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ガールズトーク







うぅん………という自分の声で起きた。何だか色っぽいな………こんな声も出せたのか私。この新現実に睡眠の習慣はないから、今起きたなら気絶していたということで……ええと……そうだ、花見をしていた。パーティが終わったんだ。浴衣姿で少し肌寒い。



それで、この前と同じく私が秋葉のベッドにいて、目の前に彼女が寝ているということは……あの後に景色をここへ戻した……のかな?まあそうなのだろう。スヤスヤと目を閉じるあまりの美しさに、つい頬を軽く撫でてしまう。浴衣が少しはだけていて黒いブラとストラップが見え隠れしているので直してあげた。これはセクハラではないぞ。



そうしていたら、んん……って、これまた艶っぽい声で髪をかきあげたから『秋葉、起きたの?』と私が言うと「ん〜」とか不機嫌そうに眉をひそめながら薄目を開ける。……秋葉、パーティ楽しかったね。すごかったよ、あんな桜吹雪見たの初めてだからずっと記憶に残ってるよ、と起きがけから話してたら



「んん…………にゆ…………うん、たのし……かった…………にゆ…………いつもきれい…………」



って、ええっ?!…………そんな、いきなり言われたらドキドキしちゃうよ………まだ酔ってるのかな?とか思いつつ『あ、ありがとう、秋葉もきれいだよ?』とお互いに見つめ合って。



あ……顔、照れてない…………。秋葉、もう『近い……』とか変なこと言わなくなったね?って尋ねると「そんなこと…………もう言わないよ」なんて、…………え?



「にゆ……のこと……見ないなんてもったいないこと……しない。こんなに、かわいいん……だから。」



え……あ、ありがと………って、ぎこちなく返事してたら「だから……私のことも、見て?」なんて笑顔で見つめられて。か、カッコいいんですけど……?



……え、あ、うん、見るよ、たくさん見る。と伝えると「うれしい……」ってぎゅっとされ、ん?まだ夢なのこれ?とか思いつつ、私も嬉しいよ、とハグを返した。あ……いいにおいがする……………あれ?この香り……………



「……人のベッドで淫らな…………悪魔に見初められた小悪魔…………エッチの祭典…………年中発情期…………」



う、後ろの壁側から聞こえてきたもう一人の声は…………あ……秋葉っ!?ぎゅっとしてるこっちは葉子!?っていうか、同じ浴衣だと本当にそっくり双子で分かるわけがないこれ!



「あははっ♡間違えないでね?にゅ〜♡私が本当の、ここあだよ♡」



…………なるほど、それはそれで面白いね。そのノリで『ここちゃん〜♡にゅ〜♡』ってやってたら「うるさぃ……」なんて、秋葉はまだふにゃふにゃの声でぎゅ〜っと抱きついてきて。前に後ろに私、美人姉妹に愛されちゃった〜♡とかふざけたら葉子はまた笑った。



というか、なんで3人で寝てるの?と聞くと「え〜?ここちゃんがとりあえず私たちをパーティルームに戻したから、あとは私が家に戻して、みんなをお部屋へ運んだの。そしたら眠くなっちゃって私も一緒に寝ちゃった♡」らしい。



あ……そうなんだ、ありがとね。いや〜全然気づかなかったよ〜……はは………なんて笑って下着を見たことは秘密にしていると「やだ〜ほんとにかわいい〜♡ね、ね、おはよう♡って言って♡」とお願いされたので『おはようっ♡葉子っ♡』ってちょっとあおいみたいに首をかしげて可愛く言ったら「ひゃんっ♡もう一回♡もう一回♡」とか繰り返してて私たち何をやってるの?新現実をやってるの?


