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初めての戦場へ

次の日、武装をし、手持ち大砲を背負った。ホールにはすでに3人が揃っていた。ジャンもしっかりと時間通りに起きている。どうやら、戦場に行く日は時間通りに起きるらしい。

「それじゃ行こっか」

リヨンを先頭に廊下を歩いた。施設の出口に向かうのかと思ったら、逆の方向に歩いていく。そして壁につきあたった。行き止まりだ。リヨンがカードを取り出し、壁に当てた。すると、壁は音をあげ上に動いた。そこは倉庫だった。卵型の乗り物にプロペラがついてるものがたくさんおいてある。ヘリコプターというらしい。4人はヘリコプターに乗って出発した。2人ずつ向かい合わせに座っている。運転する人はおらず、自動に動いていた。

「現地についたら、私たちは後方でもれ出てきたガングを倒す。僕らの部隊はいつもは前で戦っているんだけど、シクルが初めてだからね」

とリヨンがシクルに向けてウインクした。シクルは頭を下げ微笑んだ。

 少しすると、島が見えてきた。

「そろそろつくよ」

リヨンの声とともにヘリコプターが下降し始めた。4人はでる支度をする。トビラがあき、外へでた。シクルたちの部隊と他に、40部隊ほどきていた。走って目的の場所に向かっていると、大きい音とともに煙りがたっているのが見えた。岩場に隠れ敵がくるのをまつ。敵が見えると、リヨンとアサヒが岩場からでてガングを切った。ジャンも撃っては違う岩場に移動している。シクルも構えて撃っていった。ガングは二足歩行や四足歩行などさまざまいて、とても硬い。たまに、飛行型のガングも飛んできたので、視野を広くしとかないといけなかった。1番厄介なのは、ガングも武器を持っていることだ。弾を避け、木が倒されたり、岩が崩れたりするのを避けながら、攻撃するのは大変だった。

 シクルは大砲の中で玉を複数にわけ、連続的に発射した。ガングはいくつかの穴があき、倒れた。マナはまだある。集中して、ガングに当てていった。

「シクル。そろそろ交代だ」

リヨンが声をかけてきたのは島に着いてから、半日すぎた頃だった。敵にばれないように後ろに下がり、安全地帯に向かった。安全地帯には腕がなかったり、中の機械が見えてたりと怪我をしているニンゲンもいた。痛みは感じないため、怪我をしているニンゲンはなにひとつ顔に変化はない。

「このニンゲンたちは」

シクルが聞くと

「司令塔に連れてって、治すんです」

リヨンに聞いたはずが、知らない子が答えた。眼鏡をつけたその子は、シクルの言い方が気に食わなかったのか口調が強い。

「ありがとうございます」

シクルがお礼を言うと、その子はうなずき、怪我したニンゲンと行ってしまった。

「あの子はリゼというんだ。変わり者だよ」

とリヨンが教えてくれた。ニンゲンは壊れると、強制停止させられ捨てられてしまう。しかし、リゼは治してもらい復帰させるという。シクルはリゼの背中をみながら、そんな子もいるんだと興味がわいた。

 倉庫に戻ってくると、クマが出迎えた。

「お帰りなさいませ、桔梗隊の皆様。司令官が部屋に来ています」

そう言われて、4人は驚き、顔を見合わせた。司令官がニンゲンの施設に来ることは少ない。

「なにかやらかしたか」

ジャンがおそるおそる言った。

「それはないはず。とりあえず、部屋に戻ろう」

リヨンはジャンを落ち着かせ、部屋に向かった。

 ノックして部屋に入ると、司令官がソファーに座っているのが見えた。

「司令官。わざわざお越しくださいまして。なんのご用でしょうか」

リヨンが代表して言う。司令官の前に横一列になり、頭を下げた。

「頭を上げなさい。新人の様子を見にきた」

司令官はシクルの前に立ち、話しかける。

「体調はどうだ」

「はい。大丈夫です」

「武器を使うのは慣れたか」

「はい。慣れました」

と、淡々と答えた。司令官はうなずき

「そうか。それならいいんだ。邪魔したね。しっかり休んでくれ」

と部屋からでていってしまった。

「なんだったんだろう」

アサヒがつぶやく。

「さあね、司令官の考えなんて誰にもわからないさ」

ジャンがソファーに身を投げながら言った。

「そういえば、司令官もニンゲンなんだな」

ジャンが寝転びながら言う。

「そうだね。司令官も昔は僕たちのように、ガングと戦っていたのかもしれないね」

2人の会話を聞いて、シクルもたしかにと思った。このところ、ニンゲンに囲まれていたから忘れていたが、ここは動物の国だ。重要な役職には動物がなってもおかしくない。だけど、司令官がニンゲンなのか。考えこんでいると

「シクル、ご飯食べに行かない?」

アサヒに声をかけられた。

「ジャンたちは?」

「あの2人は無理。戦いの後、いつも寝てるから」

部屋を見わたすと、そこにリヨンの姿はなく、ジャンはソファーで眠っていた。

「さっきまでアサヒと話してたのに…」

ジャンをおこさないように、静かに部屋をでた。

 施設の外にでると、太陽は沈みかけ、オレンジ色の光りが空を覆っていた。

「行きつけのお店があるんだ。ついてきて」

とアサヒに連れられ、お店に向かった。

 レンガ造りの家の前で足を止めた。看板には、トゥイヤと書いてあった。

「ここのお店だよ」

そう言って入っていく。シクルも後ろからついていった。石のテーブルが並んでいて、天井にはシャンデリアがついていた。内装に反して家族連れが多そうにみえる。2人席のテーブルに通された。席につき、メニューを見る。肉、麺からスイーツまであった。

「僕のオススメのメニューがあるんだ。それでもいいかい?」

アサヒが聞いた。シクルはメニュー表を見ただけで、何も決めていなかったためうなずいた。少しすると、ネコの店員さんが水を持ってきてくれた。

「アサヒさん。また来てくれましたね」

「はい。いつものを2つお願いします」

ネコさんは紙にメモし、ちらっとシクルを見た。

「こちらの方は?」

「職場の同僚です」

シクルはお辞儀をした。

「あら、そうなの。アサヒさんが誰かを連れてくるなんて珍しいわね。ゆっくりしていってね」

と言って、キッチンに戻っていった。

「動物たちはね、私たちがガング国と戦っていることを知らないの。もちろん、司令塔や施設にいる動物たちは別だよ。あの施設、表向きは役所になってるから、私たちのことを役所の職員だと思っているの」

アサヒは声の音量をおとして言った。

「そうなんですね。はじめて知りました」

驚いたが、平和そうにみえる理由がわかった気がする。動物たちには内緒と念を押され、シクルはうなずいた。

 話題を変え世間話をしていると、料理が運ばれてきた。ご飯に黄色いルーがかかっている。チキンカレーというやつだった。

「ここのチキンカレー美味しいんだよ。シクルにも食べてほしかったんだ」

スプーンでご飯とカレーを混ぜ、口に運んだ。お肉がが柔らかく、スパイスが効いていてとても美味しかった。

「今日はありがとうございました。美味しかったです」

月の光を頼りに帰る途中、シクルはお礼を言った。

「それは良かった。今度は4人で行きたいね。リヨンたちはなかなか外にでたがらないから、連れだすのが大変だけど」

「そうですね。その時は連れだすの頑張りましょう」

と、ガッツポーズをした。リヨンとジャンを休みの日に外にださせるのは、ガングを倒すよりも難しい。それは最近きたシクルでも感じることだった。

しかし、いつか4人で行きたいと、シクルは小さな希望を抱いたのであった。

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