第32話 約束の掘り出し物はどこ?
「あいつか?あの日、廃材袋を蹴っただけで、純度九割の星殞鉄が出てきたらしいぞ!」
「エーテルの流れを見透かす神の眼を持ってるって聞いた。クラウじいさんさえも言いなりにしたとか……」
闇市の空気は、露天商のひとりが「掘り出し物師登場!」と声を張った瞬間、完全に崩壊した。
モーフェイが石段を踏み下りるや否や、黒々とした人の波が押し寄せてきた。数十双の目が、狂熱と強欲をにじませながら彼に釘付けになっている。この光景はまるで邪教の説教集会に迷い込んだようで、「何を見ているかはわからないが、師匠が見ているものは絶対に宝だ」という歪んだ論理が人群れのなかで猛烈に広がっていた。
なんとか平静を保ちながら、モーフェイは無造作に最寄りの露台から一つの廃銅炉脚を拾い上げた。錆だらけで、正体不明のぬめりまでついている。
【損傷した銅部品。価値なし】
「師匠!なんという鑑定眼!」露台の主人の顔がほころんで古菊の花のようになり、その皺の一本一本にまで打算が滲んでいた。声はアーチ天井の下で異様な大きさに響いた。「これは苦労に苦労を重ねて手に入れた先祖伝来の宝でして、師匠とはご縁があると見ました。50金貨、これ以上は負けられません!」
モーフェイは無表情に炉脚を元の場所へ戻した。
安い基底金属を買いに来ただけのつもりだったのに、二秒後、荷袋を背負った投機家が群衆から飛び出し、充血した目で60枚の金貨を叩きつけ、廃銅をひったくって踵を返した。まるで伝説の賢者の石の欠片を手に入れたかのように。
「……」モーフェイはその背中を眺め、口の端をかすかに引きつらせた。
『掘り出し物師』という名号が、これ以上ないほど皮肉な形で彼を急速に破産させつつあった。
少しでも目を向けたゴミが瞬く間に高値をつけられ、今日は錆びた釘一本すら買えない。さらに悪いことに、背後の群衆は整然と彼の後をついてきており、まるで脚が生えて息をする煉瓦の壁のようだった。
この狂人院から逃げるべきか考え始めたころ、ぼろぼろのコートを着たジミーがどじょうのように人混みから滑り出てきた。
油汚れだらけの多ポケットコートを大きく広げ、狭い空間を力ずくでこじ開けると、周囲の群衆に向かって声を張り上げた。
「あっちいけ、あっちいけ!目が腐ってるのか?師匠は今日『指定の大口注文』を片付けに来たんだ!そのポンコツどもを師匠の前でちらつかせるな、師匠の目が汚れる。散れ!全員散れ!師匠が不機嫌になったら、この区域の運を丸ごと断ち切るぞ。その損失、誰が払えるんだ?」
玄妙きわまるでたらめが、なぜか効いた。群衆が迷っているうちに、ジミーはモーフェイの袖を掴んで細い路地に飛び込み、七曲がり八曲がりして誰もついてきていないと確かめてから、赤煉瓦の壁にもたれて深く息をついた。
大佬はさっきあの廃銅を一秒見つめていた。あの目つきは完全に殺気漂う嘲笑だった!下城区のあの連中め、もう少しで師匠の機嫌を損ねるところだった。俺の反応が早くてよかった。もし本当に師匠が怒っていたら、連中は全員石材に錬成されて護城河に沈んで基礎になっていたはずだ……
「今日はジミーに何かご用でしょうか?」ジミーはへつらいの笑みを浮かべたが、手のひらはまだ冷や汗でじっとりしていた。
「重壌を探している。地脈髄土でも構わない。」
ジミーの笑顔が固まった。
「……重壌?あの……万物の礎と呼ばれ、どんな激しい震波すら瞬時に鎮める、あの重壌ですか?」
「そうだ。」
ジミーの胸のなかの最後の一縷の望みが完全に砕けた。
王立エーテル開発局さえ厳格に管理しなければならない素材だ。大佬がこれを求めるとなれば、禁忌の領域に踏み込みかねない危険なものを錬成しようとしているのだろう。
「気難しい老人がいる。だが、あいつなら在庫がある。」ジミーの目に一瞬の畏敬が光り、足は既に速く動いていた。「こちらへどうぞ。」