 




「ここちゃんはしばらく起きないかもね〜。」と葉子から伝えられ「ね〜行きたい場所があるから遊びに行こ〜♪」って誘われ。私は家着みたいな服を着ていたんだけども、しかし何か予感がして『どこに行くの?』と問うと「新宿だよ♪」……すぐに着替え直した。



AIの人間しか歩いていないと分かっていても『おしゃれっぽくしないとさ……』と思わせるのがやはり都内だ。私にとってそこは「Tokyo」という一つの魔法が常に張られているように感じる場所で。……いや私も東京だけどさ、立川のこの辺りとはまた雰囲気が違うから。



何となくクセで葉子に手を伸ばして、「?」という顔をされてから気づいたのが遅かった。「にゅ〜、手をつないで移動してたでしょ♡はぁ〜ん可愛い♡今度あおちゃんとやろ〜っ♡」ってすっかりバレて。もうどうにでもなれだ……ゆっくり寝ててね秋葉……と私は赤い顔で目を閉じる。



スクランブル交差点の真ん中に景色が変わり、外国人やたくさんの人、人……が思い思いの価値観を掲げながら歩いている。葉子はスカイブルーのシャツと白のパンツスタイルで似合う……かっこいい………。私はおなじみの不思議な冷蔵庫に「出掛けるんで私に合う服よろしく。」なんてお願いした結果、デニムロングスカートとオフホワイトのTシャツにスニーカーが創生されたのでそのまま着て「にゅ〜は歩くだけで可愛いなぁ♡」となぜか腕を組まれながら歩いた。デートなの? 



看板……看板………とか、久しぶりの繁華街を歩きながらつぶやいていたら「はぁ……楽しいな。」と同じくぼそっと声が聞こえて。そういえば変装も何もいらないから楽だよね、葉子良かったね……ってニコニコしつつ、あのHISUIと歩いてるぞ〜?見てくれ〜!みたいな気持ちもあったので、ちょっとおすまし顔で歩く。都会というのはこういう気持ちにさせる。


  

『私、この辺りはあまり来なかったよ。友達と映画を何回か見に行ったくらいで……』と話したら「そうなの?良かった、絶対話しかけられたりするからこんな所ダメだよっ」なんて秋葉みたいなことを言ってるから『はは……そうだよね』とか笑ったら「その笑顔も見せちゃダメっ」って……なに?彼氏なの?……いいけど??



しばらく歩くと金属の看板の古めかしい喫茶店に到着し、客を拒んでいるかのような狭い入り口から長い長い階段を下がっていった。すると赤黒い革張りソファとアンティークなウッドテーブル、そこに置かれた陶器のランプが薄暗い店内をほんのりオレンジに灯していて。わお……オトナぁ。



ここに来ればいつでも夜の気分だ……と、店内をキョロキョロしながら葉子の後をついていく。あまりよく見渡せないがお客さんはほとんどいないようだ。厚い絨毯の感触を足で楽しんでいると急に左の奥の方へ曲がって、レンガの柱のそばのボックス席にて立ち止まり。先に座るように勧められたので、お邪魔します……って入るとなぜか彼女も隣に並んで微笑んで。あれ??これ、エッチなお店??



「……気に入った?いいでしょ?私ここでね、ソロのための曲とか歌詞を書いてたんだ♪デビュー前の思い出の場所だよ♪」 


 

すっごいね……葉子はオトナだよ、私だったらこんな所一人で来れないよ?と言ったらあははっ!と軽く肩を叩かれて、ねぇ何か飲む〜?とかそれ、やっぱり怪しい店ですよねっ??って言ったらさらに爆笑されたから『しーっ』なんてやったけど別に平気なのか、そういうお店だから……じゃなーいっ!……………え?違うよね?

 


ほんのり灯るランプを頼りにメニューを見て、店員さんに自家製プリンを、葉子はフレンチトーストと紅茶を注文した。本当に暗いけど手元、見えてるのか?



「にゅ〜、ガールズトーク、しようよ♡」



いいよっ?何のお話するっ?なんて高級プリンが来るのを待ちながらワクワクしてたら



「ねぇ、ここあとエッチなことした?」



ぶはっ!!って声が出た。が、ガールズトークとかそもそもよく知らないけどっ、そんなスタートある?オトナなガールズトークってこと?よく分からないよ!



『えっ?なっ?なに?どういうこと?何もしてないよっ?』とか変に動揺してたら「いやん♡素直でいいから……教えて?♡」って、誰か助けてぇ!



「じゃあ………キスした?」なんて聞くけどさ、してないよ……と言っても意味深に微笑んで「ふ〜ん?」とか全然信じてない。「ほんとに〜?」と、やっぱり疑っているので「い、いや、そんなことしたらさ、なんか子どもができるとか何とか秋葉が……」って余計なこと言っちゃったから「や〜んっ♡しようとしたんだぁ♡」もう違うって!ほんとに助けてぇっ!!



