↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/16

ひみつ





〈楽しかった。いつでもまた呼んでくれ。〉



アロハイルカ君と観客イルカの皆さんとお別れした。スゥ……と泳いでどこかへ消え、ライブ会場はリビングルームへとまた創生される。



〈……あ、そうそう忘れてた。君ぃ、あのHISUIそれから遠野恭子と暮らしているのか?なんて贅沢な……。彼女達の機嫌はこちらの海にも響く、いつも仲良く楽しくやってくれ、じゃあな。〉



な、なんか一方的な通信が頭の中で流れてきたけど………え?私いつの間にイルカさんとテレパシーできたの?そういうスキルついちゃった?秋葉に今の声が聞こえたかを聞いても首を横に振る。というかいきなり現れたあの人たち本当にイルカなの??それより機嫌が響くってなに??



えぇ………いよいよ新現実はじまっちゃったよ。なんか色々よく分からないことあるけど、でも……新しい発見がたくさんで楽しいかも。本当にこの世界に来れて良かったって思う。おかげで新HISUIも生の遠野恭子も見れたし最高なんだ。



そのご本人達は、ライブが終わると仲良く……というより葉子が拒否するあおいを引っ張って一緒にシャワーを浴びに行った。はぁ………すごかったな、私はコンサートとか初めてだったから。音楽ってこんなに人の心を動かすものなんだ……って感動した。



秋葉も楽しかった?と聞いたら「うん……」なんて、まだ興奮冷めやらずボーっとしていて。母親の歌手活動をリアルで見て、彼女は色んなことを思っただろう。魔法の冷蔵庫に抽出液、ちゃんと入ってるかな?見てみようって言ったら彼女も来たので2人で扉を開けた。


 

おお……!あった。小さな装飾的な瓶が4つ。それぞれ青、ピンク、紫、黄色の液体が不思議に発光しており、これで材料は揃った。ついでにもう一度扉を閉め、しゃがみながら念じる。そしてとあるものを創生していたらフワッと頭にバスタオルを被せられた。



「にゅ〜♡ひみつのもの、どう〜?できちゃう〜?」



シャワーを終えた葉子が顔を近づけて、濡れてもいない私の髪を包んで拭いてくる。うわ……まだ完全に乾いてない髪が何とも艶やかでエッチだ……狂った距離感で途端に私の表情がおかしくなる。「葉子、離れて……」ってすぐそばで言ってる君もだよ秋葉。あの「ほぼゼロ距離告白」を思い出して今にも紅潮しそうだ。 



「最高に楽しい気持ち」が抽出された不思議な小瓶を見せてあげると葉子は大興奮し、ふざけてわざとそのまま飲もうとしたから秋葉に止められた。実際どうなるのか試したことはないけど……もしそれができるのなら度胸があるしすごい。やっぱり同い年と言えど経験値の差はあるよね……私はまだまだ、これからなんだ。 



冷蔵庫から無地のピンクTシャツと黒ペンを取り出して、あおいと葉子にサインを求めた。あ、あのっ、ライブ感動したよ!って素直に伝えたら2人とも嬉しそうで「こんなのいるの〜?」と、サラサラとTシャツの端に書いてくれた。やった、壁に飾ろう。そう言ったら「や〜ん♡喜んでるのかわいい〜」って私をスリスリしてきたけど、秋葉が「私の部屋はNG。」宣言して葉子を即引き剥がそうとすると「やめてよっ!」って抵抗して。ケンカ姉妹かな?


  

あおいに、ライブのスペシャルゲストで呼ばれてびっくりした?と聞いたら「そうですよっ!こっちはさっきまで席で泣いてたのにいきなりステージで歌うんですから!」なんてちょっと怒ってて。それを葉子は「あははっ!!ごめんね?今回は、あれをやりたいって思ってさ。」と美少年みたいに笑って、優しく彼女の頭を撫でた。はぁ♡王子素敵ぃ♡秋葉の目が怖ぃ♡


 

とりあえず、お願いされた「ひみつのもの」が完成するまであと8時間程だとお伝えすると、ええ〜そんなかかるのぉ?と葉子はすぐに子どもモードになって、じゃあ出かけてくる!ってあおいとその場からどこかへ消えていった。うん、風のように自由だ。




