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ヒーリングタイム その1






穏やかな秋空から、一瞬にして冬に切り替わった。私たちはひざまで雪に埋もれ、身体を引きずりながら必死にテントに戻る。葉子が毒状態であるなら自宅にワープができない。小さな創生なら可能なので、とにかく寒さから身を守ろうと私はクラクラしながらスマホを開き、寒さ対策を調べ、みんなでテントの下に防寒マットを敷くイメージをする。それからポータブル電源と温風ファンヒーターを創生し、とりあえず長袖で耐えられるような環境を創ることはできた。



「あのキノコ…………そんなに食べてないし、横になれば落ち着くはず…………寒っ…………」 



秋葉の顔は青白い。寒さとは別の悪寒がするので、葉子に寝袋を頼むと2人用のものを2つ創生した…………が、何これ……かなり小さいんですけど?と聞くと彼女はペロっと舌を出して「あ〜、ちょっと2人用にしては狭かったね♡でも入れるからさっ♪入ろっ♡あおちゃん♡」などと、こんな時にも何かを企てており。



「ぐっ………セクハラは………許されないっ……」 



フラフラしながらもマネージャーの務めを果たす秋葉、カッコいいよ……とか言ってる場合じゃない、やたらニコニコしているあおいを彼女にお願いして、私は視界がおかしい中、靴を脱いで葉子と寝袋に収まった。…………狭いよ?ぎゅっとしないで?


 

「にゅ〜、寒いよぉ。」とか言いながら私の胸に顔をつけて暖を取っている。確かに葉子の身体は冷たい、これまでかなりの創生をしているからお疲れだよね……って…………何、やってるの?脚を……私の太ももに挟んで………?……な、なんかエッチすぎることしてるっ!!



「にゅ〜♡気持ちいい……おっぱいあったかい……いいにおい………私のも触っていいよ♡ほら……♡」



ほら、じゃな〜い!私の手をつかんで誘導するエッチが始まって「ようこっ!!」って秋葉は寝ながら最高に怒っている。……ああもう、ますます変な気分になってきた……あれ?なんかこれ、半霊薬を飲んだ時に似てるね……私もエッチになっちゃってるよ………だからっ腰をくっ付けるのやめてっ?なんて言ってるうちに隣の寝袋から「あっあおいさんっ!?」という秋葉の驚く声が聞こえて。



「ふふっ♡葉子さんって体温低いですねっ♡何だか……こうするとすごく気持ちいいんです♡」 



見ると、あおいが思いっきり秋葉の首に絡むように抱きついている。そうだよ……あおいはグラタンをおかわりしてたし、媚薬効果だけじゃなくて錯乱みたいな症状が出てるねこれは……と見物している間に首のあちこちに軽いキスをしていて。……と、とんでもなく色気があってエッチだ……ドラマのそういうシーンかな?誘惑のあおいから逃げられず、秋葉はポータブル発熱電源になっており。やってんねぇ!



「あおちゃん!?……ちょっとここちゃんっ!なにイチャイチャしてるのっ!あおちゃん起きてっ!私はこっちだよっ!」



「あああのっあおいさんっ!!ちょっと!!脚!!脚とか色々がっ!!」



「ふふ……♡葉子さん……手を、こっちに回してください♡」



珍しく、あおいは葉子によって剥がされた。こんな光景は中々なくてちょっと笑ってしまう。結局、葉子とあおいが寝袋に収まる。「あおちゃん……♡」「葉子さん……♡」などということが始まると秋葉は横になりつつピリピリしている。それより自分の体調は大丈夫なのか。



隣を見ると、2人はぎゅ〜っとしている。「あおちゃん♡幸せ……♡」「葉子さん……素敵です♡」……なんてやりとりはいつもの感じじゃないので変だけどさ、本来は恋人みたいな関係のはずなんだからこれでいいんだよね。「葉子さん……」ってあおいの熱っぽい声が聞こえると秋葉は最高に警戒したけど、葉子の声が少し変わった。



「……あおちゃん、少し……まぶしいからね……?」



光り輝く手を、あおいの額にかざして。彼女はすぅ……と静かになり、その後「おやすみ……」と葉子もハグをして眠る。すると2人は、しばらくほんのりと黄色く発光した。すご……なんだこれ?



