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第88話 献上の礼

悠揚で荘厳な角笛の音とともに、賓客たちはゆっくりと主宴会場へ足を踏み入れた。


主宴会場の天井はきわめて高く、数十もの巨大な水晶シャンデリアが空間全体を昼のように照らしていた。

大広間の中央には柔らかな深紅の絨毯が敷かれ、その両側に整然と並ぶ長い宴席の卓へ、賓客たちが次々と着席していく。


「城主閣下ならびに奥方様、ご到着です!」儀典官のよく通る声が、高い天井の下に響き渡った。


それまで低い声で語り合っていた賓客たちは、一瞬で静まり返った。すべての視線が宴会場の奥へ向けられる。


深い黒金の礼服をまとった中年の男が、ゆっくりと階段を下りてきた。背筋はまっすぐ伸び、彫りの深い顔立ちをしており、立ち居振る舞いの一つ一つに、長く上位にあった者の威厳が宿っている。この都市の最高統治者、城主その人だった。

そして城主の腕に手を添えているのは、華やかなイブニングドレスをまとった城主夫人だった。


城主は夫人を伴って高台へ上がり、立ち止まると、会場を一巡するように見渡してから、わずかに手を上げた。


「今宵はご多忙の中、参列いただき感謝する。」城主が口を開いた。その声は低く、よく通る。「先日の戒厳により、皆を不安にさせたことは承知している。今宵は、この都市に長く貢献してくれた皆への感謝に加え、この機に戒厳の真相を説明したい。」


城主の言葉が落ちた途端、会場で優雅にワイングラスを揺らしていた手が次々と強張った。数人の大商人は無意識に背筋を伸ばし、呼吸すら極端に抑える。先ほどまでにぎやかだった大広間は、今やシャンデリアが稼働するごくかすかな唸りだけが聞こえるほど静まり返っていた。


「終焉熵教と結託し、この都市を取り返しのつかない深淵へ引きずり込もうとした者がいる。」城主の口調は、肌寒さを覚えるほど冷ややかだった。

直後、彼は話の向きを変え、声を再び平静なものに戻した。「幸い、我々は事前に情報をつかみ、ただちに防護罩を起動した。ゆえに終焉熵教の侵入を防ぐことができた。我々の暮らしを破壊しようとした者たちも、すでに代償を払っている。関係した家門は現在、全面的な管理下に置かれた。どうか安心してほしい。この都市は依然として安全だ。」


その言葉は、静かな水面に落とされた重い爆弾のように、大きな波紋を巻き起こした。


城主は名指しこそしなかったが、この場にいる多くは世慣れた者たちだった。最近、かつての豪族のうちどこが突然粛清されたのか、誰もが知っている。各勢力の代表たちは目配せを交わし、表情はさまざまだった。驚く者、他人の不幸を喜ぶ者、何かを考え込む者。


「ぱち、ぱち、ぱち。」


唐突でせわしない拍手が、大広間に響いた。


人々が音のするほうを見ると、王立エーテル開発局の支局長が、興奮しきった顔で必死に拍手をしていた。しかも大げさに声を張り上げる。「まったくその通りでございます! 城主閣下は英明であらせられる! 終焉熵教の走狗どもが我らの都市を狙うなど、自ら死地へ飛び込むも同然! 閣下のご指導のもと、あのような道化どもなど恐るるに足りません!」


気位の高い貴族たちの少なからぬ者が、このおべっか使いに白い目を向けた。だが、それでも支局長に先導される形で次々と拍手を始め、ほどなく拍手は潮のように広がっていった。


城主の顔にあった威厳がわずかに和らぎ、余裕ある微笑みが浮かんだ。彼は夫人を伴い、優雅に席へ着く。


高台の儀典官はそれを見て、高らかに告げた。「尊きご来賓の皆様、本日は我らが偉大なる城主閣下のご生誕の日でございます。臣民の忠誠と敬意を示すべく、城主閣下は皆様の真心こもる献上品をお受けになるご用意が整っております!」


「王立エーテル開発局より、第七世代小型エーテル動力核を献上!」


儀典官の高らかな唱名に合わせ、エーテル開発局の支局長が満面の作り笑いを浮かべて前へ進み出た。彼は工業美に満ちた小型コアを持参しただけでなく、冗長で聞いているほうがむずがゆくなる祝辞と忠誠の言葉まで添え、この機を利用して開発局の絶対的な支持を城主へ示した。


下の貴族たちは声を潜めてささやき合った。「これは本当に大盤振る舞いだな。第七世代コアは、今もまだ独占封鎖期間中のはずだろう? 開発局は、とっておきの技術を出してきたわけだ。」

