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第107話 患者に輝ける自救の舞台を

墨飛は呆然と、【伝説への道・錬金術師】の任務内容を見つめていた。


【伝説への道・錬金術師 任務一:基本功】

【目標:

金元素精製 1000回

水元素精製 1000回

木元素精製 1000回

火元素精製 1000回

土元素精製 1000回】

【報酬:EP +100、全知の視界 アップグレード】


「こ、これ何の鬼畜任務だよ? 基礎練習って、そういう練習じゃないだろ?」


【伝説となるには、まずその心を苦しめ、その筋骨を労し……】


「止め止め止め! 今どき好き好んで苦労を食うなよ。伝説なんて、なりたい奴がなればいい」


墨飛は続けて、ほか二つの伝説への道の任務も見た。どちらも同じくらい理不尽だった。

「……俺、伝説には向いてないみたいだな」


墨飛は黙って伝説への道のインターフェースを閉じ、今後は一般任務だけをやると心に決めた。


彼が立ち上がり、先に鉄インゴット錬成の任務を片づけようとしたところで、机の上の木製符文が目に入った。


「危ない、忘れるところだった。リリィに伝えないと」


通信はすぐにつながった。フローラが了承したと知ると、通信の向こうのリリィのかすかな息遣いに、隠しきれない喜びが滲んだ。


「よかったです」彼女は小さな声で言った。「では、いつ伺えばいいでしょうか?」

「明日の朝、工房に来てくれ」墨飛は笑って言った。

「はい。明日の朝一番に伺います」


通信が切れ、符文の淡い光が消えた。


墨飛は符文をしまいながら呟いた。「無料労働力を拾えて超気持ちいい。いや、これは患者に輝ける自救の舞台を提供しているんだ」


……


【「鉄インゴット」の錬成に成功。熟練度+2。現在の熟練度:60/100。】

【項目「鉄インゴット」の熟練度が60%に到達。項目は「マスター」級熟練に達しました。】

【報酬:60 EP。】

【備考:おめでとうございます。あなたは今や立派なマスター級手作業労働者です。その精密な力加減で、これからも安価な鉄インゴットを情け容赦なく量産してください。】


鉄インゴットの錬成は、墨飛にとってすでに慣れたものだった。任務はさほど時間もかからず完了した。


【チン──おめでとうございます。宿主は一般任務:習うより慣れろを完了しました。】

【今回の任務評価:A級。】

【獲得報酬:ショップ5EPクーポン x 1。】


「よし! どれどれ……なるほど、このクーポンはシステム内に記録されるのか。電子チケットみたいに実物はない、と。これはいいな。今はEPも七十以上あるし、先にショップで何か交換してみるか?」


墨飛はショップをスクロールし始めた。「……あの錬成エフェクトとかいうのはいいや。さっき任務で一つもらったし。今なら『謎の素材箱(小)』と『初級収納空間』が買える……いや、いきなりEPを使い切るのは危険すぎる。緊急時に混沌錬成できるよう、EPは少し残しておかないと」


彼は「感情変換モジュール」までスクロールし、目を輝かせた。「これはいいな。受動収入が得られる。ただ、この値段は……ひとまず目標にしておくか。任務を多めにこなして、早めに交換できるか見てみよう」


墨飛が再び任務インターフェースを開くと、一般任務はすでに更新されていた。


【一般任務:下城区のぬくもり】

【目標:野良猫に餌をやる 1回】

【報酬:1 EP】


「野良猫に餌をやるのも任務なのか? 錬金と何の関係があるんだ?」


【野良の生物もまた自然循環の節点です。生命の維持と日常的な相互作用も、生命錬金を探究する研究範疇に属します。】


「はいはい、お前の言う通りだよ」墨飛は白目をむいた。


彼は、バーニーがこっそり餌をやっている子猫たちと、あの屈強な体で小魚の皿を持つバーニーの落差ある姿を思い出した。


「バーニー、あいつらに牛乳を飲ませてないだろうな。明日見に行って、ついでに餌をやるか。

ところでシステム、これって『サボり』難度の任務だよな? 任務難度ってどこに表示されてるんだ。見当たらないんだけど?」墨飛はパネル上で左右にスワイプした。


【現在、すべての任務モジュールに難度タグは表示されていません。システムは、宿主が難度差を判別する基礎知力を有していると判断しており、余計な表示は不要と考えます。】