『葉子達……寝た、みたいだね……秋葉、大丈夫……?』


 

話しかけてもテントの方に身体を向けている。肩に触れてみるとビクっとして。秋葉、身体冷たいよ……?って言うと「触らないで……」なんてつぶやき、低い体温に対して耳は赤くなり呼吸も荒くしている。……もしかして、エッチな気分になってる?とか聞くと「うぅ……」と呻いた。



私もかなり状態は変だけど……彼女ほどじゃないということは毒とかの耐性があるのか……?もしかして、葉子みたいに私もヒーリング?みたいなことができるのかも……と、もう一度『秋葉。』って呼ぶ。


 

『さっき葉子がやってたこと、挑戦するから……ちょっとこっち向いて?』



無視をするので、無理矢理こちらに向かせると顔まで紅潮している。すぐに彼女の額に手を当てて愛……を込める。すると光が発生し、少し表情が和らいでいるような……と思ったらいきなり両肩をつかまれてハンターの目で見つめられ。目をぎゅっと閉じて「ううっ……!」って何かの限界を超えたのか、ガブッ!と服ごと肩を強く噛まれた。痛ったぁ!!ハンターじゃなくて猛獣だよっ!



秋葉を落ちつかせるため、大きめのハートを創生して顔に直撃させた。………眠りに入ったようだ、可哀想だけど仕方がない。そっと頬を撫でる………すごく冷たい。秋葉の身体をこちらへ抱き寄せると、私も目を閉じた。その時、まぶたの向こうに柔らかな黄色の光を感じる…………ああ、これがさっきの………何だか優しい………あたたかい………………







 

 

………………髪を触られていることに気づいて目が覚めた。……おお、寝起きから絶世の美女に見つめられている、幸せだ……なんてぼんやりしてたら「丹海……ありがとう、だいぶ良くなったよ。」とハグされた。いいにおい……このにおい何だっけ?紅茶の……ベルなんとか……のにおい…………って、ええと……私の首の噛まれた所を舐めてるんですけど………君は猫なの?



「ごめん………跡がついちゃった……痛かったよね……」



痛かったよ?と言うと、もっと舐めて来たのでくすぐったいしまた変な気分になりそうだ。もういいから!って手で離そうと思っても……あれ?何となく力が出ず。だるさもまだある…………私のエネルギーみたいのを一部秋葉に分けたのかもしれない………そんな気がする。


  

「うぅ〜ん…………………えっ?…………ここは……………よっ、葉子さんっ?!どうして私っ、一緒に寝て…………」


 

「あおちゃん………良くなったみたいだね………よかった。へくしょいっ!!」 



「えっ?だ、大丈夫ですかっ?!顔色悪いですよっ!」



「うん平気………もう少し………ゆっくりできれば………」



ちょっと待って、そういえばテント内が寒い。風を感じてチラッと上を見ると…………テ、テントの天井が……雪で歪んで破けかけている…………雪の壁が今にも倒れて来そう!く、崩れて死んじゃうよっ!!



〈あら、素敵なテントやな。ようできてるわ。〉


 

急に背後から柔らかい関西弁が聞こえて、私は秋葉と共に振り向いた。こ、この人は……ゲームで見たことあるよ、確かリセットさんの弟のロケットさん……ですよね?と聞くと〈あんた、よう知ってはるな。この辺のこと、よー勉強してはるんやなぁ。〉って妙に含みのある話し方をする人だ。



〈あんたら、なんでこんな時期にこんなとこでキャンプしとるん?ほんまに元気で感心するわぁ。〉 


 

『あのっ!私たち、たまたま帰れなくなっちゃって!とりあえずテントに避難してたんです!どうにかなりませんか?助けて下さいっ、このままだと……』



〈まぁ、分かったからついて来てや。でもあんたら、あんまり動けへんみたいやなぁ。〉


 

ロケットさんはスマホをいじると仲間を呼んだのか、地面の穴から10人ほどの筋肉ムキムキしたモグラがやって来た。そしてひょいっと片手で私たち4人と荷物類を持ち上げ、ものすごい速度で穴の下へと下がって通路を走って行くからトロッコの絶叫マシーンに乗っている気分で…………気を失いかける。



松明が焚かれているトンネルの突き当たりに古風な木の扉があり。ロケットさんがギィィと開けると左右に苔むした岩がむき出しの長い廊下が続いていて、床は和風のお屋敷みたいな木の板でピカピカしている。一番手前の木のドアを開けると……洋風の大きな暖炉のある一室だった。私たちの荷物も置いてある。ああ……あったかい……ってロケットさんと一緒に部屋に入ろうとすると〈おや、ええ感じのくつ下やなぁ。〉とニコニコしながら言われ。…………芋掘りしてたから泥だらけだ……つまり、彼が言いたいことは………



