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第58話 合成獣の群れ

「お前たち、よくも私の傑作を壊してくれたな!」


冷たい声がホールに響き渡った。

一同がはっと振り返ると、ホールの奥の影から、一つの人影がゆっくりと歩み出てきた。

それはゆったりとした濃紺のローブをまとった男だった。彼の視線はロックを越え、床一面に散らばった焦げ黒いキメラムカデの残骸を睨みつけている。その目に悲しみはなく、歪んだ灼熱だけがあった。


続いて相手の視線はモーフェイへ移った。正確には、彼が手の中で必死に握りしめている古曜原晶へ落ちた。

「それは私の代わりのない実験核だ……お前たち野良犬どもは、自分たちが何を奪ったのかも分かっていない!」


男は大きな袖を勢いよく振り、歪んだ晶脈が凝り固まったような杖を掲げた。

ホールの四方で、死んだように沈黙していた晶脈が、不穏な共鳴を発し始める。

続いて、背筋が寒くなるような骨のこすれる音が、ホールの縁の暗がりや崩れた石の隙間から響いてきた。


一体、十体、百体……

大量の異形の生物が闇の中から湧き出してきた。それは地下城深層の魔物の残骸を、粗雑な手口で無理やり縫い合わせた「欠陥合成獣」だった。

それらはキメラムカデほど巨大な体を持ってはいなかったが、数が多すぎて背筋が粟立つ。まるで潮のように一同へ押し寄せてきた。


プロトタイプ1号の体が激しく震えた。歪んだ悪臭を放つ合成獣たちを、まるで闇料理でも見るように嫌悪している。

それはためらうことなくモーフェイの配達箱へ逃げ込み、蓋をがっちり押さえて出てこようとしなかった。


「くそっ! 数が多すぎる!」ヴァルクが低く吠え、手の短刃を残影が出るほど振るい、迫ってきた二体の合成獣を切り裂いた。だがすぐにさらに多くの怪物がその隙間を埋める。

彼は素早く周囲を見回した。「ホールのさっきの出入口は完全に塞がれている。退路はない! 散るな、防衛線を組んで死守しろ!」


ロックは歯を食いしばって杖を振るい、雷が狂蛇のように怪物の群れの中で炸裂した。

「長くは持たない!」彼は必死に反撃し、密集した怪物の海の中に突破口を探そうとしたが、周囲がすでに怪物に厳重に塞がれていることを認めるしかなかった。


「これは契約範囲外よ! 危険手当を三百パーセント上乗せするからね!」カミラが悲鳴を上げた。彼女はいまだに白いストッキングと短いスカートの少女姿のままだった。

幼い体つきと、手にした杖から放たれる巨大な破壊力が強烈な対比を成している。杖を振るうたびに怪物の群れの中へ空白地帯が吹き飛ばされるが、彼女の活動範囲はどんどん狭められ、立ち回りも苦しくなっていた。


モーフェイは防衛線の最も内側へ下がり、額には冷や汗が浮かんでいた。

彼は周囲を見回し、あの男のローブに目を留めた。相手の胸元には、見覚えのある徽章がある。

モーフェイの心臓が大きく跳ねた。

あれは「魔法会」の徽章だ! なぜ魔法会の人間が地下城の奥深くに潜み、こんな吐き気のする生物縫合実験をしているんだ?


その違和感を深く考える時間はなかった。彼の注意は、男が手にした水晶付きの杖へ引き寄せられる。

全知の視界の下で、その杖の上に【合成獣制御器】という数文字が浮かび上がった。


合成獣の数はなおも増え続け、波が次々と押し寄せるように迫ってくる。一同の攻撃にもわずかな隙が生まれ始めていた。

退路はない。普通の手段では到底突破できない。

モーフェイは歯を食いしばった。もう、理不尽な一手に賭けるしかない。


彼は地面に落ちていたキメラムカデの焦げ黒い骨片を数個つかみ、ついでにぬめる粘液を滲ませた合成獣の残骸をすくい上げ、手近な廃晶とまとめて投入口へ放り込んだ。


【投入素材を検出:「キメラムカデの焦骨」「合成獣組織の残骸」「混合晶鉱廃材」。】

【解析完了。三つの錬成経路を観測:】


1. 【安全】「かゆかゆ灰」(消費 8 EP):かすかな粘着性を持つ焦げ黒い骨粉。対象表面に付着すると、軽い汚損と少しのかゆみを引き起こす。

2. 【フラックス】「粘縛索鞭」(消費 33 EP):高強度の粘液で編まれ、対象に触れると即座に粘着固定する。使用者が引っ張って操作できる。

3. 【カオス】「汚濁混乱泥」(消費 85 EP):塗りつけた物体を汚染し、別の汚濁混乱泥へ転化させる。


安全モードは相変わらず頼りにならない。今のEPならカオスモードにも届くが、そっちはさらに危険そうだ。

モーフェイは男に視線を固定した。やっぱり、敵の頭を押さえるしかない!


【宿主は選択肢2を選択。】

【33 EPを支払い、錬成開始!】


モーフェイの目の前で、不安定に揺らめく橙赤色の火花が弾けた。空気にはむせるような焦げ苦い臭いが広がり、静電気がぱちぱちと鳴る。

そばにいたロックは、反射的に半歩身を引いた。


【錬成完了!】

【「粘縛索鞭」(通常級)を獲得しました。】

【物品効果:対象に触れると即座に付着し、引っ張って操作できます。】

【備考:成分は高温で燃えやすいため、火炎環境での使用は避けてください。】


それは表面から粘ついた緑色の液体を滲ませる索鞭だった。手に握るとぬるりとして鼻を刺すが、ずしりと異様な重みがある。


「援護しろ!」モーフェイが大声で叫んだ。

カミラは歯を食いしばり、杖の先端から強烈な一撃を放った。ピンク色の光が、前方の狭い扇状の範囲を一瞬で空白にする。


モーフェイはその短い空白へ飛び込み、全力で腕を振って、索鞭をホールの奥にいる濃紺の人影へ投げつけた。

索鞭は空中に弧を描き、粘つく液体の糸を飛ばしながら、杖を掲げる男の腕へ正確に絡みつく。ぱしん、という音とともに、ぴたりと貼りついた。


「何──」


モーフェイは相手に反応する時間を与えなかった。両手で鞭を握りしめ、自分のほうへ一気に引く。

男の重心が前へ大きく崩れ、よろめきながら二歩ほど引きずり出された。手の杖はすっぽ抜け、石床の上を数回転がって、一同の足元で止まる。


ロックの反応が最も早かった。彼は杖を片足で踏みつける。

カミラは自分の足元に何かが落ちてきたことに気づき、ついでのように拾い上げた。


ホールが急に沈黙した。

密集していた合成獣たちは、ぜんまいを抜かれた玩具のように、その場で一斉に動きを止めた。空洞の眼窩に宿っていた赤い光が薄れていく。


「お、お前たち……!」

男は地面に尻もちをつき、荒い息を吐いた。視線が杖と周囲で硬直する合成獣たちの間を行き来し、顔に浮かんでいた激怒は、次第に別の歪んだ表情へ変わっていく。


「さて、」

ヴァルクとロックが息の合った動きで前へ詰め、男を中央に閉じ込めた。

モーフェイは最前に立ち、彼を見下ろして言った。「魔法会の人間が、どうして地下城で死体を縫い合わせていたのか、話してもらおうか?」


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