 

私たちは不思議冷蔵庫と一緒に2階の部屋へ戻る。なんだか、ずいぶん色んなことがあったな……と振り返りながらキッチンで水を飲んだ。それから前回創生した底の丸い鍋を取り出し、レシピの材料を全て入れて火をかける。時間は……もう存在しないに等しいので体感でやっていくしかない。 


 

シュワ〜と不気味な濃い茶色の煙が上がってインドみたいな香りがする…………一応、木ベラで一通り混ぜていると、秋葉に後ろからハグされた。



「……何のレシピ、頼まれたの。」



それは……秘密にしてって言われたから……って答えるとさらに力を込めてぎゅっとして。私の肩に顔を乗せてきて「はぁ……」なんてため息をついている。ちょっと、くすぐったいんですけど。と反応したら、耳にふぅ……と息をかけられて思わずバッと離れた。ごめんね?ってクスクスしている……くそ、こんなにも自分が耳に弱いとは。



秋葉はソファに横に座り「丹海、こっち。」と呼んできた。私は手を引っ張られてなぜか彼女の脚の間に収まる。後ろに寄りかからずに仕方なく体育座りをしていたら腕を回してきて、私の背中に顔をつけたままずっと黙っている。葉子、はじめて会ったけどすっごく明るくて良い人だね……と、私はお話をはじめた。


 

……秋葉の言っていた通りだね、雑誌や動画で見たクールな感じよりも人懐っこくて、イタズラしたり笑ったり、でも周りへの愛情もすごくあって素敵だよ。あんな人のライブとか音楽を当時、みんな体験できたのが羨ましいって思ったよ。 



「少しの間だったけどね……」と秋葉は私の前髪をいじりながら話し出した。「……3年間。その間にものすごい数の曲を書いて、ツアーをやって、テレビ出演CM出演、ラジオ局、雑誌、何度も倒れたくらいやりたいことをやったって言ってた。最初から事務所に不満があったみたいだから……使うだけ使ってやろうって思ったんだって。よくやるよね……」



不満って何?と質問したら「葉子のあの性格……事務所はダメってセーブした。大人っぽいHISUIをやれ、演じろと言われた」のだという。う〜ん確かに……子どもみたいなところはあるけど、そんな問題かな?と聞くと「あれを……そのまま世に出したら……世間が壊れる。」ってちょっと笑っている。息がかかるから耳元で話さないでくれぃ。


 

「葉子は……ありのままに愛を与えたかった。それが自分のアイドル像だって言ってたけど……それは無理。あと、これは憶測だけど……本当に複雑な人で、作る曲はすごく全体的な愛を歌ってて大人……だから、そういうギャップはイメージの混乱を招くというお偉い人の意見もあったんじゃないかな…………ファンの前でのキャラクターを統一する指示が最初からあったとは言っていた。そこのあたりの詳しいことを葉子はあまり教えてくれない……」



……とにかく、あんな自然体で音楽活動なんてしたら……アーティストを超えて魔王になる……常識とか、この世すべてのことを破壊する……なんて言うから吹き出してしまった。そのぐらい魅力とカリスマがある人だよね、作曲もできるしすごいよって笑ったら「繊細で……頭の良い人。多少変わっているところもあるけど、非常に多面的……人によって角度を変えて違う光を魅せる……ダイヤモンドのよう」なんて最高に褒めてて、すごいね……心から尊敬してるんだね、私も……と言おうとしたらぎゅっとかなり強めに抱きしめられて。



「葉子…………好きになっちゃった…………?」



背中越しに聞いたこともない弱々しい声が聞こえるから……いつものからかいもできないじゃん。



それは…………好きになるでしょ、誰だって……と言うしかないけど。そうじゃないよ〜なんておかしな嘘はさすがにつけない。



「みんな…………好きになる。私は、私は……………」



秋葉もすごいよ、って手を握った。……お母様を一人の人間として尊敬してて、一緒に仲良く暮らしてるって素晴らしいよ。それに……秋葉は私が知らない世界についてたくさん知ってたり考えてたりしてていつも尊敬してる……、そう伝えると小さく泣きそうに「ありがとう……」と返事をして。