「……京都弁は、イギリス英語に似ている………皮肉や遠回しな会話を理解できるほど、お互いが親密である証拠………それを試している、とも言える……」



秋葉のお言葉になるほど、とよく分からないけどうなづく。あおいは、あくびする葉子を支えているから秋葉も私も手伝った。



〈まあ、とりあえず疲れが溜まってるみたいやし、身体あっためましょうか。こっち来てくれへん?〉



暖炉部屋には入らず、廊下の方を案内された。〈……ここはレスキューされた人を、ちょっとの間治療するための避難所やで。〉ロケットさんはゆるゆる話し出す。へ〜、いくつも同じ扉があるからそういう所なのか。〈……あんた達のような元気で活発な方が冬の間に必ずどこかにおるんや、命知らずな所はほんまに勇気づけられるわぁ。レスキューっちゅうても商売事ちゃうし、身体治るまでのことは自分でやってもろて、治ったら居座らんといてな。〉



ロケットさんは、大きく『ゆ』と書かれた木の扉を開けた。え、すご〜い。旅館のような広い脱衣室だ、ガラス戸の奥に木の浴槽の大浴場が見える。それから……なんだろ、ヒノキみたいな薬草の清らかな香り………って癒されてたら〈おやぁ?〉って、じーっと私たちの顔を見てきてアゴに手を当てており。……な、なんです?



〈……あんた達『ピンカラキノコ』の食べ過ぎやないか?ほんまに気ぃつけや!あれは本来は滋養強壮やけど、濃度の高いのがあってな、特にピンク色が濃いもんは性欲増強の媚薬にもなるんや。強すぎると体に毒やで。〉



えぇ…………まじか。葉子はケラケラ笑い、あおいは頬を火照らせ、秋葉は「毒は……治療できますか?」と尋ねる。〈……このお風呂は薬湯やから解毒できるで、何回も長う浸かりや。やっと私の仕事終わったわ。廊下は靴下はいて歩いてな。ほな、さよなら。〉



ロケットさんはそう言って忙しそうに去ってしまった。え?くつ下とか洋服は………替えは一応あるけど、暖炉室に置いてあるからどうしよう……って脱衣室を見渡していたら『アメニティコーナー』という場所がしっかりと設けられており、そこにタオルや耳かき等と一緒に服があった。モグラ色の分厚いルームウェアときれいな白いくつ下だ。



テンション上がって元気が出てきたのか、葉子は「わ〜い♡」って爆発するように服を脱ぎ、カゴに投げ入れてお風呂へ行ってしまった……早っ!私も、だいぶ汚れた『チーム新♡HISUI』Tシャツを脱ぎ、泥だらけのくつ下を脱ぎ、うわっ汚なっ……って下着姿でやってたら、タオルを身体に当てて立っているあおいと目が合って。



『あおい、入れば?』って聞くとなぜかもじもじして、お風呂場の方を気にしている。そこに同じくタオルを身体に当てた秋葉がやってきて「あおいさん、行きましょう。」と言うと「ひゃいっ!」ってびっくりしながらも、下を向いて一緒に入っていった。


 

推しとお風呂に入るとか……私ならどう思うんだろ?なんて下着を脱ぎながら考える。推しっていうのは、その人を『神ぃ……』って崇めていることなんだから、いわばキリスト教の人がキリスト本人と入浴するようなものだよね?ん〜もっと分かりやすい例えだと、絶対に憧れの憧れな芸能人と一緒にお風呂に入るってことだ……無理だね?という即答が心の中で出て一人で笑った。



私が葉子とこれほど仲良く打ち解けているのは、葉子が『憧れ』みたいな壁を自ら壊してくれているからなんだよね。でも、あおいの場合は……壁を必要としているみたいだし、2人の関係性は結講複雑なのかも。アイドル時代からの長い付き合いなのにね……とか思いながらガラス戸をカラカラすると「キャァァッ!!」って、あおいが事件性のある叫び声をあげながら泡だらけになって葉子に洗われているところを秋葉が抑えていて『はは………』って全体的に目をそらした。



秋葉マネージャーは以前より厳しくなったようだ。葉子が今度は私を洗おうとするので止めようとしてくれたけど、あんまり2人がケンカし合うのも良くないから『いいよ、洗いっこしよう?』と言うと「にゅ〜っ♡好きっ♡」って子犬のように飛びついて抱きつく……のはやめて?



