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創生キャンプパラダイス その3






オトナなカラーにライトアップされた水面で手を伸ばし、泳ぎながらゆっくりと流れていく。……夜は、いつまでも長いね。バシャバシャしながら葉子達とボール遊びをする秋葉を見つめた。4人で『流れ星〜♪』なんてキレイなトークをしていたのはほんの一瞬、あとはただのエッチなナイトプールになってたね……私も割とアレだよな………いや、誰だってそうならない?あの顔で……あんな表情されて、あんなことされたら……とか細かく思い出しているとスイカのビーチボールが私の頭に飛んできて、その回想のご本人に「あははっ!ごめん丹海!」って笑われた。だからその笑い方っ。


 

「ちょっとっ!顔面国宝のにゅ〜にぶつけないでよっ!」



葉子に腕を抱きつかれる。「にゅ〜は私のための国民的美少女なんだからっ♡」秋葉の表情が消え失せてて怖い怖い。『……私、そんなんじゃないと思うけど……』とか自信なくつぶやいたら「にゅ〜?」なんて葉子にお咎めの顔をされ。はは……そうでしたね〜その返事はダメでしたね。「丹海さんはお綺麗ですっ!何をされても華やかで憧れますっ!」ってあおいが言ってくれたから嬉しくてハグをした。



「はぁ〜♡2人とも可愛い♡ねっ、花火しない?」



見ると、島の奥の方であちこち光っているのが見えた。プールから上がり、テントに戻って着替えようとすると葉子がお揃いの水色の長袖Tシャツを創生する。「あっ!すごいですっ!」背中には『チーム新♡HISUI』となぜか書いてあり、あおいと喜んだ。



『秋葉は水色……似合うね♪』とか歩きながら話しかける。絶対横を向くと思ったので左に先回りしたら「何やってるの?」なんて笑われた。「私のファンなの?」って言うから『ファンだよ♡会員になるかは検討中♡』と返すとプイって右を向くので手で顔をこちらに向けようとすると嫌がって……ここちゃん本当に可愛いよ。



海岸のそばで結構な人たちが花火を楽しんでいた。へぇ〜久しぶりだな……なんてぼーっとしてたら〈あ〜っ!ひっ、HISUI!!ここにサイン下さいクェ〜っ!〉先ほどのインコは麦わら帽子に書いてもらってご満悦だ。〈君たち花火やりたいんでしょ?たくさん遊んでね♪〉って珍しいものをどっさりくれたから早速やる。

 


派手な柄の手持ち花火に点火をすると、甘い香りを漂わせながらピンクに発光し5分位燃えた。あおいがオレンジに感動しているところを動画撮影する。横顔を撮りながら『あおい、私に夏の終わりの告白して?』と無茶振りをすると喉を整えてから「………丹海さんとの夏休み、すごく楽しかったです。……私、夏休みだけじゃなくて…………毎日、丹海さんの顔が見たいな♡」はい!オッケーでーす!って私はアガり、あおいは恥ずかしがりながら笑った。



次に秋葉を撮る。『私に夏の終わりの告白して?』と撮影開始するとグリーンの光に照らされながら「………この花火より、丹海は輝いていた……いつまでもずっと忘れない。」とか死んでるじゃん私!ってツッコんでやり直させると「丹海…………私が、隣国との戦いに勝った暁には……その時には…………」やめてよ!絶対負けて死ぬでしょそれ!なんて言ってたら花火が終わった、まったく何なんだ。



葉子にもお願いすると「いいよ♡」とニコっとして。そんな、簡単にキュンキュンするようなチョロい人じゃないもん……と身構えながら告白を待っていると葉子はじっと静かに黄色い光を見つめていて。はぁ……美し……とさっそく見惚れてたら急にこちらを向いて


 

『好きだよ、丹海。……この夏が終わっても、秋も冬も春も…………君を愛してる。』



はぁ〜ん神ぃ〜♡私とあおいはクネクネして「あははっ!」と葉子が笑い、秋葉はそこらじゅうにレインボー煙玉を投げ散らかしたから叫んで走り回った。前が見えないよ!って爆笑してたら「愛しのにゅ〜は私がもらったよっ!残念だねここちゃん!」とかぎゅっとされ一般的ドラマ始まって「ようこっ!!」なんて秋葉の必死な声が聞こえて笑いをこらえたら、彼女はあおいとぶつかったらしく「きゃっ!」って煙が晴れると覆いかぶさって倒れているのが目撃されて「ちょっとっ!あおちゃんにエッチなことしないでよっ!」と一般的修羅場になった。