『もし、仮にそんなことをしたらで、できるのかな……?』なんてことをちょっと話をそらすために言ってみたら、急にあごに手を当てて「ん〜」とかもうさぁ……彼女にそっくりすぎてどんどん顔が赤くなってきたから冷たい水のグラスをこっそり顔につけていると私のプリンが来て助かった。


 

はい、あ〜んと言われたので口を開けたらフレンチトーストをくれたから、私もスプーンで本格派なプディングをすくって一口あげた。うん!どっちもおいしいよっ!って食レポしてたけど、ランプに照らされた妖艶な頬杖がこちらを見ていて喉が詰まるかと思った。表情エッチすぎっ!



『あ、あのさ、私たち、ともだちだからさ……』というのは、この人には通用しないんだ。「エッチなともだちだよね?」なんて予想通り返されたから、またぶはっ!!と吹いて大いに笑われた。



別に、何とも回答できなくて『ふつうの……ともだちだよ?』って素直に言ったらニコっとして頭を撫でて来る。そして何となく寂しげにお店の壁を見つめて「ふつうねぇ……ふつうって、なんだろうね?」という難しいことを話しながら紅茶のカップを傾けて。



「ねぇ、聞いてくれる?…………私ね、ふつうじゃないってことは知ってたんだ。知ってたんだけど………やってみたくてやったらね、やっぱりできなかったんだ。」



「私ね、結婚、無理だったんだ〜♪」とニコニコしながら抱きつかれ。いや、何にもコメントできないし……という顔をしていたら「ごめんね?悲しくならないで〜?円満離婚だったから〜」なんて言う。



「……お互いね、変な人だったんだ。最初からワガママ同士だってこと分かってたから、そうなることもあるかもねって想定し合ってたんだ。だからね……私達、悪い子なんだよ?」

 


ええと、ここあは……そういうこと知ってるの?と聞くと「うん、あの子はすごいよっ」って褒めてから彼女の完璧な真似を披露した。



「葉子は……『たとえそれをして後悔するとしても、それをしなかったことの方をより後悔する人』だから………何も間違ってはいない。」



……何かすごい名言を言ってるはずなんだけどさ、なぜか2人で「あははは!!」とか、お店の天井に響くほど笑ってしまった。葉子モノマネがうますぎるよ……お腹痛い……と死にそうになってたら「にゅ〜もうまいよ!」って言うけど別にあんまり嬉しくない……と返したら「そうだよね!」とか納得されてまたテーブルに伏した。



うーん、葉子の話とはまた違うかもしれないけど…………と、私はグラスの水滴に触れながら話した。結構ガチな話も……ガールズトークなら良いだろうか?



  

…………親戚にね、結婚した初日に、ケンカをして別れた人がいたんだ。母親からその話を聞いてさ、母は『常識がないよ』みたいな責めることしか言ってなかったんだけどね、私は違うことを思ってたんだ。



……この世の中って、やってみなきゃ分からないことたくさんあるよね。それで……人の気持ちって一瞬一瞬動いていくものだと私は思ってる。だから、結論が出たのなら、心変わりしたのなら、それを尊重することは全くダメなの?悪いことなの?ってモヤモヤした。



……逆に私の親は……私から見ればもう、2人とも心が止まっていたから。葉子達みたいにね、お互いに話し合うんじゃなくて、昔から自分のことを話すのをやめてた。だから家の中は休みの日でも幽霊が住んでるみたいに静かでさ。……まあ、最初は出会って楽しくスタートしてたんだと思うけど……結局思うんだ、あんな風になったのは、そもそも……動いている心を2人で『固定』しようとしたからなんだろうなって…………



「1枚の紙で?」



葉子は、私にニヤっと笑いかけた。…………うん、そうだね。こんなこと、言っていいのか分からないけどさ……なんて後から付け足していたら「いいんだよ。ここは新しい世界だからね♪」って両手を組んでウインクして。いや、キザだけどカッコよ…………母親に見えないなこの人。