いつもの秋葉の「ようこっ!」が始まり、また『はは……』みたいに笑ってたら「きゃ〜ん♡美少女スマイル〜♡私だけにちょうだい〜♡」って言われたので『葉子っ♡』なんて微笑んだら「はい、オッケーでーす♡」という流れで頬にキスされたが?葉子が、秋葉に見られてるかな……?と、後ろを見た瞬間に「ようこっ!!」とか怒られたから「あははっ!」って爆笑した。……ほんと、無邪気でイタズラ好きだなあ。出会うまでこういう人だなんて想像もつかなかったよ。 



葉子に『私、いま有名人に身体を洗われているんだよ。』って話すと「にゅ〜も私の女優さんなんだからっ♡仕事仲間だよっ♡」なんてよく分からないことを言われつつ背中や脇をボディタオルでやりたい放題にごしごし洗ってくる。「しつれいしま〜す♡」と胸の下の所から上に………く、くすぐったいし、それは……………いや、過度に拒んではいけない……葉子は壁を壊してくれている。そして……私に『ともだち』という関係を求めてそれを築くことを願っているのだから。ともだちなら……こういう洗いっこも…………するのか?私は混乱した。



「きゃ〜♡泡だらけであおちゃんみたいにエッチ〜♡にゅ〜♡なんかエッチなセリフ言って〜♡」



……エッチなセリフ?そんなの思いつかないが?って固まっていたら「……上目遣いで、『ねぇ、もっと私を見て……?』って言って?」とかエッチディレクションが始まったから何なの?専属女優として仕方なく、私が葉子に近づくようにして色っぽくセリフを言うと「や〜ん!最高にエッチ〜♡もっと近くで見てあげる〜♡」って、ひざをまたいで座ってこないでぇっ!さすがに抵抗したら秋葉が赤とピンクになりながら葉子を引き剥がし、隣の椅子に座らせた。保育士かな?



もう……なんか私の中の『ともだち』の定義とかが色々めちゃくちゃになってる気もするけど……そもそも葉子が言っているそれは『おおらか』という意味が大部分だからこれで良いのか……いや、どうなんだ……?とボディタオルを泡立てつつ、秋葉と一緒に葉子を洗いだす。背中をごしごししてるだけなのに「きゃはははっ!」とか、相変わらずのくすぐったがり屋さんだ。



秋葉はこの時をさっさと終わらせたいのか、無の表情で彼女の太ももから足までをごしごし素早く洗う。それにも葉子は過敏に反応していて、私は「ねぇ〜ここも洗って♡」って彼女に胸をお願いされ…………し、しつれいしま〜す……とやろうとしたら私の手をどけて秋葉が洗い始めたから葉子は嫌がったけど「んっ♡ここちゃん……くすぐったいよ……♡」とか言い出すと、もっと強めに洗って葉子は「きゃはははっ!!」なんて、こそばゆさで激しくもがいた。



「娘にも欲情する……変態…………」



「え?ここちゃんも、私のともだちだよ♡」って葉子の明るい返事に、秋葉は目を閉じて指を眉間に押さえた。というか……今さらだけど色々と目のやりどころに困るので、私はお風呂へ向かうことにした。そこには……超絶温泉の似合う美肌美人さんが木の湯船にゆっくりしていらっしゃって。



「あ、丹海さんっ♪お湯加減すごくいいですよっ♪長く浸かっていられそうですっ♪」



はぁ〜幸せ♡マイナスイオンで癒される〜♡……あおい、観光地宣伝のロケなの?とか聞いたら「えっ!じゃあ、丹海さんと一緒に撮りましょうっ♪浴衣も着たいですねっ♪」とテンション高めで可愛い〜♡うん、着る着る〜♪食べ歩きして温泉まんじゅう買いたい〜♪って私も湯に入り、隣に座ると………気品と艶のある横顔……う、美しすぎだよ………ファンの皆さん独占してごめんね?2人で温泉旅しちゃった♡嬉しい♡なんてふざけたら「えっ!そんな……私も嬉しいですよっ!丹海さんのこと、いつもそばで見れて……こんな見ちゃっていいのかな?っていうくらい、私、実は見てますから………」



……え?ほんとに?あおいが見てるの全然分かんなかったよ〜って喋ってたら「丹海は鈍感………」とか声がして。振り向くと、秋葉は葉子に肩を貸しながらお風呂にやってきた………どうした?