「あ、痛っ………」


 

「あおいさんすみませんっ!大丈夫ですかっ?」



「あおちゃん大丈夫っ?」


 

草の上で倒れたけど、あおいの腕に少し赤い擦った跡があったので葉子は手をかざして治す。本当にすごいな、愛の力でこんなことが可能なのか。



あおいは「ごめんなさい葉子さん、ここあさん……」となぜか謝る。「あおちゃんは何にも悪くないよっ」「他にケガはないですかっ?」って、2人はあおいのこと、本当に大切に想ってていいな……心の絆だな……と眺めて。



最後に『好き♡好き♡どっかん♡』というフザけた名前の打ち上げ花火をやることにした。筒の説明によると『好きな人のことをイメージして手をかざすと、どっかんするよ♡』らしい。意味が分からないのでとりあえず葉子にやってもらうことにする。「あおちゃん、あおちゃん……」と小声の呪文を唱えて筒に手をかざしていたら、火もつけずにドッカンしてバァン!!と『あおちゃん好きっ!!』という大きな金色文字の花火が広がり、大胆に告白を受けた彼女はスイカよりも赤面した。


 

すごいねこれっ!って盛り上がってたらもう一個あるということで、ここはお返事としてあおいにやってもらうことになり。「そんな……!」と抵抗していたけど葉子がウルウルしていたので仕方なくしゃがみ、両手をかざしてためらいがちに「好きな人……好きな人……」とか念じているとドッカンしてバァン!!と『みんな好きですっ!!』なんて世界平和なメッセージが爆誕して秋葉と私は地面に崩れ落ちた。笑いすぎてお腹痛い。



「あおちゃんっ!」とか葉子はかなり不満げで「えと……その……ちょっと恥ずかしさが出ちゃったかもですね……」ってあおいは目を泳がす。『でも、葉子のことは好きなんだよね♪あおい?』と言うと「そっそうですよっ!もちろん姫のこと、とっても大切に想ってますよっ!」って伝えても葉子はしゃがんでひざを抱えて。



「もういい……あおちゃんの秘密、暴露するから………」



ええっ!?っと3人がどよめく。あ、あおいの秘密…………?すると葉子が「あおちゃんはね…………超売れっ子の、むぐっ!」「よっ葉子さんっ!それ言わないで下さいっ!」あおいが忍者のような速さで葉子の口を塞いだから私と秋葉はポカーンとした。何だか嫌がっているけど……秘密って……?



〈緊急!!緊急のお知らせダヌ!!サソリが大量発生中!!みんな麒麟さんに避難するダヌ!!〉

 


ワァー!と、みんなパニックになりかけたけど麒麟さん達が身体と手を伸ばして動物人間さんと私たちを背中に乗せ、空中へ上がった。うわっ、ナイトプールの明かりに引き寄せられたのか何なのか、地面から湧くように出現している。〈こっちダヌ!!〉と、私たちはタノキチのいるクレーン車の特別席へ降ろされた。



念じることによってまず私たちのテントを上空に浮かせ、次にプールやライブ会場を消去する。みんなをほかの島へ送って戻ってきた麒麟さんたちにより、サソリはすべて風でどこかへ吹き飛ばされた。すごい能力……ありがとう麒麟さん。笑顔で手を振って別れた。




 

そして夜から急に明るくなり、空にはトンボが飛んだ。風が気持ちいい〜♪と思ったら島の真ん中に巨大な木が生えて、赤い屋根のツリーハウスが創生される。〈ええと、ボクからお礼がしたいダヌ!〉って言われ。クレーン席から地面に下ろされると〈HISUIさんとみんなのおかげで今年の島の維持費が稼げたダヌっ!これから収穫祭があるから、ぜひ特別ゲストとしてみんなに美味しいものを食べてほしいダヌよ!〉



え、やったあ♡と喜んだ。さっそくツリーハウスへ案内される。大きな木の根元にドアがあり、開けるとエレベーターになっていてワクワクしながら到着すると〈あらっ♪来たのねっ♪〉って、この人は………ああっ!ニワトリのドメグラだ!とか私たちはとても興奮して、葉子が抱きつくと〈うふふ♪♪〉ってニッコリするの癒し……♡ママァ……♡