「ここあも言ってたよ。『そんなもので2人の人間がうまくまとまるなんてこと、私は想像もつかない……』って。にゅ〜も同じこと思ってたんだね、すごいね♪」



うん……いつかそういう枠みたいのが緩んだりしたらみんな楽なのにな……とは思ってたよ、と話すと手を差し出されたから私も出すとニッコリ握手される……首脳会談かな?テーブルのベルをチーン♪と鳴らしてパフェを注文するのも何だか偉い人みたいだ。



「私はね……この世界に来て、嬉しかったよ♪もう、法律とか色々いらなくなって、自分が愛している人たちと、毎日を取り決めて仲良く暮らしていける。こんな幸せはないよ。」 


 

あおいと?って尋ねると「にゅ〜もだよ♡」とか言うからここちゃんも?とふざけると「そうだよ♡愛に隔たりはないの♡愛がある人とどこまででも広がって、つながっていくもの。それが幸せなんだよ?にゅ〜♡」って……まじか。それって誰とでも同時並行で恋人になるってこと??



「別に、簡単なこと、なんだよ♪難しくしようと思えばいくらでも難しくできるけどさ?これが通じない人たちというのは必ずいるから、それはそれでいいんだよ。2人だけで愛し合うことも……素敵だ。」



大きなメロンの乗った美しいパフェをあ〜んする。恋人か…………今は葉子がここにいて、これがあおいだったら?と想像する。


『はいっ!丹海さん美味しいですかっ?次はアイスをあげますねっ!』


…………うん、すごく楽しそうだ。それから、薄明かりであ〜んしてくる秋葉を想像する。


『丹海……どう、美味しい?………み、見すぎだから………』……この親子は本当にエッチだな。



……面白いね。そういう考え方は斬新だし、個人の気持ちを尊重しているというか、自由で楽しそうだね。というとりあえずな感想を述べると「嬉しいよ♡なかなかね、みんなこういう気持ちではないから、にゅ〜が共感するなら奇跡なんだ。何だろうね、もっとおおらかでいいのにね♪」って……秋葉みたいなこと言ってるね。やっぱりこの2人は中身も似てるよ。



そう伝えると「あははっ!やだなぁ!」と楽しそうに笑う。ほんと、ふいにイケメンになる時があって横顔でもドキドキするよ……とか思ってたらぎゅっと手を握って「そうだね、ここあの言う通りだ。愛が必要なんだよ。」なんて急に真剣な表情やめて??さてはいつもこの喫茶店で口説き落としてたなっ?


 

「……おおらかってね、もちろん一人一人の心の中の話なんだよね。まず私たちはさ、完璧じゃないでしょ?その気持ちがあって初めて周りに寛容になれる。………私も、昔は色んなことに嫉妬してたけどね。」 



とか言うから『今は?』って質問すると「嫉妬しているね。」という即返事が来て2人で横を向いて吹き出す。



……それでいいんだと私も思うよ。あおいだって秋葉だって色んなことを思うんだ、私も……そうでしょうし、完璧じゃなくていい。細かいこと感じながらもさ、とにかく一人一人の中に仲良くやっていこうという気持ちさえあれば何にも問題なんかないよね。葉子は……その中でも特にあおいを大切に想っているってことでしょ?と問うと「え〜?にゅ〜も好きだよ〜?」ってやれやれ……また軽い!とか怒られても知らないぞ?

 


「にゅ〜、にゅ〜は………ここに来れてよかったよ。」



ひとまず『なんで?』と尋ねると「にゅ〜がね、将来、他の誰かと結婚して欲しくなかったから♪」とか……何なんだ。「だって離婚するでしょ?その考え方のままだったら。」って離婚前提なのも失礼だぞっ。「お見合い結婚でも別れそう」とかクスクス笑って酷すぎるっ、そんな風に見られてるのか?私?



