遊び人と妖精④ そういうヤツだった
妖精との距離は変わらなかった。
相変わらず金があるときだけ、
妖精の店に行き、抱きたいときだけ抱く。
数ヶ月行かないときもあった。
俺のことなんて忘れて、他のヤツと幸せになってくれればいい。
そう思っていた。
それでいいはずなのに、
店で必ずアイツの姿を探してしまう自分がいた。
見つけると、
少しだけ安心した。
あれから随分時間が経っていた。
行為が終わり、俺が一服していると妖精が隣に座った。
そっと肩にもたれかかってくる。
「嬉しいな」
「……何が?」
「一緒にいられて」
「まだ言ってんの」
俺はフッと笑う。
妖精をベッドに押し倒し
唇を奪う。
腕の中で
「好き……好き」
呟く妖精。
またあの俺を欲しがる目。
理性が飛ぶ。
その夜初めて、
俺は妖精に痕を残した。
そんなこと、
今まで一度もなかったのに。
消えなきゃいいと思った。
ーー
朝。
「らしくねぇことしちまった……」
繁華街を歩きながら舌打ちする。
妖精は気づいたら何を思うのだろうか。
困惑?
喜び?
「まぁ、いいか」
考えるのをやめた。
村のカフェに入る。
昨夜一緒にいたあの妖精がいた。
「あ……」
妖精が会釈する。
セルフサービスのカフェ。
トーストとコーヒーを席まで運んでいた。
「お前もメシ?」
「はい」
「一緒に食う?」
「はい」
妖精が席に座る。
視線が、
一瞬だけ首元に落ちた。
「あー……悪かった。それ」
「え?」
妖精がハッと気づく。
「いえ」
首を振る。
「私はあなたになら、何されてもいいので……」
俺は固まる。
――ああ、そうだった。
そういうヤツだった。
面倒なはずなのに、
嫌じゃなかった。
何か気になる。
目が離せない。
カフェを出た後。
「あのさぁ」
「はい」
振り向きざまにキスをした。
アイツは驚く。
俺は笑う。
「じゃあな」
手を振る。
都合のいい関係。
そんなのは、長く続かなかった。
ーー
「辞めた?」
いつものようにあの店に行くと、アイツがいなくなっていた。
「何で?」
「あんたにしか媚び売らないから、全然指名取れなくてね」
辞めたというより、辞めさせられたらしかった。
「アイツは、どこに?」
「さぁ。立ちんぼでもやってんじゃない?」
夜、売れない妖精が村の道端で立って客引きをしているのを見かける。
あれか……
一瞬、足が止まった。
「お兄さん、今夜どう?」
「安くしとくよ」
妖精達が片っ端から通りすがりの男に声をかけている。
金稼ごうと必死。
その中に一人、ボーっと突っ立ってるヤツ。
やっぱり、アイツだった。
「……おい」
「あ……」
俺を見つけるなり、妖精の顔がパッと明るくなった。
「行くぞ」
「はい」
それで、十分だった。




