静かなる再会
「女だからって、何? ただでさえ人が少ないこの国の、小さな小さな空軍風情が、そんな贅沢言ってる場合?」
アルゲアス王国本土東部、アレッサンドロ海沿岸部の港湾都市。人口10万人ちょっとの中規模な都市で、アルゲアス王国の建国者・アルゲアダイ1世の治世の頃から造船業を都市ぐるみで営み始め、アルゲアス中興の祖・キュロス1世の治世の頃、軍船建造でかつてないほど繁栄した。その息子、大アルゲアス帝国の祖・アレッサンドロス大帝の治世で第一次黄金時代の絶頂期を迎え、その後数百年間にわたり栄華を極めたが、帝国の解体と共に衰退期に入り、現在は年に数隻造るか造らないか程度になっている。
レシプロ機黄金時代の現在では、飛行機製造業を営む業者も出始め、その機体の優秀さが評価され、徐々に規模を拡大しつつある。いずれは造船業を抜くのではないか、という声もあるほどである。
その町の港湾内に「シーア・ディ・コンデンサチオーネ (飛行機雲)」という、著名な飛行機乗りがよく訪れることで有名な、小さな水上ホテルがある。四十年ほど前、とある資産家が建てた別荘をそのまま使用したもので、一見して外部も内部無駄を省いたシンプルな、豪華さが微塵も感じられない造りであるが、それは住人の快適さを重視し、なおかつシンプルな美を追求した伝統的なアルゲアス様式を詰め込んだ結果であるため、客・評論家連中に評価され、「アルゲアス建築の粋」と称されている。
そして、このホテルの最大のセールスポイントは、他でもない、美しいアレッサンドロ海の眺めである。ホテルの全ての部屋からそれが拝めるため、この海の外見を愛する者にとっては、たまらないものであった。
そしてその一室に、一人煙草を吹かしながら連れを待つ、東方民族風の男がいた。
この男こそ、窓から見えるアレッサンドロ海の空の頂点に立つ男、賞金稼ぎのファルコ・ネーロその人である。今日は珍しく飛行服を着ておらず、黒い背広を着てめかし込んでいた。
何処と無く気の抜けた表情をしながら煙草を吹いていると、誰かが部屋の戸がノックした。
「ファルコ・ネーロ様、お連れ様をお連れ致しました」
年若いボーイの、まだ幼さが抜けきっていない声が響く。ファルコはそれに「応」とだけ返事した。ボーイはそれに従い戸を開けた。
「ありがとう」
戸の向こうから、コツコツと、上品なハイヒールの靴音が入って来て、どんどんファルコの元に近付いて来、そして彼から5歩分ほど離れた場所で止まった。
「表の桟橋に着けてあった赤い零観、アレまだ飛べたのね」
入室して来たのは、「絶世の美女」という言葉以外形容出来る言葉が無いような美女であった。美しい黒地のドレスが、ロマーナ系特有の小麦色の肌と妖艶なボディラインを引き立たせていた。
「ウチの専属のメカニックの腕が良い証拠だ」
ファルコは顔も視線も合わせずに、用意されていた葡萄酒の栓を抜き、グラスにそれを注ぎながら受け答えした。
「隼は? 壊したの?」
女はワザとらしい口調で訊ねながら、ファルコの向かいの席に座った。
「どっかの誰かさんトコの部下のせいで、エンジンがオシャカになっちまったもんでな。今アントンの所で修理してる」
「アナタを追い詰めるだなんて、その飛行機乗りも、その上司も、きっと優秀なんでしょうね」
「手前自身でよく言うぜ」
ファルコは初めて女の方を向いた。そして口角のみを上げて、微笑んだ。
「久しぶりだな。モニカ」
女も微笑み、返答した。
「えぇ、久しぶりね。コウドウ」
この女こそが、アルゲアスの英雄、モニカ・フェラーリン王立空軍中佐である。噂通りならば、超凄腕の撃墜王なのだろうが、その姿からは一切そのようなことは感じられず、むしろ、超一流の銀幕スタァと言った感じだった。
ファルコはすっと葡萄酒の入ったグラスを差し出した。モニカはそれを無言で受け取った。
「まぁ、とりあえず、再会を祝して」
ファルコはグラスを軽く掲げ、前に差し出した。モニカは微笑み、それに応じた。
「乾杯」
チンと、言葉の通り、グラス同士が打ち鳴らされる音が静かに響く。それはあまりにも官能的なゴングであることを、二人は理解していた。
新章突入ですはい
モニカの外見のイメージはね、モニカ・ベルッチっていう、半端ねぇ美人、この世にこんな美女居たのかってぐらい美女、整形? ってなぐらいの美人、股ぐらがいきり立つほどの美人であるイタリアの女優さんなんですねー
マジでぱねぇかんな、モニカ・ベルッチ
と、言うわけで、さてさて、ファルコとモニカの会話が始まります
この二人の関係は? ファルコの過去は? 何がなんだっての?
乞うご期待‼︎ お楽しみに〜