  

〈まだ料理人の方は来てないけど、こっちでゆっくりしましょ♪〉



すごい……ログハウスじゃん。木のいいにおいと、島と海を見渡せる窓からの眺めが最高。外から見たよりも中はとても広くて、私たちとタノキチは大きな食事用のテーブルが並べられたメインのお部屋から奥のキッチンルームへ向かい、赤いカントリーなチェック柄の布がしいてある木のテーブルでティータイムをする。ドメグラお手製のかわいいニワトリ型のサブレを頂き、大きなマグカップに入っていたお茶を飲むとピリピリっとしたからちょっとびっくり。



〈あら?あなた達ここの人たちじゃないのね。『ヒカリゴケ茶』は、この辺りでは有名な健康茶なのよ?〉


 

そ、そうなんですか……はは…………と笑ってたら親切にも違うお茶に変えてくれて、それは……まだ飲めた。何だかお料理が心配になってきたけど、テーブルいっぱいの大きなアップルパイはめちゃくちゃ美味しくて。みんなで半分も食べたからドメグラは〈うふふっ♪嬉しいっ♪〉って微笑んで本当に癒しすぎる………ママァ〜♡



するとゾロゾロとエレベーターから3人のコック帽を被ったタヌキさんがやってきて〈紹介するダヌよ!ボクの知り合いの一流料理人ダヌ!〉ってタノキチが口にパイの欠片をつけたまま話しているからドメグラが拭いた。



無口なタヌキシェフさん達は〈ども……〉とお辞儀してきたので〈あ、よろしくお願いします。〉って挨拶をする。調理の邪魔になるのでキッチンから出ようとすると彼らは〈あれがない…………〉とか何やらドメグラにボソっと喋っていて。



〈タノキチ、肝心な海の食材がまだ無いけど?〉って彼女が尋ねると〈いや……ドメグラが取ってきてくれるかなって思ってダヌ……ボクも子だぬきも泳げないし……〉なんて話し〈私はニワトリよ?取れるわけないでしょう?〉と眉をひそめていて。



〈スズキとカニとホタテがないと………作れない……〉



タヌキシェフ達は困ったようにつぶやいている。……あれ?この流れは行かなきゃいけないやつ?とか思ってたらやっぱり頼まれ。……特別ゲストだよね?と、タノキチに笑顔の圧で聞くと〈ご、ごめんダヌっ!!取って来てくれたら美味しいお料理食べれるからっ!!〉って言うけどなんだかなぁ。でも「いいよ〜」なんて葉子は引き受けて、私たちは海へ向かうことになり。



〈ここから行けるようにするからっ!〉



タノキチはツリーハウスのテラスから砂浜へと往復できる魔法のターザンを創生し、一人ずつ………って、高さがとんでもないが?「私から行くね〜?」勇者である前衛の葉子は、命綱もないのにロープにつかまって相当な距離をキャ〜♡と下りていった。残された私たちは青ざめて立ちつくす。



やっぱり歩こうかな……と思うけど、それはそれで面倒くさいから……やるか。魔法のターザンがテラスに戻って来ると「にゅ〜!楽しいよ!大丈夫だから〜っ」なんて葉子はおかしい、足がすくむよこれ………とかビクビクしてたら〈安心してダヌっ!つかめば手が離れないようになってるからっ!〉ということらしいので、決死の覚悟でいちにの……さーん!と飛び乗るとギューン!!って飛び、砂浜に着地して煙と共に派手に倒れた。



「あははっ!すごいよにゅ〜!」



ううっ……私、生きてるよぉ〜葉子〜と抱き合ってたらあおいが突っ込んできたので避けた。「な、なんとか無事でしたね……」……あおい……結構度胸あるよね、さっすがアイドル〜♪と褒めて「そ、そんな……」ってやってるうちに秋葉がコケずに着地した。ちょっとカッコいい……とか見ていると「……私のファンクラブ、募集中。」なんてニヤっとして。



「はいは〜いっ♡私、入りま〜すっ♡」



葉子がファンクラブ会員番号1番に決定したので『良かったね、秋葉♪』と喜ぶと「商売敵は入会できない………握手会も出禁……」なんて至極嫌そうなのであおいとクスクス笑った。葉子はフンッ!って魔法のターザンを往復する遊びをやり始めて「野生児……命知らず……」と秋葉は呆れてため息をつく。