「特にね、にゅ〜みたいな綺麗な女性を、誰かのものにするなんてダメだよ。」



すっ、と私の髪に指を通しながら「……そう思わない?」と聞かれましても。怪しいお店の何かが始まったのか?ってただ困惑してたら「はぁ……あんまり自覚がないんだね……ますますここに移ってきてよかったよ。」と葉子は追加の紅茶を注文し、もう一度こちらを見て。



「……ここあは、うちに遊びに来ていた私の知り合いをね、数多く見ていたから美しさに関して目が肥えていたんだよ。そのここちゃんがね、可愛い可愛いって言うから、それは相当だろうな……とは思ってたんだ。………相当、の遥か上だったよね。にゅ〜、本当に自分でさ、自覚みたいなものは持ってないの?」 



……『かわいいね、美人だね』って、小さい頃から周りに言われることは多かったけど………そうなのかな?というところと、いやそこまでではないでしょ………と思うところは、あったよ?と話すと「結構、自分に厳しいんだね。そのままだと欲が分からないし望みが叶いにくくなるよ。」なんて意外なことを告げられ、ええっ?とか焦った。ど、どうすればいいの……?って葉子様にお尋ねすると「望みの扉を開くには、褒めないと。自分を。」とおっしゃるので『か……かわいい、と思う。』などと言ってみたら「そうそう、自信を持ってよ♡」と、親指を上げてGoodをいただく。 

 


「う〜ん、ここあにはもったいない、私が付き合うよ♡」



はぁ?ってガチめに言ってしまった。


「あははっ!ほんとに♡可愛いから♡」とかなにそれ……もうよく分からない……みたいな顔になってたら口を指で押さえられて「にゅ〜、そこはね、嬉しい♡ってアゲないと。だよ?」と教えられる。 



「んーとね、自分をね、ルーブル美術館に飾られてるものなんだっていうような、それ位の愛、というのかな?然るべき扱いを自分でしてあげないと、願いとか魔法って動かないんだよ。」とか言われたから『ほぅ、なるほど……』って見つめてたら「綺麗だね。」なんて、もう完全に口説いてるじゃん。



「……本当に、綺麗だ。どこにいてもウワサになるだろうし『あの子は誰だろう?』って振り向くよ、私も振り向く。特に笑顔で人を惹きつける力がずば抜けてるよ。にゅ〜はさ、ちょっと可愛いとか美人っていうんじゃないから。日本人の誰もが一度見れば忘れられないくらいの美しさを持ってるよね。」



あ、ありがと………う、嬉しいよ。って笑顔を見せたら「うん♡最高♡」とか褒めるから、わ、私のどこがいいの?なんて漠然とした質問をしたら「目だね。」と微笑んで覗き込まれ。



「特に目が綺麗だね。澄んでいて、奥が深くて、中性的なところと可憐さが絶妙だ。芸能界にも美はたくさん溢れていたけどね、私もかなりの人間を知っているけど、残念ながらずっと心に残る美しさに到達する人はなかなかいないよ、外面的な美しさを磨くレベルにしかほとんどが届いていないから。……にゅ〜はね、精神のレベルが違う。美しさは、最後は内側からのものなんだ。それをみて人は『美しい』と本当は言っている。にゅ〜の研ぎ澄ました心が瞳に表されて人を魅了する。目は嘘をつかない、真実だよ。」



やだ……付き合ってもいいかも………♡なんてかなりときめきながらつぶやいていたら「いいよ♡そう言ってるでしょ♡」とか……ほんとかよっ。ほんとに付き合うぞっ。



…………あ、ありがとう葉子。あのさ、美しいといえば、あおいもすごく綺麗だよね。見た目だけじゃなくて中から純粋で……って、愛しの彼女について話すとうなづき「あおちゃんみたいな人は特にね、様々な人の思惑が飛び交う場所に長く留まってはいけないんだ。なぜなら優しくて染まってしまうからね………」とか意味深なことを喋っている。知りたいけど……それ以上は聞けない雰囲気だ。


 


何となくおなかが空いた気がしたので、葉子と一緒に海老ピラフを食べた。あ、美味しい、今度作ってみよう……とか言いつつあれこれ考えてたら「作って?」とニコニコ頼まれた。「やっぱりね、人の手作りって愛があって美味しいよ、いつもここちゃんに頼んでたけど、にゅ〜のお料理も食べたいな……?」うんそれはもちろん、良ければ作るよ〜と言うと子どもみたいに「やったぁ♡海老ピラフ〜♡」って一番可愛いのは君だよ葉子。



と思ったら、自分の太ももを指して「ここに来て?」なんて言う。えぇ………なんで?と固まってたら『大丈夫、誰も見てないよっ?いないよっ?』とかささやくのが余計にいやらしい。ね〜来てよ〜なんてしつこく誘うので、も〜あおいに怒られるよ?恋人でしょ?と仕方なく座ったら急にイケメンモードに変わって『誰もね……誰かを所有なんて、できないよ?』って耳元で語るのやめてぇ!