「あおちゃ〜ん、なんか疲れちゃったぁ〜……」



「葉子さんっ?どうしましたっ?」



あおいに寄りかかって微妙にぐったりしている。「毒が抜けてないのに激しい動きをするから………」秋葉は呆れながら深いため息をついた。……まぁ、このお風呂は解毒してくれるらしいし、しばらくゆっくりすれば大丈夫でしょ。葉子は目をつむり、あおいが頭を撫でていると、2人の身体がホワホワ黄色く発光して「えっ!?何ですかこれっ!?」って驚いている。………すごい、やっぱりヒーリング魔法は幻じゃなかったんだ。



……あれ?お湯、なんか熱くなってきたな……と、私はお水が出ている大浴場の端の方へ移動した。木のお風呂……緑がかった黄色い湯と薬草みたいな香りが心と身体を包んでスーっと清めてくれそう。壁の板には『効能……精神的疲労回復、精神的筋肉痛、各種解毒効果。』と達筆な筆文字で書いてある。何だか『ふぅ……』なんて声が出てしまった、私も……疲れてるのかな?



「丹海……?大丈夫?」



急にいなくなって心配したのか、秋葉がこちらに来た。『平気だよ。』って動こうとすると、さっきよりも身体に力が入らなくて。



「顔……赤い………だるいの?私に治癒魔法を使ったからかも………え?……に、丹海っ?」



葉子みたいにぼんやりしてきた様子に気づき、秋葉は慌てて私の頭を肩に乗せた。葉子達みたいな……黄色い光、出ないね……とか話す力も抜けてきて、眠くなってズルっと彼女の肩からお風呂へ落ちかける。



「丹海っ!」って支えられたけど、大丈夫だから……って何とか力を振り絞り、近くの壁まで行って寄りかかり。身体の浄化をしていると思うんだけど……タコみたいに意識も手足もふにゃふにゃしてきた。やっぱり湯船に倒れそうになって秋葉に起こされ「丹海、しっかりしてっ!」とか言われても………さっきの葉子の、私にまたがってきたのを思い出そう…………エッチすぎて目が開いた。



すると秋葉も壁側に移動して「丹海、脚を開いて……?」なんて急に言い出すから燃えた炭より顔が熱くなる。あっ秋葉さんっ……!?な、何を………?



「……ヒーリングで……私のエネルギーを丹海と共有させるには、お互いの愛のつながりが必要………リンクはできていると思うけど……おそらく私からの魔力のようなものが足りてないから光が発動しない…………丹海、私の上に乗って……?」



そ、それは一体どういうこと??と聞くと「私をまたいで……は、ハグをして…………?」って……ええっ?!そんなの葉子のよりもエッチすぎてできないよっ!とか言ってる間も後ろに倒れそうになって「丹海……早く。治癒の速度が増すでしょうから……」と真剣な目で急かされ。



…………もういいや、私たちはエッチな親友なんだから……と色々を考えるのをやめて、回復を優先しようと心に決める。…………壁側で脚を伸ばして待機している秋葉をあんまり見ないようにして……なんて正面だから絶対無理なんだけど、とにかく近づいて…ひざを底につけて、太ももの上にゆっくりとまたがって……ってやってたら前に倒れて思いっきりハグした。ちょっと!?何か全部密着しちゃったけどっ!?



するとポゥ……という風に、私たちの身体がほんのりと黄色く発光した。私は体重を預けたまま、秋葉の首に顔を寄せて目を閉じる。……なにも、言うまい。2人共ほぼ倒れてるから、色々重なってしまっている。お湯の中だけど彼女の感触があるから秋葉も私の身体を感じているでしょうし、微かに鼓動も聞こえる気がするから私の心音も聞かれているかもしれない……などと思うほどドクドクと脈は早まってしまうのだから無になりたいけどできないよ。


 

これは……エッチなことをしてるよね?……いや、お湯の中でくっ付いてしまっただけだよ、ヒーリングだよ……なんてめちゃくちゃに混乱していたら秋葉と目を合わせてしまった。というか、何でこっちを見るの??彼女の顔は私と同じくらい真っ赤だ。