「私は…………前々から母と違うって分かってたから…………そういうのには誘われても行かないって小さい頃から決めてた。音楽の才能とか……アイドル的なものとか……私は持ち合わせていない…………母みたいに多くを配るような人間ではない………………ただ、いつも『大切なのは愛だよ。』って言われててその意味が分からなくて……それについてずっと考える子どもになって……今も」



すごいな……そんな子どもの時代から身近な人と自分を比較しながら人生を考えていなくちゃいけないってかなりキツいことだし、それに愛とか……私はそんなの思ったことない……今ですらない。



……だから世界が変わっても、秋葉はすぐに理解したんだね?普段から色んなことを思ってたから……と言うと、今度はちょっと明るくなって「うん……ありがとう」ってつぶやいた。


 

「葉子と似ているところもあって……自分もかなり変わってるっていうのは分かってる…………愛もそうだけど、私は『死ぬってなんだろう?』と昔から考えていた。それは……おかしいって思った。母と…………別れてしまうのはおかしい、って…………まさかね、こんな願いが叶うとは思わなかったけど……」



私は……自分の母親に対してそんな風にはならないよ、と話した。……もちろん、最低限の尊敬と愛は彼女に対してはあるけどさ、それ以上のこと……例えば生まれ変わっても生まれ変わらなくてもそばにね、ずっといたいっていうところまでは今もならないよ、本人はまだ夢世界で眠ってると思うけど……今後もそうだよ……だから、葉子のこと、本当に大切に思ってるんだねって伝えたら「うん……そう……」って私の手を握った。

 


「葉子は…………あおいさんと若いまま、いつまでもずっと側にいて暮らしたいって願ってた。彼女の夢の中に私も含まれていたけれど……このことが創生できたのは私も、母に対してそう思っていたからだと思う…………それは…………丹海も同じ。お互いに大切だと、そう思ったから……いわゆる絆というもの…………」

 


そうだね、秋葉ありがとねって感謝した。愛とかまだよく分からないけど……私も、とにかく秋葉のことを想ったから、絆を忘れなかったからここに来れたんだ。


 

……でもさ〜、大切に思ってるなら私ともうちょっと共有、してもいいんじゃないの〜?葉子、私のこととっくに知ってたみたいだけど………って言ったらまた背中に顔をつけて「丹海は……私のこと好き…………?」と唐突な質問が始まり。



そういうとこ、葉子によく似てるよ……って言ったら「全然にてない……」などとおっしゃる。どっちなんだ。



いったん立ち上がり、不思議冷蔵庫からカモミールティーを創生してあたたかいものを秋葉にも渡す。キットカットを折って、食べる?と聞くと「たべる……」って急にたどたどしく言って。子どもっぽくなるところも葉子とそっくりだけど、少年のような彼女に比べて秋葉は小さな女の子という感じだ。



今度は私がソファに横に座り、ここ来て?って秋葉に指示すると素直に脚の間に体育座りで収まったから、その手を解いておなかを抱き、倒れるように一緒に後ろに寄りかかった。彼女は驚きながら抵抗している。ほっぺた赤いよ……?って耳元でささやいて、



『秋葉は…………前から私のこと、見てたの…………?』



と、静かに質問した。被告人は一貫して黙秘している。



『葉子と私の話をしていたみたいだけど…………いつから、私のこと知ってたの…………?』



……………………ぜんぜん答えないからくすぐる。はははっと笑って逃げようとするのでおなかに回している手を強く握って固定する。脚もじたばたするから私の脚で押さえる。



私は……秋葉のこと、好きだよ。って言ったらピタっと止まり。「私も……」って小さくお返事された。



『で、いつから私のこと見てたの…………?』



そうしたら「…………1年生の時。」って言い出す。………え?クラス違うけど…………??秋葉はA組で、私はC組だったよね…………?



