海岸の少年
「マンマは私が小さい頃に死んじゃったけど、その分パーパや周りのおっちゃん達が可愛がってくれたから、私は幸せだったわ」
アレッサンドロ海に浮かぶ、小さな島の小さな飛行場から少し離れた海岸で、麦藁帽子を被り、純白のワンピースを着た少女が、ひとり遊んでいた。
町の友達の所に行けば、もっと楽しいはずなのだが、彼女はあえてここで一人で遊ぶのであった。
理由は単純。帰って来た。
「あ! パーパ!」
そう言って彼女が見上げた空には、エンジンを轟々と響かせながら、赤い低翼の飛行機が飛んでいた。高度、進路、速度などから察するに、この島の飛行場に着陸しようとしているのが判った。少女の場合、機体の特徴で判った。
「パーパー! おかえりなさーい!」
少女はぴょんぴよんと躍び跳ねながら両手を大きく振った。それが飛行機の操縦士には見えたのだろうか、急遽着陸態勢に入るのを取り止め、旋回して少女のいる海岸に向かって超低空飛行で接近し、少女の前を風のように通り過ぎると、斜め上昇して大きくヴィクトリー・ロールした。少女はそれを見て、更にきゃっきゃと喜んだ。
ヴィクトリー・ロールを終えた赤い飛行機は、改めて着陸しに戻った。少女はそれを追うように、飛行場に向かって駆け出した。最愛のパーパに直に「おかえりなさい」と言うために。
少女は砂に足を取られながらも、一生懸命に走った。そしてその途中、運命の出会いを果たす。
「あれ?」
走っていて気付かなかったが、誰かいた。ちょうどわたしと同じくらいの背丈の子供がいた。
振り返って見ると、確かに男の子がいた。じっと、パパの飛行機を見てる。
おかしいな。さっきまでわたし以外誰もいなかったはずなのに。わたしが気付かなかっただけなのかな? まぁ、いいや。話し掛けてみーよぉっと。
少女はいつの間にか現れた少年の元に駆け寄り、気さくに話し掛けた。
「チャオ! あなたこんなところでなにしてるの?」
少年は少女の方に視線を変え、無言で少女の顔をじっと見つめた。
「あぁ、ごめんごめん。わたしの名前はモニカ・フェラーリン。モニカって呼んでね!」
自己紹介しても、少年は何も言わない。ただじっとモニカの顔を見つめ続けるだけであった。モニカは少し不思議に思いながらも、質問攻めにした。
「あなた名前は? あなたどこから来たの? なんでここにいるの? どうしてパーパの飛行機をずっと見てたの? どうして何も言わないの? ………」
暫くの間質問攻めを続けたが、少年は尚も口を開かない。少年の切れ長の目をした変わった顔を見ると、少し困ったような表情をしていた。そこでようやくモニカは重要なことに気付いた。この子にはたぶん言葉が通じてないんだ、と。
そしてモニカは閃いた。そうだ、パーパやスガワラのおっちゃんなら、何か判るかもしれない。そうだ、そうに違いない。そうとなれば。
モニカは少年の腕をむんずと掴んだ。
「一緒に来て!」
モニカは少年の腕を半ば強引に引っ張り、少年を引きずりながら、飛行場に向かって再び駆け出した。
ようじょのもにかちゃんのイメージは、スト魔女のフランチェスカ・ルッキーニちゃんです。可愛いよね、みんな
まぁ、見渡す限りの世界があり、広がる限りの天使ちゃんがおるんですよ
以上、さよならさよならさよなら