「何だそれ。ユーザー体験の設計がひどすぎるだろ。低評価だ!」


墨飛は鉄インゴットを片づけ、ふと思いついた。「明日リリィが来るなら、作業台はどこに用意すればいい?」


彼は散らかった工房を見回した。まともに作業できそうな場所はなさそうだった。


「やっぱり、ひとまずあそこにするしかないか」

彼は振り返り、地下室へ向かった。


ヴィクトルが以前使っていた作業台には埃が積もり、机の上には空の薬瓶と包帯がまだ残っていた。


雑物を見ていると、彼は「完璧な獣耳」を研究していたあの怪医を思い出した。

「あいつ、うまくほとぼりを冷ましてるかな。どこかの暗い路地で死んでなきゃいいけど」


彼は考えを引き戻し、ゴミを片づけ、リリィのために空いた作業台を確保した。


片づけ終えるころには夜も更けていた。墨飛はあくびをし、立ち上がって二階へ寝に行った。


---


翌朝。

下城区の街路は、朝霧の中で少しずつ目を覚ましていった。


弱い陽光が斜めに工房へ差し込むのと同時に、木の扉がそっと押し開けられた。


リリィは相変わらず、あの大きな灰色のローブ姿で、顔色はわずかに白い。翠緑の幻獣瓶の中では、ハーブベアのモモがあくびをしていた。


「おはようございます」リリィの声はとても軽かった。

「おはよう」墨飛は眠そうな目をこすった。


リリィはノートを取り出した。「これは私が整理した一般的な濾過陣です。中には私の研究メモも少し入っています」


墨飛は顔を寄せた。紙面の精緻で複雑な幾何線と、びっしり書き込まれた注釈を見て、その目にかすかな驚きが走る。

「この資料、かなり詳しいな。前に開発局にいたころ、専門でこれを研究してたのか?」


「専門というほどではありません。開発局で見習いをしていたとき、何種類かの防護陣の拓本を整理しただけです。たとえばこの三級濾過陣は、微細な塵埃や有毒ガスの大半を遮断できます。ただし安定したエーテル供給と、一立方メートルあたり……」リリィは滔々と説明し始めた。


墨飛は頭が痛くなり、慌てて遮った。「わかったわかった。だいたい理解した。ただ、それは俺たちが今進めている方向とは少し違う。こうしよう。まず今の試作機を見せる」


墨飛は拒絶ランタンを取り出し、机の上に置いた。


「これが試作機ですか? なぜランタンの形に?」

リリィが不思議そうに尋ね、モモもガラスに張りついて外を覗いた。


「ええと……持ち運びやすいからだ。それに、起動方法とも少し関係がある」

墨飛は厨房から、緑のカビがびっしり生えた小さな酸っぱいチーズを探し出した。リリィの困惑した視線の中、そのチーズをランタンに押し込み、火をつける。


「チッ」という音とともに、ランタンはぼうっと弱い惨緑色の光を燃やした。

続いて、汗と革を三か月発酵させたような酸っぱい悪臭が広がった。


リリィは思わず眉をひそめ、手の甲で口と鼻を覆った。

幻獣瓶の中のモモは抗議するような悲鳴を上げ、肉付きのよい二つの熊掌で鼻をぎゅっと押さえた。


ランタンの光が覆う範囲では、机に積もった埃と空気中に漂う木屑が、まるで見えない壁に押されるように、強引に五メートル外へ押し出されていた。


「使っているのは反発場の原理だ」墨飛は鼻を押さえながら、くっきり分かれた無塵区域を指して説明した。「この試作機は、人が拒絶するものを投入することで起動できる。そこから排斥対象を指定して、浄化効果を達成するわけだ」


リリィは目を見開いた。「つまり……これは概念の転換応用ですか? 律令をこのような論理式で使えるなんて、初めて聞きました」


「野良式だけど、使える」墨飛は笑った。


二人が小声で議論していると、耳障りな「ぎいっ」という大きな音とともに、粗い木板でどうにか打ちつけられた扉板が大きく揺れた。


がっしりした体つきで、いつも粗布の作業服を着ている中年女性が入ってきた。


「墨飛坊や、今でも荷運びの仕事は受けてるかい?」


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