「あ、あのキノコは……………確かに私たちには強すぎたけど……刺激というのは、時に新しい能力を引き出すきっかけにもなる…………愛の力があれば………私たちは少しだけど身体を回復させることができるようになったのかもしれない……こういう風に…………丹海、よ、良くなった……?」



そういえばさっきよりは……身体に力が入るような。意識もちゃんとしている。……ありがとう、結構良くなってきたよ………とか言ったけどまだ動けないし密着したままなのエッチすぎっ!!感覚が戻ってきたから秋葉の肌の滑らかさとか柔らかさとか…………そこは考えてはいけない、と気づくのが遅くて心臓が踊ってしょうがない。もう色んな意味でのぼせそうだ……と秋葉をチラ見するとしっかり私を見ていて爆発した。



「丹海……噛んだ歯の跡がまだ残ってる……ごめんね………」


 

ふいに肩を手で撫でられたから思わず『ふぁっ……』とか声が出てしまって。……まずい、エッチな秋葉さんの表情が真顔に変わってきた。それから彼女は目を閉じて一生懸命何かに耐えている……何に?その間もじーっと見てたら「なんでこっち見るの……?」って何か怒っていて……それはこっちのセリフだ。私もむっとして『いや、下の方を見たらダメでしょ?』なんて言うと黙ってしまい。……なんか喋ってよ。いや喋らない方が、いや喋ったほうが……なんて熱で頭がおかしくなってきたら「……キス、するね?」って……………は?



「キ、キスはエネルギーの交流が直接的…………回復が一番早い…………」



…………秋葉さん、ほんと?と聞くと「たぶん……」なんてどういうことなんだ、キスがしたいだけでは?…………でもとにかく、のぼせる前に身体を回復させたいよ。早く力を戻すにはその方法しかないのか?というか、もうする気満々の顔なんですけど………私の背中に回している手がぎゅっときつくなってきて……ちょっと!何とは言わないけど全身くすぐったいっ!もういいや!早くしなきゃ!って秋葉を見て『分かった、しよう!』と言った瞬間に唇にされた。……どういうこと?キスの速度もチーター並みに早いの?



うわ、何か長いのされてる………もうこれ完全にエッチだよ……身体も意識も熱さでぼんやりとして……目を閉じて、ただ秋葉の声と触れている感覚だけを感じて。されるままに任せていたらフワっとまぶたの向こうが強めに光った気がして目を開けた。さっきより私たちの身体、発光してる…………すご…………これがヒーリングの魔法………エッチだけど、って思ってたら秋葉の顔があまりにも間近なのにびっくりして離れた。…………あ、身体が動ける。



「丹海…………」



秋葉さん?あの……手足が治りましたよ?といってるそばから物足りなさそうに近寄るのやめて?………もう、またキスされた………身体が発光するのも感じるけど……な、なんか気持ちがゾワゾワするよ?………さっきよりも気持ち良くて………………………何回もエッチなキスをしてたら、のぼせる一歩手前になって2人で湯船から這い出た。何してるの私たちは?



洗い場へ戻り、冷たいシャワーを浴びて何とか冷静さも取り戻す。「……エネルギーも、少しずつ送らないと供給過多………一気に色んな感度が倍に……もはや媚薬……」ってやめてよっ、秋葉のせいでエッチな気分になっちゃったじゃん!とかつい言ったら「丹海……エッチな気持ちに……なったの?」なんてガチの顔で聞かないでっ、またキスして来そうだから『ほんと葉子にそっくりだよ……』と、ため息をついて………そうだ、2人は……?



あおい達の所へ行くとまだ、葉子は彼女に寄りかかって目を閉じている。どう?と話しかけると「あ!ここあさんっ丹海さんっ!葉子さん……なかなか元気が戻らなくて………丹海さんも、さっきここあさんが心配してましたけど大丈夫ですか?」……ああ、うん、おかげで良くなったから平気だよ、はは…………とか笑ってたら「すごいですっ、そんなに早く回復できるなんてっ、愛の力とかですかね??」って言うから秋葉がゴホゴホ咳をした。



だいぶ長くお風呂に浸かっている……あおいも葉子も、このままだとのぼせてしまう。やはり方法はあれしか……とは思うけど、そんなことあおいにはたぶん無理だ……って秋葉と目で話して。だったら……数でいくか。あおいに、3人で頬にキスするヒーリング方法を伝えると「それで良くなるんですかっ?」って何とか頑張れそうだ。「私は……いい……」なんて秋葉は拒否するので……仕方ない、あおいとやることにした。



