繁華街でたまたま、アイツを見かけた。
隣には、男。
胸がざわつく。
きっと客だ。
アイツは仕事をしてるだけ。
なのに、イライラする。
客なのは分かってる。
分かってるのに、嫌だった。
俺は背を向けた。
アイツと付き合って、初めての嫉妬だった。
次の日。
夜他の妖精達と立ちんぼをやっているアイツのところに行った。
いつものように、突っ立ってるだけ。
客取る気なし。
なのに、昨日は男といた。
思い出すだけでイライラする。
「おい」
俺に気づいて笑顔になる妖精。
「どうしたんですか?」
自分に会いに来たなんて思ってもいない。
「行くぞ」
妖精は一瞬止まりつつ
「は、はい」
慌ててついてきた。
その夜、俺は優しくできなかった。
部屋に入るなり、妖精に荒々しく口づけた。
すぐにベッドに押し倒す。
妖精が震えているのも無視して。
ーー
行為が終わった後、理性が戻った俺はタバコをふかしながら煙を見ていた。
昨日のイライラをぶつけるみたいに抱いた。
妖精は何も言わない。
首筋に痛々しいくらいの無数の鬱血の痕。
何やってんだ……
これ、客取れねぇだろ。
……いや、取らせたくねぇのか。
かといって、養う器量もない。
後悔した。
「悪い」
「え?」
妖精と目が合う。
「何がですか?」
「あんたが昨日……男と歩いてんの見て、カッとなって……」
妖精が目をぱちくりさせた。
「そうだったんですか……」
腕にギュッと抱きつく。
「嬉しいです」
向けられる純粋な目。
それから、俺の生活は少しずつ変わっていった。
気づけば、アイツのことを考える時間が増えていた。




