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第10話 決意

翌日、食事を運んできてくれたエルフの女性に、お返事の件についてお話したいとこ言伝てを頼んだ。


「先日の話についてお話ししたいことがあります。」


「それで、貴方の答えは」


昨日と同じ部屋で、ラーズリーさんとスマラは並んで椅子に座って私の答えを待っている。


「オーキデンス帝国を倒します。ですが、無関係な人を殺すことはしません。」


「…それでは話しになりません。」


ラーズリーさんはため息を着いた。


「コトハには手を汚させはしない。敵は俺が全て倒す。」


「仲間に責任を押し付けるのは、契約違反ですよ」


ラーズリーさんの冷徹な瞳にすくんでしまったが、深呼吸をして口を開いた。


「…私は巫女です。巫女の力は人を恐怖に陥れるための者じゃない。反省を促し、救うために使うものです。個人の感情による殺人依頼なら尚更お受けできません。」


「なんと?」


ラーズリーさんの眉がピクリと動いた。不愉快だと空気から伝わってくる。


「私は死ぬまでここにいる愛するアルデルとルトゥースの誇れる巫女でありたい。そのために手を汚すことはできません。」


わがままな言い分に聞こえるだろう。

でも私達が復讐したい相手はラーズリーさんが求めている人達と少し違う。

私はアルデルを大切な人を、誰かに恨まれる悪人にする気はない。

正しき道を指し示すのが巫女の役目だ。

レニタスも昔、そう教えてくれたのだから。


長い沈黙が流れる。


「なるほど、今思い出しました。巫女は人の道を外れると女神の裁きを受けると伝承で言われていますものね。たしかに復讐を煽って巫女の力を失うのはやってはいけないことです。私が間違えておりました」


ラーズリーさんは椅子から立ち上がり、私達に頭を下げた。


女神様から悪いことすると巫女の力無くなるよとは聞いてたけど、裁きとか知らなかった。今まで人の道を外れていなかったから大丈夫だった??怖すぎる!


「…愛する愛する者のための覚悟、しかと感じました。貴方と契約いたしましょう。」


ラーズリーさんはスマラに一瞥すると、スマラは行けと言うように手を動かした。

ラーズリーさんは私に近づいて、両頬を美しい手でおさえる。

おでここつんしてやるポーズかな?と思った瞬間にラーズリーさんからキスをされた。


アルデルもかなり驚いている。

アルデルともこんな長いキスをしたことないってくらいに、長かった。

ラーズリーさんの口から甘いなにかが流れ込んで、胃に流れるのではなく全身に廻るような感じがする。

すごくくらくらして目が回りそうになったとき、ようやく唇が離された。


よろけた私をアルデルが支えてくれた。

呼吸も驚きで上手くできなかったから、顔が熱い。


「どうでしょうか、私の魔力は。深い肉体接触の方が効率よく大量に送れるのですが…、異変はありますか?」


呼吸を整えて自分の身体に意識を向けると確かに昔の自分の魔力量と同じくらいあると感じられ、熱っぽいが元気が沸き上がってくる。


「大丈夫です。ありがとうございました。」


「魔力をたくさん差し上げましたから、今日は森を守る力が足りません。代わりにお願いしてもよろしくて?」


ふわりと笑うラーズリーさんの顔は疲れが見える。

本当にたくさん魔力を渡してくれたのだろう。

もちろんと答えようとした時、ラーズリーさんの右太股が光り出し、守護騎士の紋章が表れた。


「えっ…信頼関係を築くにはであったばかりなのに。ていうか女性でも守護騎士になるんだ。」


不思議がっている私に、ラーズリーさんは私だけに聞こえるよう小さな声で話しかけてきた。


「…多分ですが、お互い世界一愛している男性がいて、愛情の深さをよく理解しあっているからでしょう。私達の男って、何故か上から目線で、からかうのが大好きで、嫉妬深くて、そのくせこちらからの愛情にたじろぐタイプでしょう?」