「教室の前を通る時………いつも見てた。……すごい可愛い子がいるってクラスでみんな言ってたから…………」



え、えぇ………?恥ずかしい…………休み時間に友達とくだらない話でずっとバカ笑いしてる姿を見られてたのか…………教室の廊下側の窓から視線を感じることはよくあったけど、秋葉もそこにいたとは…………あの時、どんな髪型だったんだろう?何してたんだろう?気になるから聞いてみたら「髪は今とそんなに変わらない…………いつも笑ってて、可愛い………体操着姿も好き………」などと暴露のようなものをしており。それでもう全部開き直ったのか、こちらを向き私の胸に顔を埋めて「あったかい……」って、おいっセクハラだぞっ。



本当に幼児退行するなぁ……と思うけど、あの母親だもんね。確かに、素直に甘えていくのは逆に難しそうだな……秋葉も大変だったんだね……って頭を撫でてたら「なでなでしないで……」なんて言われ。でも、こんなことしてて子どもでしょ〜?あおいにお母さん役を変わってもらってもいいけどね〜?とふざけたら「にう、きらい……」って、その時のことを思い出したのか耳を真っ赤にしている。おいおい何したんだ被告人よ。


 

「体育祭の時…………走ってるの見てた。走ってる丹海、かっこいい。速い。」

 


……ああ。そういえば秋葉が走ってるところ、私も見てたよ。400mリレー、アンカーだったよね?2年の時もそうだったけど……って思い出してたら「見てたの?ほんと?」ってこちらを向く。うっ、こいつ……上目遣いで人を殺せるな…………あおいと同等の攻撃力を備えている。防御は同じく低いけど。



……当時は別のクラスで全く知らなかったし、はじめて秋葉を見たのがその時だったかも。……あの子!あの子だよ!って友達みんながわーわー言ってて、なんでそんな騒いでるの?みたいに気になって眺めたらものすごい美人さんがトラック内で走る準備しててさ。私が、わぁ……すごい……芸能人みたい……とか言ってたら、咲希知らないの〜?あの子芸能人の子どもだってウワサなんだよ〜?的な話になったのを思い出したよ……懐かしいね。



「そうなんだ…………でも、丹海も周りからキャーキャー言われてた。あと、走ってないのに写真とか撮ってる観客も結構いた…………」



えぇ……そうなの?なんか……それはやだねえ……と、テーブルに置いてあったポッキーを開けた。こっちを見てるから食べる?ってポッキーゲームを誘ったら「いらない……いいにおい……」などと胸をスリスリして。だからセクハラすぎる…………私もあとでやってやろう。

 


「……知らないかもしれないけど、丹海は私と同じように高1の時点で学校全体の話題になっている。いつも話す子がそう言ってた。……そうだ丹海、高校の時スカウトしてきた事務所の名前……覚えてる?」

 


その話を、秋葉にはしてなかったんだ。プチ尾行された思い出があってあまり話したくなかったからっていうのがあるんだけど。確か…………と、何となく覚えている社名を教えたら、彼女は「はぁ……」とため息をついて。



「ごめんね……それ、葉子の所属してた所…………私が、あの高校に通っているって情報をどこから入手したのかは分からないんだけど、校門の外のところでスカウトしてきたんだよね。高1の時に。」

 


私も高1の時だったよ、喫茶店にいたら話しかけられた。と言ったらまた「ごめんね……」とぎゅっとして。



「……絶対、何かしら迷惑かけてると思ってた…………私が、こんなだからずっと……話しかけられなくて……ごめん。もっと……丹海みたいに明るくて……明るければ…………」



そんな……私は蛍光灯じゃないが?と述べたら時間差があってからふふっと笑ってくれた。……いいよ、全然大丈夫。私、中学の時も部活に関係ない大人の人が来てて見られてたりさ、話しかけられたり断ったり、ある程度慣れてたから……って言ったら「そうかもね……」とつぶやき「クラスの子の言ってたことが事実なら……私たち、中学の時点で市内ではかなり知られてる存在だったから……」なんて話す。え?私?有名人?



本当?って聞くと「さぁ……でも、そういう話って簡単に広がる……こういう子がいるよって、ウワサでもSNSでも言われてたかもね、私は……Tik Tokのような類いは好きじゃないからやってなくて知らないけど……」……みたいなこと、ある?あったのか?私がそれらに疎いだけで?



何も知らないし、何だか怖い。……こんなこと秋葉にしか言えないけどさ、そんな……私に注目されても困るよ?って正直思うよ。何かが秀でているわけでもないふつうの人なんだから……って言ったら「そうだよ……」と同意しながら私のおなかをつついた。やめて?