とりあえず、海に潜るために『あつ森』と同じようにマリンスーツを着ようということになり。3人で試着室も創生してお揃いの黒とグレーのものに着替えたら、何だか秋葉が挙動不審になる。どうしたの?と覗き見ると赤くなって顔をそらすから『エッチ。』って睨むとあおいが「えっ!?」みたいに反応して「な、何でもないですあおいさんっ!い、行きましょうっ!」……おっぱい見すぎなんだよな。



ゴーグルをつけ、水中でスズキを探していると……いた。でも、彼は田中さんというらしい。〈おう、田中だけど?俺に何か用?海で迷っちゃったの?〉…………………いや、無理でしょ、食材になんかできるわけがない。3人で笑ってゴボゴボ泡を吹いた。


 

う〜ん何だかね……なんて砂浜でいったん会議をしていると「うちの食事は……結構新種ヴィーガンに近い………卵は食べたけど、動物とか魚をなるべく避けている。さらにナッツも植物油も摂らない……葉子の美への探求……私はそのオーダーに対応しながら料理をしていた……」って秋葉が教えてくれ「私もそうですよっ!葉子さんに影響されてあまりそういうものをいっぱい摂らない暮らしをしてましたよ♪命に感謝なんですっ!」と、あおいも大事なことを話してくれた。



……そうだよね。それにもうここは『お腹すいた〜』みたいな世界じゃないし、特に生き物とはお話もできるみたいだから仲良くやっていきたいよね……って言ってたら「人工の……物を創ればいい。」と秋葉は提案する。「私たちは味や中身を知っているから……本物に限りなく近いニセモノを創生できるはず。」……なるほど、それならスズキの田中さんを守ることができるね。他にどんな苗字がいるんだ?



〈……おう、また会ったな!どうした?〉



ちょっと言いづらいけど……彼に仕方なく人工物の説明をすると〈うえっ……お前らそんなことしてどうするの?〉って引かれながらも協力してくれることになり。……私たちも何をしているのかは分からない。とにかくみんなで身体をよく見せてもらって触らせてもらって、それから彼の詳しい味と中身をスマホで調べていく。



『……ええと、透明感のある美しい白身で、歯ごたえがあります。淡白でありながら、噛むと豊かな旨味とコクが…………』



〈おいおいっ!怖すぎだろっ!〉って引かれるのは当然だよね……3人で謝りつつ田中さんにお礼を言って浜辺に戻り、念じる。すると、目の前に動かないスズキが創生された。おお………何となく食品サンプルのような造り物感を感じるけどほぼ本物だ。「これで今までのようなお料理が作れますねっ!」「すごい……私たちは未来に進んでいる。」と私たちは興奮した。数匹をビニール袋に入れ、子だぬき達とドッチボールをしていた葉子に人工スズキを運んでもらった。



さて、次はカニか。浅い海の底にズワイガニの青山さんがいたので協力してもらった。私たちは身体を触らせてもらい、味と中身を確認する。

  


『……繊維が繊細でしっとりとした身に、濃厚な旨味とふくよかな甘みが詰まっている………』



〈おいおいやめてくれよっ、寒気がするぜっ。〉



ごめんね……と言いつつ感謝をして、最後はホタテだ。ウツボ一家に会いに行き、持っているか聞いてみるとたくさん生息している場所まで案内してくれた。そのうちの一つに近寄ると〈あら、可愛い子。私に何の用?〉と女性の声がした。ニセモノのホタテを創りたくて……手伝ってくれませんか?とお願いすると〈まあ、いいわよ。〉って協力してくれたので、外側の殻を触らせてもらって味と中身を調べる。



『……生ではプリプリとした弾力があり、加熱するとふっくらとしてより甘みが引き立ち……』



〈何だかエッチな文ね。私は太ってないから美味しくないわよ?やること終わったなら帰ってよね。〉



ホタテさんには名前も聞けずにありがとうと伝え、浜辺でその2つの食材を創生できたから葉子便に頼み、長袖Tシャツに着替えてから私たちもターザンでツリーハウスへ戻る。とんでもなく大変だった……〈あらっ!戻ったのね♪ありがとう〜♪〉ドメグラがぎゅっとしてくれたのでママァ〜♡とやってたら葉子も加わって秋葉は引いている。



〈本当にありがとダヌっ!感謝感謝ダヌよ!〉


 