葉子の頭を起こすと「にゅ〜……」ってイカみたいにクニャクニャしている……大丈夫なの?さっきの私と同じ状態だ……とにかく彼女を秋葉に支えてもらって、両側からせーので…………ほっぺに触れた。ポゥ……と私たちは柔らかい黄色い光に包まれ、葉子は「んん……」と動き出す……少し効果があったようだ。もう一回、今度は長めにやろうと提案するとあおいは恥ずかしがっているけど……あおいって確か30秒くらい葉子にキスしてたよね?って思い出し、その位やろう?とお願いしたらだいぶ赤くなりながらうなづく。



秋葉に秒数をカウントされながら……私たち、何やってるの?新現実に合流してこんなバラエティ番組みたいなことをするなんて………罰ゲームではなくてむしろ嬉しいけど………とか考えててもまだ30秒にならない、あおい恐るべし。ようやく私たちが離れると、葉子は白雪姫みたいにキスによりスゥ……と目が覚めて「あおちゃん……にゅ〜……ありがとう♡」って私たちがやったような密着ハグをしたからあおいの高い叫びが大浴場に響き渡った。



3人でペットボトルの水と紙コップを創生し、脱衣室で喉を潤す。なんだか大変な入浴だった……身体は、完全ではないけどだいぶ解毒されたんだと思う。やって〜?と、お願いされたので葉子の髪をドライヤーで乾かした。秋葉と同じ、クセのない美しい髪だ……って鏡の前でサラサラと風を当ててたら「にゅ〜♡大好き♡」なんて指にキスされ。ほんと、スキを与えたら口にもされかねない……とか思ってたら「にゅ〜?私より元気だけど、ここあにエッチなヒーリングしてもらったの?」……後ろの方で水を飲んでいた秋葉がむせた。



「えっ!?え……エッチな……?!」



あおいが毒が抜けてきたのにピンクになってるから『い、いやいやっ、私が倒れかけたからさ、ちょっと軽くね、秋葉がハグしてくれたら治ったんだよっ、はは〜』などというごまかしは葉子には効かず。「ふ〜ん♡そうなんだ〜♡何か回復のコツがあるのかなぁ?今度教えてよ♡にゅ〜♡」……ニヤニヤな葉子に鏡ごしに顔を見られつつ赤面しないよう「え、うん。」とか耐えるけど無理だ……2人きりの時があればあれこれ聞かれるに違いない……無心でドライヤーをかけた。


 

 

みんなでモグラ色のあったかい服を着たのに、なんかアイス食べた〜い♪と葉子は言い出す。確かに……身体にまだ熱がこもっている気がするね。葉子は何が食べたいの?と尋ねると「デズニーランドのメッキーさんの顔のが食べたい〜♡」って……割とマニアックだな。


  

みんなで画像を見て、念じる。そうすると目の前にフッと生まれるのは何度見ても不思議だ。葉子はイチゴ味を美味しそうに噛じりだす。私もそれ、食べたことあるよと言うと「ほんと!?今度行こうよ♡」って誘われて「え、いいよ?」とは言ったけど……AIの人間さんがいっぱいなテーマパークは……静かそうだし、ちょっと怖い。もし行くなら……動物人間さんのいる夢世界の方かな、そっくり似たような場所があるでしょ……なんて想像した。ほんの少し前のことなのに懐かしいな、夢世界のスイーツショップ面白かったな。



あおいに「アイス、何食べたい?」と聞くと「雪見だいふく、食べたいですっ!」って元気よく返事をくれた。みんなの念で創生して、あおいが真っ白な一つをピックで刺すと「あ〜ん♡」とか葉子が口を開けたから「えっ?!ど、どうぞっ!」と勢いよく押し込んでモガモガさせるのおかしすぎて秋葉と笑いをこらえる。一つ食べちゃったし。



「丹海さんとここあさんもどうぞっ!」



え〜私たちにもくれるの優しい〜♡あおいと一口ずつ食べて「ふふっ♪甘くて美味しいですねっ♪」って微笑むから、はぁ〜♡CMみたい〜♡とか癒されてたら「丹海……クッキーサンドアイス食べたい……」……秋葉が子どもみたいに、そばでつぶやいてきて。