『……みんな、美術作品なんだ。素晴らしい一つ一つは誰のものでもないよ。たとえ一時的に誰かに属していたとしてもね……自らの持っている力を見失わない限り、その美しさと輝きは永遠に損なわれないんだ。』



……秋葉の名言のようなものを言ってるけど耳がゾワゾワするし、首から鎖骨を人差し指で撫でられるくすぐったさでそれどころじゃない。これ!やっぱりエッチなお店ですよっ!とあおいみたいに断言すると「こんなこと……ここあとは普段やってるでしょ♡スキンシップだよ♡」などと言われ………やってないが?



「にゅ〜の甘い香り………ハーブの、あれ何だっけ?」



ああ、それはええと、ゼラニウム……みたいなこと言ってたよ……とか話しちゃダメぇ!遅いっ!「……ほら、やってるじゃんっ。何だか嫉妬しちゃうな。」って首をスンスン吸うの秋葉にそっくりすぎてなに?そこまで遺伝子って似るの?怖いよ??



「にゅ〜も、ここちゃんにはそういうこと許すんだ。ねぇ〜エッチなことしてどうだった?教えて♡」



なんでしたことになってるの……と彼女のクンクンに耐えながら水を飲みつつ聞いたら「え、たぶんそうだろうなーって。あの子、私に似て性欲強そうだから。」途端に天井に吹き出しそうになるのをこらえる…………おいっ、同じこと言われてるぞ秋葉っ。エッチランキングトップはこの2人で永久確定だっ。



だから、してないってば………と答えると「でも、興味はある、私17歳だもの。」とか勝手に言うから笑ってたら「その時はここあ博士に聞けばいいよ。『……ねぇ?エッチなことしたいけど、どうしたらいいの?』って♡はぁ、そんなことにゅ〜に言われた〜い♡ねぇ言って〜♡」……もうこの人どうにかしてくれぃ。



……そ、そういえば、ここあもさ、すごく純粋というか芯があって綺麗だよね。ちょっと拗ねたりとかはするけど、独特の輝きを持ってて美しいよ。………なんて話をそらすために秋葉を使うと「……そうだね。ここあも、にゅ〜もあおいにも共通していることがあるよ。」と乗ってくれたけど耳触らないでっ。


 

「私たちは似ている、共通している。私たちは心を磨くことを忘れないし、過度な欲を持っていないんだ。これはすごいことだよ、人っていうのは大概、永遠に欲しがっていくものだからね。にゅ〜、この世界に来る前に夢を見たでしょ?あれがおそらく内側の本心、魂だね。ここを美しくしないといけない。」



そうでないと……たぶん回想と夢の中にずっと取り残されるのだろう。実際に見てきたので分かっている。 



「今はね、私たちが関わった、知っていたほとんどすべての人が、こことは違う現実を見ているのかもしれない。みんなが間違っているとは言わないけれど、本当の現実はこちらだからさ、方向転換しなければいけない時が来るよ。いつか新しい気持ちで、もう一度みんなと会えたらいいよね。」



うん……そうだね、新しい場所でまたお喋りしたいよ。とか話してる合間にも私のおなかを触ったりお尻を……っておいっ「にゅ〜にぴったりの素敵な服を作らなきゃ♡スリーサイズ……」じゃな〜いっ、いいよそんなのって拒むのにどうやら測られ終わったみたいで「ふふっ♡好きだよ♡」とぎゅっとされた。法律〜戻ってきて〜っ!



