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第64話 異霧で旧知に会う

モーフェイたち一行は、不意に別の隊と正面から鉢合わせした。双方は林の空き地で急停止し、ほとんど同時に手の武器を構えた。


それは、装備も鎧もぼろぼろになった騎士小隊だった。彼らが誇る白地に金紋の鎧は、今や灰黒い汚れにまみれている。

騎士たちは荒い息を吐き、目にはまだ消えきらない恐怖が残っていた。だがモーフェイの手にあるランタンを見た瞬間、その恐怖は警戒を帯びた敵意へと変わる。

ランタンの不気味な光に照らされ、濃霧の奥から無傷で歩いてきたこの一行は、まるでこの灰霧の天災を引き起こした異端者のように見えた。


前列の騎士が歯を食いしばり、円盾を前に掲げ、長剣を抜き放って、行く手を完全に塞いだ。


ロックは眉を上げ、指先では微かな雷の火花がちらちらと跳ねる。カミラに至ってはそのまま重心を落とし、手首をわずかに返しただけで、腰の魔導銃を掌に収めていた。


まさに一触即発の危機。その瞬間、後方から突然、大きな音が響いた。


ドン!


アーダイの身につけていた小型蓄エネルギー缶が突然爆発した。

気浪が巻き起こり、この錬金術師は悲鳴を上げながら、ボウリングの球のように吹き飛ばされる。


彼は地面をみっともなく三、四回転がり、大量の灰土を巻き上げた末、騎士団の陣列の真正面へぴたりと転がり込んだ。


頭から灰土をかぶったアーダイは顔を上げ、口の中の草の根を吐き出し、殺気立った騎士たちに向かって気まずそうに口元を引きつらせた。


そのとき、後方の馬車の幕がめくられた。

質素で清潔な長衣をまとった少女が、護衛に支えられながら踏み台を踏んで降りてくる。


モーフェイが錬金術師ギルドで出会った聖女だった。


彼女の視線は地面に伏せたアーダイをかすめ、表情がわずかに止まる。やがて、静かに口を開いた。「まさかここでお会いするとは思いませんでした。『神に弄ばれし者』よ」


その呼び名を聞いた瞬間、まだ土を払っていたアーダイの動きがびくりと固まった。彼は気まずそうに髪をかき、乾いた笑いを二つ漏らす。

「はは、また会いましたね、聖女様」


聖女はそれ以上多くを語らず、すぐに視線をもう一方、ランタンを手にした人物へ向けた。その身がわずかに止まる。

「あなたでしたか」聖女が再び声を発した。その声には隠しきれない驚きが一筋混じっている。続いて彼女は騎士長へ向き直り、軽くうなずいた。


騎士長は千斤の重荷を下ろしたかのように大きく息を吐き、それから武器を収めるよう命じた。


抜き身の緊張は、一瞬で氷解した。


しかし、双方が近づいて話そうとしたとき、言いようのない鼻を突く悪臭が風に乗って漂ってきた。

聖女は思わずわずかに眉を寄せた。さりげなく袖で口元を覆い、声には隠しきれない嫌悪がにじむ。「どうして皆さん、そんなに臭いのですか?」


モーフェイたちは気まずげに顔を見合わせ、拒絶ランタンを消した。


ランタンが消えると、臭いは風に散った。だが灰霧もまた押し寄せ始める。

双方は急いで現状の確認を始めた。


教団はもともと巡礼の道中で野営していたが、灰霧の襲来に遭ったのだという。

聖女を守り、被害を減らすため、彼らは予定の経路を捨て、この林区へ緊急に退避して身を隠すしかなかった。そこでモーフェイたちと正面からぶつかったのだ。


騎士長が提案した。「誤解が解けた以上、今の環境も異常に危険です。ここは合流し、北へ向かって街へ撤退してはいかがでしょうか?」

ヴァルクが答える。「構わない。人手は多いほうがいい。ただ、街は今戒厳中だ。入れるのはおそらく朝になってからだろう」

「戒厳? 何があったのです?」騎士長は驚いた。

ヴァルクと騎士長はすぐに低い声で話し合い始めた。二つの隊も負傷者と物資を整えながら、この灰霧と街の動乱に関する情報を交換していく。


灰霧はいつの間にかますます濃くなり、この小さな空き地をすでに呑み込んでいた。

視界は急速に縮まり、灰霧がもたらす不快感もそれに続いて迫ってくる。


聖女が秩序場を張るべきか考えた、そのとき。彼女は周囲の霧の異常な変化を鋭く察知した。


そのころ、モーフェイはシステムパネルを見つめていた。システムはまたしても楽しいがぶ飲みタイムを始めている。


【高濃度環境エントロピーを検出。受動吸収効率が上昇。】

【EP +0.1】

【EP +0.2】

【EP +0.3】

……


楽しげなシステム表示とともに、もともと実体のように濃密だった灰霧が、なんと薄くなり始めた。視界の景色は、ぼやけたり鮮明になったりを繰り返す。


彼女はモーフェイを見た。その瞳に、ひと筋の納得がよぎる。

前回、工房で起きた異象は、やはりこの謎めいた配達員と無関係ではなかった。


一同がともに北上すると決めた、そのとき。遠くから届いた音が、その場にいる全員の心臓を一瞬止めた。


最初は大地の奥から響く鈍い震動だった。何か重いものが地殻を引きずりながら進んでいるかのようだ。

続いて、極度の吐き気を催す肉塊の摩擦音がした。無数のぬめる内臓が互いに押し潰され、揉み合っているような、粘ついて巨大な音だった。


一同が音のほうを見ると、薄い霧の向こうに姿を現したのは、生きた丘陵のような肉の山だった。


小山ほどもある巨大な胴体は、蒼白い肉塊が幾重にも積み重なってできていた。肉塊の表面には時おり裂け目が走り、そこから高密度の死灰色の靄を狂ったように噴き出している。


さらに背筋を凍らせるのは、その下半身だった。

皮膚に包まれず、筋肉が剥き出しになった反り返る節足が、数十本も地面を掻きむしっている。その節足は死神の鎌のように、道中の木々や逃げ遅れた生物を次々と刈り取り、呑み込んでいった。


生物の常識に背くその集合体を見つめているだけで、一同は強烈なめまいと吐き気を覚えた。脳の中へ何かが入り込み、かき回しているかのようで、目の前の視覚衝撃を処理しきれない。


突然、その巨大な肉塊が蠢きの途中でぴたりと止まった。


肉体の表面が激しく裏返り始める。吐き気を催す粘液の裂ける音とともに、濁った巨大な死んだ魚のような目が、肉の山から数十個も押し出されてきた。どの眼球も不規則に狂ったように回転し、やがて一斉に止まり、冷たい悪意を帯びて前方を凝視する。


その視線の先にあるのは、一行のいる場所だった。


かすれ、空気の漏れるような異様な声が、重苦しい空気の中に幽々と響いた。

「ククク、今回は入城がお流れかと思っていたが、まさかこんなところで聖女に会えるとはな」


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