可愛い〜♡って葉子と一緒に頭をナデナデすると「早くしてっ!」とか言われた。「じゃ〜せっかくだから、大きいのをイメージしようよ♪」という葉子の謎提案によりフライパン並みの大きさのクッキーサンドアイスが創生され、みんなで興奮しつつ分け合う。木のベンチに並んで座り、パクパク食べながらあれこれお喋りして、たくさん笑って…………そうそうこれだよ、私がしたかったのは……なんて、終わらない幸せを噛みしめて。



「丹海は……食べたいアイスないの?」



特にないんだけどね……と言うと葉子が「もう、にゅ〜は欲がないなぁ。」って、やれやれするその顔……はぁ〜♡相変わらずイケメェンすぎてのぼせちゃいそう♡秋葉は睨むのやめて?…………何となくPAPICOが食べたくて、みんなにマスカット味を創生してもらい……2つあるうちの片方を葉子と秋葉が見ているのは……食べたいのかな?と思って『じゃあ2人で食べたら?』と渡すと「え〜?にゅ〜が食べたのがいい〜」とか葉子がクネクネして変なことを言い出した。



仕方なく、はいあげる……とか私が一口噛んだPAPICOを受け取ると、葉子はすぐに「わ〜い♡」なんて、やたら美味しそうにアイスを噛んだり吸い始めるから顔が赤くなってきた。残りもう一つをあおいにあげると遠慮してたけど、じゃあ半分食べて?と渡したらやっぱり喜んでいて「美味しいですっ♪」って最高の笑顔をくれた…………ほ、ほんとに可愛い………青春CMだね♡


 

あおいがくれた残り半分のPAPICOを食べる。秋葉が欲しそうに見ているので『はい、ちょっといる?』とか差し出した。彼女が黙って受け取ると「はぁ〜ん♡新婚の湯上がりタイム♡」などと葉子が盛り上がる……のを秋葉は無視したんだけど「そして、イチャイチャヒーリングタイム♡」は避けきれなくて思いっきり咳き込んだ。私は全く知らないフリをした。


 

  

「あっ!あおちゃんっ!足つぼ台があるよっ!」



葉子がそのうちにベンチから離れて何となくほっとする。あおいも呼ばれて駆け寄って。……綺麗で、素敵な2人だよね。長い間お互いのことを好きあっているのだから、想いが噛み合えばうまくつながれるのにね……なんてことを思って。……でもさ、別にこれまでみたいに結婚とか……そういう世界ではないし、無理して距離を縮める必要はないんだよね。『おおらかに……でしょ?』と秋葉に確かめるように言うと「うん……あんまり突き詰めずに……愛で包む………それが新現実………」って、かっこいいな。そっと秋葉の手を握ったら「えっ………」とか思ったより動揺していて。



『……ヒーリングのお礼。あのまま湯船に浮かんで倒れてたとこだったから。ありがと。』と述べ、手をマッサージしてあげる。細くて長くて……葉子にそっくりの色っぽい指だ。でも秋葉さん、手をもみもみしてるだけなのにどうして顔が赤いの?あげくの果てに「エッチ……」なんて言われたから『君がやってくれたことに比べれば何でもないでしょ。』って指摘するとさらに湯上がりのように紅潮し、蒸気を帯びた顔をした。……エッチなことをした自覚はあるんだね、まったく……秋葉のせいでのぼせかけたんだよ。


 


完璧に解毒するまで、もう少しここに滞在するかもね。地下の世界にこんな場所があるとは、まだまだ知らないことばかりだ……とかぼーっとしてたら「はいっ♡にゅ〜のための新作だよ♡」なんて少し元気になった葉子がレモンの刺繍の下着セットを創ってくれた。え、ありがと〜♪と喜ぶと「ねぇねぇ付けてみて♡みんなで下着ファッションショーしよ〜♡」などという全体石化魔法であおいと一緒に固まり。



……ロケットさんに見つかったら、毒でおかしくなったって思われそうだ……って葉子っ!さっそく脱がないでっ!……秋葉マネージャーは、すかさずあおいの目を手で覆った……おぉいっ!私はいいのかいっ!「にゅ〜♡」とか脱がさないでっ!



…………私たちがあまりにも抵抗したので、葉子は一人で脱衣室ファッションショーを始めた。……おおらかに、おおらかに……新現実なんだから……と言い聞かせて、素敵な瞬間を重ねていくよ♪……なんて、心で語ってたらタノキチ柄の下着姿で現れたところで……私は耐えられず横を向いた。









 

 

 


 

 

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