「実際………周囲の期待とか感じてて大変だった。勉強も、人付き合いも正直そんなに好きじゃない…………私は本当に、ふつうの人だ。芸能関係に進むつもりはなかったから………スカウトとかがなおさら嫌で…………人に褒められたりするのは嬉しいけど…………やっぱり生き辛いって思うことの方がたくさんで。人に注目されるって…………穏やかに暮らすことを約束されていないに等しいことだよ。私は…………そういう毎日を望むような人間ではない…………。こんなことは今だから言えるし、丹海だから言える………」



私も、抱きつく秋葉に静かに手を回した。そう、今だから振り返れることはたくさんある。心にしまっていた自分のこと…………あの、毎日のように校門に立っていた他学校の人たちのことを思い出す。



はじめは、私に用事があるという風に話しかけて来るからお話をしていたんだ。でも、私だけの写真を撮りたいという人も結構いて…………芸能人でもないのにさ、なんとなく嫌だなって違和感があり……そういう人たちと会わないように遅く帰るようになり。……多分、秋葉も同じ理由で学校に居残っていたのだろう。



……結局、私たちはあれから一度も高校の現在を確認していない。あの場所がどうなっているのか?今、創生しようとすれば見れるけど……2人共、したくはないから。言葉にせずともそれは共通していて、心では「もう終わっているもの」と分かっている。どちらにせよ、そこにいるすべては……幻なのだから。AIが映す友達をわざわざ見ようとは思わなくて。



「丹海も……悩んだりしたんだね……」なんて言うから、そりゃ人間ですもの……と、秋葉の頭を撫でながらスンスン嗅いだら手で払われた。ひどい。



……私もさ、人生に対して、いや、すべてに対してそんなに積極的なタイプではないんだよ。できたら雲みたいに浮いて眺めていたいと思ってた。学校のクラスには私よりもっと明るくて賑やかな子がたくさんいたからね。自分は……そういう葉子やあおいみたいなタイプではないな……ってことは分かる。確かにあおいも周りに合わせて笑ったりはするけど……彼女はそうふるまってるんじゃなくて、ただそう在るというか、自然体で過ごしてる。

世の中にはアイドルとか、そうでなくてもそういう自分とは違うタイプの人たちがいるって知ること、大事だよね。それは性質の問題であって優劣ではないとは思うけどさ……



葉子もあおいも……それから秋葉もすごいよ。と伝えると、座り直してから手を広げ、彼女にもう一度固くハグされた。そして映画の主演女優のように強く美しい瞳で告げる。



「母もあおいさんも、丹海も…………もう歳をとらない。時間を繰り返して、年齢を重ねて、死んで……そういうことはもう起きない。そうではなくて…………みんながいつもいて、体験して、楽しい。ただそれだけの世界になった。これは………私が願っていたもの。葉子と一致したもの。」



自分が死なないっていうのはまだ全然分からないけどさ…………いずれ理解できるのかな?秋葉がそういう信念みたいのを持っていつも生きてることに、ただただ尊敬なんだ。だから不安があっても平気な気がして。



……私は前から、みんなと仲良くお喋りする毎日を望んでいたから。それがもう叶っているんだからさ、嬉しいよ。年齢とか…………細かいこと、重いこと、全部いったん関係なくなって楽しくやる世界ってことだよね?私は面白そうだと思う。そうか……葉子もそう願っているんだね?と聞くと「うん……」とうなづいた。

 


「私は……母にずっと言われてきた……人を愛しなさいって。……葉子は、平等に幸せになれる平和を目指しているから、昔から母親とか、そういう役割みたいなものを壊すようなことをわざとやったりする。母は……私たちともみんなとも、ともだちをやりたくて世界を創生したのかもしれない。」



お母様……葉子、素晴らしいね……面白いよ。秋葉も面白いけどね?って言ったら「私はちがう……」なんて嫌がっている。すると、何か改まったように「丹海。」と呼んで。私の両肩に手を置くと、葉子にそっくりな優しい眼差しで

 



「ずっと…………一緒にいてくれる?私たち、死なないから。」



 

まっすぐと見つめて。 


 


…………えっ……?プロポーズ??