タノキチは残りのアップルパイをむさぼっていたのか口中に欠片がついていて、おなかにも食べカスがこぼれていた。タヌキシェフ達は〈……ありがとう。〉と言ってすぐに調理を始める。どうやら人工物だということはバレていないらしい。問題は素材の味だけどたぶん大丈夫だろう……と、シェフ達の手際の良い風景をこっそり眺めていく。



とても大きな白い陶器の皿とチーズがあったので、グラタンかな?って予想していたらタマネギを切り始めて、たぶんそうだ♪美味しそ〜とワクワクした。ピンクの傘の珍しいキノコもテーブルに置いてあり、へぇ〜どんな味なんだろ……?とか想像しているとブシュッ!とまな板から紫の汁がこっちまで飛んで来てあおいと秋葉と硬直した。葉子は瓶に入った丸いキャンディを勝手に舐めている。



もうすぐ完成するとのことで、私たちは大部屋の特別ゲスト用のテーブルで座ってお料理を待つ。落ち葉を型取ったオレンジの紙の敷物の上に、黒いスーツ姿の子だぬきが台に乗りながら赤いドリンクで満たされた小さなグラスを置いて。葉子が一口飲むと「美味しい♡」ってGOODサインをした。それを信頼して私も一口飲む。………うん!ブドウのようだけど、お花の蜜のような甘い香りと風味がする………素敵♡お酒なのかな?まあ、年齢とか関係ないし。



そしてエレベーターの扉が開き、ヒゲを生やしていたり着物を着ているグルメそうなお客さんが次々とやって来た。タノキチはすぐさま彼らから参加費を回収し席へと案内をする。収穫祭というより高級レストランだなこれ……と見ていたらタヌキシェフが自らお料理を持ってきた。



〈熱いのでお気をつけてお召し上がり下さい、カニのあんかけラーメンでございます。〉



うわっ!豪華だ……決して人工と明かしてはいけない赤い身が贅沢に散らばっており。これでカニかまぼこの味であればお客は帰るだろう。私たち3人は、おそるおそる華奢なレンゲで餡をすくって口に運び…………うまっ!!カニだこれっ!!魔法実験は成功した。

 


「おいし〜♡にゅ〜達、シェフさん、最高だよ♡」 



〈おお……素晴らしい味だ。スープにはカニの殻を使っているね。誠に美味。〉



葉子やお客さんにもバレていない。良かった……とホッとするし、普通に美味しいからすごいよ。



そして特別テーブルに巨大なグラタン皿が置かれ、シェフ自ら白いサザエのような陶器に盛り付けていく。



〈お待たせ致しました。ホタテのグラタンです。〉



わぁ……なんだろう、上に乗っかってるのはもしかして……キャビア?おしゃれだ………でも秋葉はヴィーガンならさ、私がそれもらうよ♪とか半分冗談で言うと「まぁ、そこまで厳格ではない……与えられたものと機会には隔たりなく感謝をする……美味しい……」って味わっている。葉子もさっきから普通に食べてるもんね。



香りからして絶品なグラタンを頂く。……うん!人工ホタテも上手くいったぞ。先ほどのキノコも食べてみる…………なんかピリピリするけど……クセになる食感だ、エリンギよりも弾力がある。あおいが大満足していたら、子だぬきがもう一皿持ってきて遠慮しつつも喜んだ。



ガラガラと、フードカートに乗ったスズキの大皿が到着してグリルしたお野菜と共に盛り付けられる。



〈スズキの香草焼きでございます。〉



おおこれは…………見た目もお魚で、味も……臭みはなく旨みがあり絶対にバレない『本物に近いニセモノ』だ。〈美味しい!この辺りで釣ったものかしら?〉という声が聞こえたから3人でニコニコする。


〈私もデザートを作ったから食べて〜♪〉


ドメグラさんがマロンのショコラケーキを持ってきた。「えっ!すごいっ!特殊な洋酒が効いてますね!食べたことのない味ですっ!」ってあおいは口に手を当て感激していて。チョコでコーティングされた丸い本体をフォークで切るとスポンジで分けられた何層ものマロンクリームが詰まっている。一口食べるごとに秋が広がり、至福の気分で舞い上がった。