「まったくだ。あのコアなら、数日前の封城で使われた規格の防護罩を支えられるらしいぞ。」


続いて前に出たのは、サンクトゥス教廷だった。


「サンクトゥス教廷より、聖女自ら筆写された『聖序時祷書』を献上!」


儀仗騎士に守られ、聖女が人々の間を割って進み出た。

その銀色の瞳は静かで空ろなほど澄み、両手には純白の絹ビロードに覆われ、縁に繊細な金泥装飾が描かれた典籍を捧げている。宴会場の灯りの下で、それは温かく神聖な輝きを流していた。


「サンクトゥスのご加護が、この都市にありますように。」聖女は静かに祝辞を述べた。


今のきちんとした彼女は、昨日、口いっぱいにフライドポテトを詰め込んで頬を膨らませていたやつと比べると、もはや別人だな。聖女を見ながら、モーフェイは心の中でそう感嘆した。


「王立錬金術学院より、星琉紫心晶を献上!」


アルバート院長がゆっくりと前へ進み出て、精巧な水晶箱を取り出し、そっと開いた。


その瞬間、純粋で幻惑的な紫の光が流れ出し、頭上のエーテルシャンデリアの光さえ一時的に覆い隠した。

箱の中には、透き通るように澄んだ晶石が静かに横たわっていた。内部には星河が流れているかのようで、その外周には複雑な符文が刻まれたミスリルの輪が嵌められている。


アルバート院長は呵々と笑って言った。「学術上のささやかな成果です。城主閣下と奥方様に、ひと笑みいただければ幸いですな。」


会場全体に、抑えられた驚嘆の声が広がった。


「なんと、本当に星琉紫心晶なのか? あれは内部エネルギーが極めて狂暴だと聞くぞ。学院はそれを安定して抑え込み、しかも贈り物として出してきたというのか?」事情に詳しい商会代表の一人が、思わず息をのんだ。


「星琉紫心晶」という名を聞いた瞬間、モーフェイの瞳孔がぎゅっと縮んだ。

彼は確かに、黒鉄ブラザーフッドのためにあれを学院へ届けた。今思えば、バーニーはこれが城主へ渡すものだと言っていた気がする。


魔法会は学院のすぐ後に続き、魔力を封じ込めた封魔琥珀を献上した。王立錬金術学院に劣らぬ底力を示す品だった。


「黒鉄ブラザーフッドより、『黒鉄の誓約』防護腕甲を献上!」

儀典官の唱名が再び響いた。


ブランドは人々の注目を浴びながら大広間の通路を抜け、急がず遅れず高台の前まで歩いた。

彼は城主に膝礼をすることなく、そのまま階段を上がり、長方形の金属容器を、重すぎも軽すぎもしない音で献上品の卓へ置いた。


「兄弟会からの祝い品だ。」ブランドは低い声で言い終えると、そのまま踵を返した。


「ビズネス商会より、『落日の商路』経営権ならびに縮小砂盤を献上!」


ソリドゥスはいつもの穏やかな笑みを浮かべ、巨大な戦略的利益を宿した重い贈り物を差し出した。城主は満足げにうなずく。


下ではたちまち、抑えきれないざわめきが起こった。いくつかの大商会の代表など、その場で顔色を変えていた。

「なんと……『落日の商路』だと? つい先日、国王が西部開拓の再開を外へ宣言したばかりではないか。ソリドゥスという老狐、まさかあの道の特許経営権を握っていたとは!」

「自分一人では食いきれないから、城主の手を借りて開拓するつもりか!」


ドゥカは父のすぐ後ろに続いていた。高台を下り、モーフェイのそばを通り過ぎるとき、彼はわざと足を止めた。


「見たか? これこそ上流社会の格というものだ。」ドゥカは周囲の数人にだけ聞こえる音量で、喉の奥からごく軽い嘲笑を漏らした。「父に取り入るために、とっておきはもう使い果たしたんだろう? 次はみすぼらしい露店のガラクタなど持ち出して恥をさらすなよ。無意味に僕の妹の顔に泥を塗るだけだ。」


ドゥカの棘を含んだ嘲りを前に、フローラの顔色は一瞬で沈んだ。


しかし、モーフェイはドゥカの言葉など聞こえていないかのようだった。彼はドゥカを一瞥すらせず、ただ軽く襟元を整えただけだった。


「次の方、」儀典官の視線がモーフェイたちのほうへ向けられる。「ニコラスの伝人、モーフェイ殿。前へ進み出て、献上品をお納めください!」


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