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第48話 スリックハンド

「前へ。二つ目の交差路を越えたら右だ。止まった──いや、まだ動いている。速度が落ちている」

符文から流れてくるヴァルクの指示を聞きながら、モーフェイは曲がりくねった路地を全力で駆け抜けた。


ヴァルクと彼の瓶中の幻獣は、どこかに潜んで周囲を走査し、500金貨がまとまった巨大な反応を追跡している。そして地上では、モーフェイが放たれた矢のように、獲物の軌跡に食らいついていた。


彼らが急速に距離を詰めるのと同時に、獲物も異変に気づいた。

ジミーがばらまいた噂は、野次馬根性の目を無数に引きずり出しただけではない。重い槌のように、『スリックハンド』の張り詰めた神経を叩きつけた。

金庫の定錨陣は作動している。この盗人は本来、どこかで定錨効果が消えるのを待ってから受け渡しに向かうつもりだった。だが今、彼はどんどん重くなる金貨の袋を担ぎ、進退窮まる二択に追い込まれている。遠くへ逃げれば、盗品はますます動かしづらくなる。そこに留まれば、いつ各方面の人間に塞がれてもおかしくない。


モーフェイの視界の先に、巨大な建物の影が現れた。南東の廃倉庫バラック区だ。


ここはかつて大口貨物の集散地だった。今では肉眼でもはっきり二層に分かれている。下層は昔の商会が残したレンガと石造りの倉庫で、今は板とトタンで密集した区画に仕切られ、視界の極端に短い平面迷宮と化していた。上層は貧民たちが屋根と壁の隙間に、木の橋と縄梯子を重ねて積み上げた違法バラック群で、今にも崩れそうな立体迷宮だった。


「入った」ヴァルクの声にわずかな重さが混じった。「この忌々しい場所は廃金属だらけだ。私の感知が強く妨害されている。大まかな方角しか渡せない」


精密なナビゲーションが大まかな方角へ退化し、モーフェイの胸の圧力が一気に跳ね上がった。ヴィクトルの足止めは残り2時間を切っている。迷宮でかくれんぼをしている時間はない。


彼は薄暗い倉庫の下層へ飛び込み、すぐに重い黴の臭いと錆びた金属の匂いに包まれた。放置された棚、傾いた鉄扉、折れた配管が巨大な視覚の死角を作っている。彼は速度を落とし、かすかな光を頼りに手探りで進むしかなかった。


モーフェイが廃鉄の積まれた角を通り過ぎたその時、貨物伝票を数えている女と鉢合わせた。


「モーフェイ? こんな場所で何を走り回ってるんだい?」マグダが片眉を上げた。


モーフェイは、自分の500金貨が盗まれ、今その相手を追っている状況を手短に説明した。


マグダは一秒固まり、あらためて彼を上から下まで見直した。納得と信じがたさの間のような口調で言う。「つまり、あの忌々しい掘り出し物師ってのは、あんただったのかい?」


モーフェイが弁解するより早く、彼女は巨大な金属ゴミ捨て場のような倉庫区を見回した。「あんたが倒れたら、今後あたしの重荷物の仕事が面倒になるからね。ついてきな。この辺りは詳しい」


ヴァルクの遠隔からの粗い感知に、マグダという生きた地図が加わると、状況は一瞬で質を変えた。

マグダの案内で、モーフェイは隠れた破れ穴や、標識のない細い隙間通路をいくつも抜けていく。

ついに、薄暗い倉庫の奥で、モーフェイはその背中を見つけた。


それは中肉中背の男だったが、足取りは異様に重い。肩には麻袋を引きずっている。もともと500金貨が入っていたその袋は、定錨陣の影響で、今や成人半人分ほどの重さになっていた。


スリックハンドも背後の気配に気づいた。

彼は振り返って戦うことを選ばず、急に方向を変えた。錆びついた鉄階段を踏み、手足を使って上層のバラック区へよじ登る。

絶えず重くなる呪いを担いでいるにもかかわらず、その一つ一つの登攀動作はなおも安定して鮮やかだった。


追跡戦は下層倉庫から、空中に浮かぶバラック区へ一気に高度を上げた。


スリックハンドは上層バラックに詳しくはなかった。それでも身軽で、ずっしりした荷物を抱えながら、不揃いな屋根の間を素早く跳び移っていく。

道中のぐらつく木柱には、塗装の剥げた火のように赤い防火砂バケツがあちこち無造作に打ちつけられていた。極度に燃えやすい違法建築群の中で、それはやけに目立っていた。


モーフェイも道を知らない。だが、知る必要はなかった。

「左の木橋はとっくに落ちてるよ! 右へ行って、あの大きな給水塔を回り込め!」下からマグダの腹に響く怒鳴り声が飛んできた。


モーフェイは迷わず指示に従い、行き止まりを正確に避けながら、少しずつスリックハンドとの距離を詰めていく。


腰の符文が再び震えた。ヴァルクから最新の状況が届く。「相手は減速している。もう長くはもたない」

案の定、袋の重さがスリックハンドの体力を容赦なく削っていた。彼の動きは目に見えて鈍くなっていく。


上層のとある壊れた橋で、二人の追跡は終局を迎えた。


スリックハンドは橋の切れ目を跳び越えようとした。だが、あの忌々しい麻袋が踏み切った瞬間に彼を強く引きずった。彼はバランスを崩し、向こう岸の縁をつかめないまま、糸の切れた凧のように下方のがらくたで埋まった小さな足場の端へ叩きつけられた。どうにか身を翻して上がった時には、すでにひどく狼狽していた。

彼は数平方メートルにも満たない露台にへたり込んだ。背後には半ば崩れたがらくたの山。露台の下には数階分の空洞が口を開け、その底には廃棄機械の鋭い残骸が積み重なっている。

彼は完全に、進むことも退くこともできない境地へ追い込まれていた。


モーフェイは切れ目の縁で急停止し、閉じ込められたスリックハンドを上から見下ろした。二人は上と下、数メートルの落差を挟んで対峙する。

彼は露台までの距離を一瞥し、深く息を吸って、肩の力を抜いた。


スリックハンドは荒い息を吐きながら顔を上げ、モーフェイを見た。口元には苦い笑みが少し浮かんでいる。「あんたの金庫、高かっただろ」

モーフェイは取り合わなかった。「誰に雇われた」

スリックハンドも直接は答えない。短い沈黙のあと、一言だけ残した。「あの公子様にどうして目をつけられたのか、本当に分からないな」


言い終えた瞬間、スリックハンドは勢いよく手を振った。細かな水霧が掌から飛び出し、モーフェイへ向かってくる。


水霧は素早く広がり、木の足場を一瞬で油じみた光沢に染めた。

モーフェイはすぐに、足元に奇妙な浮遊感を覚えた。油を塗った石鹸を踏んだように、何の前触れもなく滑り始める。


「くそっ、こいつ屋根の上にスケートリンクを作りやがったのか?」


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