──
こぶ爺の店は市集の最奥、行き止まりの路地の突き当たりに隠れていた。壁一面がねじれた太い蔓に覆われており、案内なしでは枯れた藪としか思えない。モーフェイが扉を押し開けると、腐葉土に浸け込んだ薬草が発酵した粘ついた臭気が顔に押し寄せてきた。濃厚すぎて、息が詰まりそうだ。
店内は極めて薄暗く、粗末な植物油のランプ一本で辛うじて保っている。矮小で枯れ細った老人が隅に座り、首の後ろから大げさな褐色の木こぶが隆起していた。まるでその骨格に寄生しているかのようだ。長い指の爪で乾いた樹皮を削りながら、頭を一切上げようとしない。
「『掘り出し物師』だと?名声というものは、しっかりした草薬学の前では肥料にもならん。」こぶ爺の声は乾いて掠れており、粗い砂石が古い銅管を引っかいているようだった。
モーフェイはこの牽制に一切反応せず、静かな視線を相手の背後の蔓に向けた。「重壌。在庫があると聞いた。」
こぶ爺の爪が止まった。
ゆっくりと顔を上げ、毒蛇のような冷たい目で審定した。「ある。だが、名ばかりで小賢しく立ち回るだけの者には売らん。」
古びた木の盆を無造作に卓の中央へ押し出した。盆には灰白の枯れ草が山盛りになっており、一本一本が干からびて萎れ、形まで驚くほど揃っている。
「その中に、『灰燼の茅』に擬態した『幻影蛇の蔓』の休眠体が一本混じっている。外見、匂い、かすかなエーテル律動まで、すべて完全に模倣している。一分以内に見つけろ。間違えたら、俺の店から出て行け。」
隣で見ていたジミーは口の中が干上がっていった。『幻影蛇の蔓』の擬態は草薬界の悪夢で、専門の鑑定師が虫眼鏡で半日かけても見分けられないことがある。一分間、これは事実上の追い出し命令だ。
モーフェイは木盆の前に立ったまま、腰を曲げることすらせず、全知の視界をそっと広げた。
【枯れた灰燼の茅】【枯れた灰燼の茅】……情報が川の流れのように広がり、盆の縁の隅——二本の重なった枯れ草に押さえられた影の部分——に、一つだけ異なる情報が浮かび上がった:
【休眠中の幻影蛇の蔓(擬態中)】
砂時計の砂がほとんど落ちないうちに、モーフェイは草束の隅からその一本を摘み上げ、卓上に放った。
「師部繊維が逆方向に捻じれている。こんな粗雑な擬態で人を試そうとするのか?学院の一年生に教材として渡しても簡単すぎると言われるぞ。」モーフェイの口調は静かな水面のようだったが、こぶ爺の老いた顔に見えない平手打ちを一発食らわせたも同然だった。
こぶ爺の瞳孔がぐっと収縮し、卓に落ちて少し伸びかけてからまた休眠態に戻った蔓を見つめ、十秒の沈黙が続いた。
さっきまでの嘲弄的な顔つきが、この瞬間に完全に崩れ落ちた。
ジミーは扉枠にもたれ、頭が一瞬空白になった。
三秒だ!大佬の視線が走り終えた瞬間、答えはもうそこにあった。あの余裕の仕草は、市場で野菜を選ぶのと何も変わらない!
「……私の見る目がなかった。」こぶ爺が濁った息をひとつ吐き出した。声から冷淡さが薄れ、ほとんど卑屈とも言える期待が滲み出した。「持っていく資格はある。だが今は金貨はいらない。」
それ以上は何も言わず、振り返って店の奥へ歩き、隠し扉を押し開けた。
扉の隙間から、モーフェイは灰紫色の肌で、口角に亀裂の走った、深い眠りに落ちた正体不明の生物を一瞬見た。
こぶ爺は再び隠し扉を押し閉め、卓へ戻ると、両手で拳大の密封陶製の壺を持ち出して卓上に置いた。
ドン!
不釣り合いに重い鈍い音。
こぶ爺の声は低く沈んでいた。「薬材が一つ必要だ:マンドレイクの根。今日掘り出したばかりで、原始の活性を保った新鮮な生体でなければならない。」
その目がモーフェイの顔に死ぬほど釘付けになった。「持って帰ってくれれば、この壺の重壌はお前のものだ。」