そして巨大なかぼちゃプリンがお部屋に運ばれ、好きな大きさを子だぬきに頼んでいく。ドリンクも各種あるらしい……メニューを見ながらあおいと同じ『夕焼けティー』をお願いした。すると部屋の隅にて、いつの間にかトラのおじさん達がバイオリンとかその他の弦楽器で演奏を始めたから驚く。お城のパーティーで流れているような素敵な音楽だ……♡子だぬきが持ってきた雲のようなホイップクリームが乗った紅茶カップ片手に貴族の気分になる。



葉子は、一曲終わるとおもむろに彼らに突撃していってしばらく話した。まさかと思ったらバイオリンを創生し、一緒に楽しそうな曲を弾き始めて秋葉は少し笑う。「……メリオカートは好きだけど……特にメイプルツリーハウスは私の好きなコース曲。五重奏……すごい。」はぁ……♡ってあおいと見惚れながらプリンを食べる。弓を動かす滑らかな動きと演奏姿が半端なくカッコよすぎぃ………神ぃ……♡タノキチも頬を染めた乙女の表情で動画を撮っており。



……びっくりしたよ、葉子って何でも演奏できるんだね!って秋葉に言うと「よく知らないけど……バイオリンは小さい頃に母親から教わったとか言ってた……時々うちにクラシック関係の友人が遊びに来て、一緒に収録してたから演奏するのも好きみたい……」なんて教えてくれて。



……もう、音楽のプリンスとしか言いようがないねこれは……うん、今度私のために一曲作ってもらおうかな♪などと言って浮かれていると「……『エリーゼのために』じゃなくて『丹海のためのエッチ即興曲』……いやらしい短調と衝動的なテンポの高難度………急に明るくなって終わるのはスッキリしたから……」とか笑いながら何言ってるの?葉子はそんなの書かないもんっ!



エッチな秋葉は置いておいて、私はあおいと美しい音楽を聴きながらフラフラ歩き、テラスの空気を吸ったりキッチンへ潜入して子だぬきに何かお菓子ちょうだい!ってねだる。すると上の棚からどんぐりに似せた焼菓子を出してくれて、中にはいちごとかレモンとかのジャムが入ってて美味しい!葉子達にもあげよう〜♪と大部屋へ戻ると、なんと音符が空中を浮いている。



「丹海さん!これっ!チョコですよっ!」



私たちとお客さんは飛んでくるそれをつかまえた。葉子も演奏しながら手で取ってパクっと食べ、無邪気に笑って。はぁ♡少年の笑顔かわいい♡って私も食べると音符はサクサクのチョコビスケットで口の周りが茶色くなるほど夢中になってたら「あっ、丹海さん口に付いてますよっ!ふふっ♪」なんてナチュラルに指で取って舐めて私は石化する。天然動作に気づいたあおいが「あっ!!」なんて後から自分で赤くなって固まり。



「ごっごめんなさいっ!!丹海さん可愛くてっ!!私が昔飼ってた大切なハムスターみたいに……いつまでも見ていたいなって、ついつい…………」



……待って、私ペットなの?いつの間に、秋葉が後ろでクスクス笑ってるから睨んだ。開き直って「あおい〜♡私、あおいの飼い犬だよぉ〜♪わんわんっ♪」とかハグして肩をスリスリすると「わっ!かっ、可愛い……!…………じゃあ、チョコあげるね?丹海ちゃん♡」ってお姉さんボイスなの素晴らしすぎ………秋葉は悔しそうに見ている。


 

「わんわんっ♡あおちゃんっ♡私にもチョコちょ〜だいっ♡」



後ろから葉子が私ごとハグして来てあおいは「ギャッ!」なんて叫ぶ。ドメグラは〈あら♪仲良くて素敵ね〜♪〉って微笑んで、葉子はすぐにそちらへ行ってぎゅっとした。十分に満足したお客さんが少しずつ帰っていくとタノキチは私たちのテーブルに座り、ケーキやプリンやラーメンをガツガツ食べ始める。



〈………この辺りの冬はとても厳しいんダヌ!冬眠するから食いだめするんダヌよ。キャンプ場は安全確保のため冬季は閉鎖になるからねっ、君たちは秋を楽しんだら帰ってダヌっ。〉



ええっ?そうなの?何だか寂しい……でもまあ、会おうと思えばいつでもここに来れるよね?LINEとかできればいいけどさ、それ系は全部システムか何かがおかしくて起動できないんだ。どうせAIが返事してくるでしょうから起動したところで意味はないと思うんだけどね……時間表示も壊れてるし。