「ほんとに、美しいね♡にゅ〜は自信を持たなきゃね♡」



太ももの上から元の席に戻って、葉子をじーっと見る。「どうしたの?ごめんね美人でさ?」とか笑うの最強女子過ぎるしイケメェン!『はぁ………あおいが沼るのも分かるよ……』と話すと「え〜?あおちゃん全然キスも何もしてくれないからさ〜び〜し〜い〜♡ねぇしたい〜あおちゃんとエッチなことしたい〜っ」って……欲にまみれてるな。



あおい相手にこんなトークを始めたら大変なことになりそうだ……と思ったらこの前『したい〜♡』とかそんなこと既に言ってたわ。彼女すごい拒否をしてたから、葉子も色々大変なんだね………またじっと見つめてたら「ねぇ!あおちゃんにエッチなことしてもらうにはどうすればいいかなっ?」って知らないよっ!したいって頼めばっ?とか適当なこと言うしかないよ知らないんだからっ。


 


「にゅ〜、トイレいこ〜?」


 


私たち、その場所にご用事もないのに腕を組んで歩いていった。トイレ内のアンティークなパウダールームへ入り、大きな鏡の前で私はヘアスタイリングされたり、言われるがままの表情でカメラに目線を向けて………葉子の専属の何かなの?



「そうだよ♡にゅ〜、私の……永遠の女優さんになってくれる……?」とか言うから『え?いいよ、私で良ければ』と軽く受諾をすると「や〜ん♡プロポーズOKされちゃった〜♡超美女に〜♡」なんてよく分からないけど喜ばれた。嬉しいけど……やはり慣れないことを言ってしまった感はある。でも、こうやって自信を持たなければっ。 


 

葉子プロデューサーは、その後も私を色んな角度から撮ったり勝手に照明を創生して当てたり、ハートを飛ばす指示をして「もう少し柔らかい表情でお願いしま〜す♡」とノリノリだった。そうして動画などを確認すると、ほう、なかなか……秋葉に見せれば少し照れながら「すごいね……」とか言ってくれるだろうという映え♡なものが撮れて2人で大満足した。喫茶店のトイレで何やってるの?



それに飽きた葉子は「ねぇ〜にゅ〜の秘密の恋バナ聞きたい〜あとエッチの感想聞きたい〜♡」とか、また際どい話を始めて『そんなのないって……だからしてないっ』などと私が薄暗い中ピンクになりつつトイレ外の壁に寄りかかりながら喋って、それから何となく葉子を撮影してあげたらエッチすぎてスマホが震える。この表情、さすがプロ。



カメラ目線でハートをお願いしま〜す。とリクエストしたら親指と人差し指を交差させ、白とピンクの大量ハートをめちゃくちゃにまき散らしながら弾けてふざけて笑う。う、美し可愛い………倒れちゃいますねこれ…………今も有名だけど、当時のHISUIデビューがどれだけの衝撃であったのかがよく分かるよ。しかも明るいキャラクターを抑えてやっててその人気だからね、恐ろしい。



すごいな、私、彼女を独り占めしちゃってるな………とか思うとニヤけてきて、そうだ2人で撮ろうよと誘ったら喜んで飛びついてきた。それはいいけど……近いって!み、耳にキスしないでっ!葉子は私の手からスマホを奪い、撮ってしまったそれを即、画像編集で拡大したのち待ち受けにしたからどうするのこれ?カップルなの?と聞くと「そうだよ〜♡」と反対側の耳にもキスされる。そうか、それならいいか。




 

レジの会計トレーにお札を置いて、私たちは喫茶店を出た。前を歩く葉子は気分がアガっているのか大きな鼻歌を歌って、私はまた看板……看板……とつぶやいてから『どこいくの?』と尋ねたら「表参道♪行こう♪」って立ち止まり。ニヤニヤしながら手を差し出して来たから『それはいいからっ』と赤い顔のツッコミを入れて葉子と腕を組んだ。



「え〜ここちゃんとは手もつないでエッチなこともするのに〜!」とか大きな声やめてよっ………いや誰も聞いてないから大丈夫か……じゃないよっ、なんて色んな顔していたようで「あははっ!」と笑われ、



「もう、本当に可愛いね♡」



頭にチュッとされて。『これっ!スキャンダルですよっ!週刊誌に載っちゃいますっ!』などと私は道の真ん中で聞こえるように叫び、葉子はそれに爆笑しながらほっぺたにもしてきて『ああっダメですっ!そんなことしたら特ダネになっちゃいますっ!』なんて言いながら笑いをこらえて。楽しい女子会はまだまだ続くようだ。

 

 






 



  


  

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