 

と聞くと「い、いや…………親友の誓い…………」って……なんだそれ。



そ、そうだよね、だって恋人でもないしさ……って喋ってたら「まだ返事もらってない…………」ってつぶやき。

えぇ…………そんな…………で、でも……まあ、親友だし?親友ならさ……きっと、ずっと、そばにい……………………………



……また、頬にキスされたんですが。


 

奴は赤くなってソファの反対側に逃げたから、すぐに秋葉さん?と詰め寄る。「来ないで……エッチ……」じゃないよ?君のその……親友に対する唐突な行いは、間違いなく葉子から来ているね?と問うと「母は物心つく頃からやってたよ、ともだちのキス♡って言ってた」とおっしゃり。……環境ってすごい。


 

やっぱりか、葉子の影響か。高い高〜いされた後にやられてすごいドキドキしたよあの時……と言ったらむぅ……として。あ、いや、秋葉のもドキドキしたけどね?って述べると今度はあおいみたいに顔を赤くして。いや、どうすれば?



「耳にもキス……されてた。丹海は隙がありすぎ……回避率が低い………唯一の弱点…………」



いやいや、あれはされてない、キスのフリだったから……と言うても聞いてない。「あの人……見境ないから……放っておけば丹海が危ない…………」なんて、そんなこと前も言ってたけど全然いい人じゃん?って話してたら



「葉子、たぶん性欲強い……創生能力が高いのもおそらくそこから来ていて…………」



などとエッチな仮定に基づいた考察が開始され…………え?ええっ?!突然何を言い出すの秋葉さんっ??と尋ねてもやっぱり全く聞いておらず「芸術と創生は類似している……」みたいな調子で、ずっとあごに手をやって考え事してるから『……まあ……秋葉もムッツリだけどね……』って小声で言ったら「………は?」……完全に聞かれた。なぜそこだけ耳が良いの?

 


「ムッツリってなに…………?エ、エッチなんかじゃない…………」って赤い顔で言われましてもねぇ、よく知らないけどそれは酔っ払いが酔ってない!って言うのと同じでね?エッチな人が言うセリフなんだよ〜?とからかったら「ちがう……向こう行って?」と指で押された。さて、そろそろかな?と、もう一回ソファの背もたれに追い詰めまして、秋葉の頬に手を添えまして。


 

親友の誓い、してないのでしますね……?と、ちゃんと予告をすると「しっ、しなくていい。」ってそれは不公平なんだよ秋葉さん?平等に幸せになれる世界に行くんでしょ〜?と、顔を寄せると高い悲鳴が出て。……いや、私が襲ってるみたいになるのやめて。


 

せっかくだから焦らしましょうか……と『目を閉じてね……』ってささやく。「やだっ……!」などと被告人は最後まで抵抗をするので、あ〜じゃあ葉子に負けたね、秋葉は友達と平等にキスできないんだから……と煽ってあげると簡単に「する…………」ってなんかエッチだぞ君ぃ。



本当に…………目を閉じても美人だからこの人は。さぞかし色んな人から色んなことを思われたり大変だったでしょう……って髪を撫でて頬を撫でて。そんな苦労も少しはね、ここでは楽になったよね?ってまぶたにキスしたら驚いていて。



「それは……好きってこと?」


 

って…………え?……なに?そういう意味になるの?と聞いたら「まぶたは『慕っている』って意味だから………それはつまり、丹海は妹で、親愛の友人で……」という、またそれが始まったから、お風呂入ろ〜っと。って立ち上がり。



『姉妹で…………一緒に入らない?』



「いや、入らない……」って言いながらついてくる。秋葉さ〜ん、ここは夢世界なの?答えが逆さまになっててよ?とからかったら「そう、既にここは夢…………実は丹海はいつも酔っている……逆夢オチ……ただの酔っぱらいのエッチ妄想……」などと宣いなさるから、ごめんね〜??あおいよりはおっぱい小さいけどさ、寂しいなら私ので……満足してね?と言ったら部屋中を追いかけ回されて。



外の廊下にまで飛び出して、2人で服をつかみ合いながら汗だくになって倒れてるところをあおいが帰ってきて「ごっ!ごめんなさいお邪魔してっ!!大事なところでしたねっ!!さあどうぞごゆっくりっ!!」って、真っ赤になってキャー♡と通り過ぎていったからどうするの………これ?







 

 




 

  

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。