〈ライブ、楽しかったダヌっ!色々とありがとダヌっ!〉



〈演奏も素敵だったわっ♪今度はうちにいらっしゃい♪ケーキもたくさん作るわよ♪〉



ママァ〜♡と、最後にドメグラにハグをしたらナデナデしてくれた♡ついでにタノキチにもみんなで抱きつく。『思い出に何かちょうだい♪』とか無茶なお願いしたら毛の中をゴソゴソ漁ってみんなにサイン付きの自分の写真をくれた……どこから出してきた?何かあったかいんだけど………あ、ありがと〜♡って感謝をすると〈もうあげるものは何もないダヌよっ!〉とか照れててモフモフ可愛いよ。





 

「いい天気ですね~!」


「あははっ!こうすると気持ちいいよ〜♪」



秋空の下、私たちは遊んだ。犬みたいに草の上をゴロゴロして、それだけなのにみんなでおかしいくらい笑って。何だか高揚感があるのは食前酒みたいのを飲んだからかな?私と秋葉は、テントの前にリクライニングチェアを創生して流れる雲と遠くの海を眺めた。何だかようやくキャンプらしいことしてるよ……というか、キャンプって特に何もしないんだねって秋葉に聞くと「現代は……することに意識を向けさせられている……」なんて話を始めて。



「何もしていなくても……私たちの意識は無限に動いている……身体も、生命の維持をしてくれている……静かに過ごすことは、その原点に戻るための大事な作業…………」



走り回る葉子は、赤トンボを大量に呼んで腕にとまらせたからあおいが叫んでいる。心地よい風が顔に当たり、空気を吸い込むたびに心が癒され。…………また、手を握られた。



「私は……すべての人間を愛せるわけじゃない……こうしてゆっくりとしながら……幸せを感じれる人と、永くいたい。丹海といると…………幸せ。」



え?あ、うん……とか、返事をした。秋葉は、時々こうしてまっすぐなことを言うからドキッとする。野球とかあんまりよく知らないけど……真ん中に投げる球と投げない球の差がすごい、みたいな。『……ありがとう。私もね、割と静かなのが好きだから……秋葉とこうしてゆっくりしているの楽しいよ。』って……恋人みたいだが?付き合ってもないが?とかまた脳みそが忙しくなっていたら手のひらに軽くキスをされまして………



……何なの?葉子も君もキス魔なの?と問うと「知らない。これは……愛の表現。私の内から愛が発現されると勝手にそうなる……」とか、だからキス魔だよね?って言ってたら「丹海だってしたでしょ……プールの時に……」なんて指摘され。



あ、あれは……と動揺してたら「悪いことじゃない……内なる想いが発現されると身体も動く……丹海の『秋葉、好き好き愛してる〜♡』という気持ちがどこからか湧いてきた……」などとよく分からないことをおっしゃり。



「そういうことを知るために生まれた…………自分の、力を知るために。力を……いつか使ってみたいと思っていた。想いが……愛が現実を創造できる世界で。」



秋葉は人差し指で空色のハートを創り、私に飛ばした。それが弾ける前に私はもう一つピンクのハートを創り、くっつけて2つとも秋葉に送ると、彼女もまたもう一つハートを創り、私ももう一つハートを創り…………するとぎゅうぎゅうになったハートはポンっ!と大きな一つにまとまり、その瞬間にボフっ!って破裂して私たちは笑いながら魅惑のココナッツの香りでむせた。



「……こういう、予想もつかないことをやれるのが面白い。人工食材の実験も、すごく楽しかった。もっと丹海と、新しいことを見つけたい。丹海のことも…………」



……もう、私が言いたいこと全部言っちゃうんだね……?とかつぶやいたら「え?」って赤くなって………見つめ合っちゃったから『カウンター効きましたよ秋葉さん!はははっ!』なんて照れ隠しをしていたら「にゅ〜♡イチャイチャなところごめん〜ねぇ、お芋掘りやろ〜よ〜♡」って葉子からお呼びが来たので、秋葉の手のひらにキス返しをして、さらに前髪を少し上げて綺麗なおでこにもそっと触れる。はぁ……驚いてる顔も美しいよ、まったく。