ラーズリーさんはいたずらっぽく笑っている。

なるほどツンデレ恋人仲間ってことか。納得した。

アルデルは最近はあまりツンデレしてないけどね。

旦那様とのやり取りを思い出してるのか、クスクスと笑っている。

笑顔も素敵だなぁと美女を堪能しようとしたら、ラーズリーさんのぷるぷるな唇を見て感触を思い出してしまった。

ラーズリーさんとのキスは、間近でいい匂いがして柔らかくて温かくて、胸にあたった豊満な胸の良さを感じてしまい、癖になりそうで怖いくらいだ。

同性でもメロメロになりそうだと、アルデルに申し訳ないと思った。


「それじゃ、私はこれから旦那様をお慰めしなければならないの。貴方も頑張ってね」


「?はい」


何か含みのある言い方に疑問をもったが、返事をしてお別れした。

ラーズリーさんと退出するスマラはすごく不機嫌な顔をしていた。了承していても、他の人間に妻の唇を奪われたらそりゃあたまったものじゃなく嫉妬するよね。

旦那に対しての扱いが上手な方だと感心する。


話し合いが終わり、私達は一旦借りている部屋へ戻った。

自分の足で歩けるのはとても嬉しい!


「はー、よかったぁ。エルフと対立とかにならなくてよ――んんっ!?」


言葉は最後まで紡げず、喉から出た音はアルデルの口の中に消えていった。

キスをされている。

長い。


とても長い。


ラーズリーさんとの魔力供給にアルデルも嫉妬していたのだ。彼女との記録以上キスをし続けようとしている。

しかし、次第に体勢がつらくなってきて私の方から離れようとすると、今度はぬるっと舌が入ってきた。


「?!?!?!?!?!」


初めてのフレンチキス。

アルデルの暴れまわる舌が上顎をなぞられるとぞくぞくした。

舌入れるってこんな感じなの?!とパニックになって、うまく呼吸ができず、アルデルの胸を叩くが止めてくれない。

息を吸うために口を大きく開いたら舌がもっと奥に入りこんでくる。

苦しくて涙がにじみ出てきた。

どんどん力が抜けて、ついに足がかくんとお折れた。

アルデルは倒れないよう腰を抱き上げて、支えている。


「っ、こんなんひゃ、もりのしけいび、でひないひゃん…!」


嫉妬でキスしたのは許そう。しかし、ラーズリーさんの約束を守ろうとしないのはだめだ。あの人は怒らせてはだめなタイプだからだ。

今の私は力が入らなくて、床に座り込むしかできなくなった。

歩けるようになったのに!!


「俺に任せておけばいい。ロビゴ!お前はコトハを守ってろ」


腰が抜けた私を見て満足そうにしている。

好き放題して!!とアルデルに舌を出すも、気にも止めず部屋から出ていった。

私はお昼ごはんを頂き、昼寝をして夜にアルデルと合流して警備に参加した。

朝日が上るまで何も起きなかったけれど、アルデルがことあるごとに私から舌を入れるキスをねだってきた。



「ラーズリーはまだ寝ている。俺だけで見送りすまないな。」


と言っているが、スマラは全然すまなさそうにしていない。

さっさと帰れの顔だ。

仕方がないかと思っていたら、先日と同じように後ろからチョップがスマラの頭に直撃する。


「起こしてくださいと言ったでしょうに。」


うわぁ、と声が出てしまった。

ラーズリーさんの首に、たくさんの紅い痕がたくさん見え、昨日の美しい正装とはうって変わって、緩やかな服装と寝起きも相まって色気がやばい。ムンムンと放出されている。

アルデルも目のやり場に困ったような顔をしている。


「お前なんて格好で…!!」


「起こしてくれないから時間がなくて準備もまともにできずに来たのですから、これは貴方のせいですよ。盟友の見送りは長の妻として、またコトハの守護騎士としての義務です。反省しなさい。」


と説教を始めた。

旦那様を慰めるっていうのはこういうことだったのか…。

濃厚な接触で、たくさんの魔力をスマラから貰ったのか、ラーズリーさんの魔力はスマラと混ざったがものに感じられる。

エルフの愛情表現が、魔力譲渡なのがよく理解できた。

マーキングだ、これ。

昔何度も守護騎士から魔力を貰っていたことが恥ずかしくなったのと、スマラから魔力を貰わなくてよかったと同時に思った。

スマラを言い負かしたラーズリーさんは、こちらに向き直り挨拶をしてくれた。


「コトハ、私は貴方の側にはいられませんが、ここをいつまでも守り続けています。いつでも尋ねてきて構いませんし、助けが必要なら貴女のために力を振るいましょう。それでは、またね」


優しい笑顔で手を振ってくれている。

私も振り返してエルフの森を後にした。


私達は魔力と新しい仲間を得ることができた。

ミッションクリアだ。

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