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戦いの最前線へ

あれから、1週間たった。放送とともに起き、アサヒがジャンを起こしてるのを横目に、訓練部屋に向かった。いつものように発射された玉を避けを何回か繰り返した後、射撃練習をした。だんだん速く動けるようになってきた。もっと工夫したらどうだろうか。などと考えていると

「シクル」

と声が聞こえた。見るとアサヒが歩いてきてるのがみえた。

「どうしたんですか」

「会議があるから、集まって。ジャンにはもう声かけといたから」

「わかりました。ありがとうございます」

シクルは返事をした。ジャンも途中から、シクルとは違うところで練習していたらしい。シクルはその場を片付けリビングに戻った。

「明日、最前線で戦うことになった」

 全員揃ったのを確認したリヨンが口を開いた。シクルが慣れてきたと判断され、もとの配属位置に戻ったのだった。

「今回は森での戦いだ。ジャンとアサヒは久しぶりだから、しっかりと調整してくれ。シクルは身の安全を考えながら誰かと必ず一緒に動いてくれ」

1人1人の顔をしっかりと見て伝えた。そして全体をみながら

「前回よりも、ガングの数が多い。だが、練習の成果を活かして、動物たちのために頑張ろう」

リヨンがそう言うと、背筋を伸ばし3人は返事をした。

 次の日、航空機に乗ってアズキ島に向かった。

「暗い顔をしているが、怖いのか?」

リヨンに声をかけられた。自分では普通にしてたつもりだが、顔にでていたのであろう。

「いえ、違います。大丈夫です」

自分に言い聞かせるような感じで言った。

「大丈夫ならいいんだ。シクルはまるで動物みたいだな」

リヨンは微笑み、窓の外を眺めた。自分は恐怖や痛みは感じない。試しに腕をつねるがいたくなかった。ジャンたちを見ると、シクルとくらべ明るい表情をしている。なのに、なぜ暗い顔をしているんだろう。シクルは窓にうつる自分の顔を見ながら思った。

 アズキ島に到着し、用意をする。今は目の前のことに集中しよう。そう決心した。

 4人で敵の視界をかいくぐり岩場を駆け抜け、森に入った。翼が生えたガングが飛んできて、弾丸をとばす。シクルたちはよけ、うち落とした。シクルとジャンは飛んでるガングと地上の小型ガングを倒し、アサヒとリヨンは大型のガングを倒していた。木に隠れながら周りを見ると、他にも部隊がいるのがわかる。たくさんの部隊が戦っているのに、ガングの数が減らない。とても強いことがわかる。よく見ると、小さいガングがたくさん飛んでる。あれに振りまわされているのか、剣を使ってるニンゲン達は戦いにくそうだった。狙撃で倒しているが、標的が小さいため、狙いにくい。これが少なくなれば、動きやすくなるのでは。シクルは大砲を構えた。大きい玉を作り、そこから小さい玉、数十個に分裂させる。そして、追尾機能をオンにした。見える範囲で小さいガングがたくさん飛んでるところに照準をあわせ発射した。玉はガングを追いかけ激突した。ガングは飛び方がふらふらになるだけで、まだ攻撃を仕掛けている。今度はさっきより大きめの玉をいくつか発射し当てた。すると、ガングは落ちて動けなくなった。これでいける。シクルは小さいガングを倒すのに集中した。

 視界の隅でリヨンが1人でガング2体を相手にしているのがみえた。1体のガングがふらつきこけた。その隙にもう1体のガングを相手にする。こけたガングは立て直し、後ろから腕を振り下ろそうとしている。

「危ない」

同時に構え、発射した。玉はガングの腕に当たりふっとんだ。それと同時にリヨンは振り向き、ガングの胴体を切った。

「ありがとう。助かった」

2人は一旦後方に退いた。その方が話もしやすいからだ。

「よかったです。無事で。それにしても、ガングの数なかなか減らないんですけど」

後方に移動しても、たくさんのガングがいた。前回よりも明らかに多い。

「そうだね。ガングをたくさん乗せてきたんだろう。ガングが倒されるたびに船から降ろしているらしい」

アサヒの言葉を聞いて、シクルは少し考えた後

「リヨン。速く走る方法知っていますか?」

「知っているが。どうするんだ」

「ちょっと行きたいところがあって」

と口を濁した。成功するかわからないからむやみに言えなかった。リヨンはうなずき

「マナはまだあるかい?」

「あります」

と目を閉じて伝えると、リヨンが方法を教えてくれた。

「簡単に説明すると、マナを足に集めてから、走る時みたいに地面を蹴るだね」

リヨンが手本をみせた。一蹴りで数メートルも進むためとても速かった。そのため、森など障害物がある場所だとぶつかってしまう。マナの量と、走る方向をコントロールして、一蹴りの距離を調節するという。ぴょんぴょんと素早く移動しているリヨンがみえた。

「最初は少量のマナを足に込めるとやりやすいよ」

戻ってきて、ポイントを教えてくれた。シクルも試しにやってみる。少量のマナを込めると、障害物を簡単に避けることができる速さで走ることができた。

「森はガングの数が多いから、海岸線をなるべく通った方がいいよ。あと、この技は慣れるまで時間かかるから気をつけて」

「わかりました。ありがとうございます」

そう言って、手持ち大砲を背負った。そして、少量のマナを足に移動させ、地面を蹴り目的の場所に向かった。海岸線にでると太陽に照らされて海が輝いていた。リヨンが言ったとおり、ガングが少ない。速く走って、ガングに気づかれないように進んでいった。

 シクルは敵の船が見えるところに来ていた。リヨンが船からガングを降ろしていると言っていた。船をみることで何か良い策が思いつくかと来てみたのである。船には長い筒がついていて、そこからガングがポコンと一定間隔ででていた。ガングがでる出口はそこしかなさそうだ。あそこを壊せば戦いが楽になるかも。シクルは大砲を構え、大きい玉を作った。船の周りにはガングがいるが、気づいていなさそうだった。慎重に狙いを定め発射した。大きな玉はまっすぐと飛び、筒に当たった。

「奇襲だ」「奇襲だ」

ガングたちが慌てているのがみえた。シクルは見つかる前に安全地帯に戻った。

 安全地帯に着くと、リヨンたちが集まっていた。交代の時間らしい。

「上手くいったかい」

リヨンが聞く。何かを察していたのだろう。シクルは頷いた。

「一体何をしたんだ」

ジャンが不思議そうにいう。シクルが説明しようとすると

「ほら、ヘリコプターが来たよ。ジャン、シクルも疲れてるから明日聞きなさい」

と、リヨンが止めた。マナはニンゲンの動く力になっている。そのためマナは会話だけでも少しずつ減っていく。シクルは今回、マナを大量に消費したため配慮してくれたのだろう。シクルは平気だと思っていたのだが、ヘリコプターにのると体が重たくなり、施設に着くまで熟睡していたのであった。

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