「丹海…………」



おや、起き上がって顔を近づけて来ましたよ!『秋葉さんは軽すぎますっ!!エッチ!!』って偽あおいのマネをしながら逃げ出すとチーターみたいな脚力で追いかけてきて捕まった。そこを葉子が取り押さえて「ちょっとっ!私だけの美少女にエッチなことしないでっ!」なんて始まると「丹海は……誰のものでもないっ……」なんてもがいて、私は関係なくあおいに抱きついて「あおい〜♡ナデナデして〜♡」とおねだりすると「もう、丹海さんってば。……可愛い。」はぁ〜♡ローズのいいにおい〜♡ってやってたらあおいに2人が迫って行き「あおちゃんっ!」「あおいさんっ!」………………無言でナデナデされているこの光景はなに?これが世界平和なの?………なるほど尊いな。



……やっぱりあおいがいないと世界は成り立たないよ、神だね♪ここちゃんのお母さんだし♪って述べると「そっそんな!お母さんは……葉子さんですよっ」に対して「葉子は…………子ども。私の妹………生涯3歳児…………」なんて秋葉がひどいこと言ってるから「……ここちゃん?またおっぱいあげようか?」ニッコリ笑う電撃魔法が来たっ!



秋葉は麻痺で硬直し、葉子がさらに「あ、そうか♪ここちゃんは、私のじゃなくてあおちゃんのが欲しいんだよねっ♡」って追加魔法を仕掛けるとチーター同士の激しい鬼ごっこが始まった。葉子がツリーハウスに逃げて2人が中で走り回っているのが見えて『元気だねぇ、仲が良いねぇ。』とか、まだ耳の赤いあおいとスコップで土を耕す。



〈ちょっとっ!この2人をどうにかしてダヌっ!〉



テラスからタノキチが頼んでくるけど、ドメグラさんがいるから平気だろう……と思ったらその通りで、結構怒られたらしく2人でシュンとしながら帰って来た。みんなで仲良くしよう?って、さつまいもを育てて収穫する。


秋葉が薪を割って葉子が火をつけ、石で作った土台の上に蒸し器を置いてアツアツの紫芋を食べる。タノキチ達に持っていくと喜ばれ、収穫祭はもうお開きにするというのでタヌキシェフとも握手をした。

 


〈ありがとダヌっ!じゃあね〜!キミ達も帰るダヌよ〜!〉



テントから、みんなで手を振っていたらツリーハウスごと静かに消える。やっぱりちょっと寂しくなってきて『また、会えるよね?』と葉子に聞いたら「うん♪人生は、瞬間の連続だよ♪次は何しようか?にゅ〜♡」って頭を撫でられ。



やだ……カッコよくて美しくて最強♡…………とか見惚れてたら秋葉もナデナデしてきて「バウムクーヘンみたいに……時間が存在しないとしても……経験は重なっていく………」……なんかエッチだね?なんて思ってたらあおいも「丹海さんっ、私もいますよっ!一緒に楽しく過ごしましょう!」って強めにナデナデしてくれて。みんなくすぐったいし、優しいよ………ありがとう。



「あっ!スイカ割りやってない!」



って葉子が即席でスイカを創生した。なぜか私が目隠しされて木の棒を持ち「頑張って下さいっ!」とあおいに応援される。葉子は秋葉を叩きたいらしく、素直に言われたまま進むと「こっちじゃない!」ってガチで叫ばれた。そんな嫌がらなくても……と、わざと素振りをするとさらに叫んだから笑っちゃって、ふざけてフラフラしてたら棒を取られて頭をチョップされる。痛い。



「ちょっと!私のにゅ〜に酷いことしないでっ!」とかまた一般的ドラマが始まって「にゅ〜は私の国民的アイドルなんだからっ!」なんてことを本物のアイドルに言われると顔がニヤけちゃうよね……という一部始終をあおいが全部録画してたから真顔になった。私も負けじと彼女を至近距離で撮り始め「に、丹海さんっ……」って恥ずかしがるところで秋葉が画面に入ってきて『ちょっと!』と言ってたら葉子も入ってきて、草の上で寝転ぶみんなを撮影してたら…………なんかクラクラしてきて…………?


 

「やっぱり、あの収穫祭のピンクのキノコ…………こちらの世界では漢方的なもの………だけど、私たちには…………遅効性の………毒……………」



秋葉はかなりだるそうにしている。あおいは妙にニコニコして、葉子はふあぁ……とあくびをして。そのうちに空は白く曇り、ガバッ!と地面からどんどん雪が創生され…………え……?ちょっとっ!!このままパーティ全滅?!まずいじゃん!!…………帰れないよぉぉっ!!!









 


 

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