表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第13章 土と牙の試練

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
99/119

第099話 回収と改善

岩場に静寂が戻った。


5体の骸が転がり、灰褐色の鱗が陽光を弾いている。全員が荒い呼吸を整えながら、周囲の警戒を続けていた。


「怪我の状況を報告」


ユイが短く告げる。


「右腕に引っかき傷が。深くはないです」


カイルが袖をまくる。赤い線が3本、斜めに走っていた。


「私も少し。肩を掠められましたわ」


リリアが静かに答える。他は軽い打撲のみ。戦闘不能者はいない。


「セリス、処置を頼む」


「はいっ。まずカイルさん、こちらへ」


セリスが素早く包帯と回復薬を取り出す。水晶の杖は一度地面に置いた。野戦では魔法よりも手当てが早い。


ユイはその間に素材回収の準備を始める。書き付けを確認し、必要部位を整理する。


「鱗は関節付近から剥がす。魔核は胸腔の奥だ。道具は」


「あります」


エルザが解体用の小刀を差し出した。


作業に入ると、予想以上に刃が入らない。


鱗が硬い。厚い。


手順は合っている。それでも感触が重い。


「硬いですね……」


包帯を巻き終えたカイルが近づく。


「密度が高い。焦るな。力任せにやると割れる」


「了解です。手伝います」


カイルとエルザが加わり、3人で分担する。


1体ずつ丁寧に剥ぎ、魔核を取り出す。想定より時間がかかった。


「硬鱗9枚、魔核4個」


ユイが確認し、袋に収める。数はわずかに少ないが許容範囲だ。


作業が落ち着いたところで、リリアが口を開いた。


「先ほどの連携について、少しよろしいですか」


全員が顔を向ける。


「氷槍の凍結範囲が狭かった。岩が多い地形では広がりが制限されますわ。次は平らな場所へ誘導してから発動するべきです」


「……そうだな」


セイラが短く応じる。


「ハンスの重撃は、相手が動いた後では遅れる。凍結で止まった瞬間に振る。順番を厳密に」


「……承知した」


「エルザは日差しで影が薄かった。岩場でも濃い影はある。差し込む前に位置確認を」


「……分かった」


理論的だが押しつけがましくない。全員が自分の動きを振り返っている。


ユイは口を挟まない。


「他にあるか」


「連携の入りが少し遅れた。指示から動き出すまでに間がありました」


アイリスが言う。索敵を続けながら、全体を見ていた。


「改善点として保持。次で修正する」


「はいっ!」


カイルが力強く答える。


アイリスは立ち上がり、岩場の外縁を歩き始めた。索敵の習慣だ。


しばらくして戻る。


「ねえ、奥の方……気配がある」


「方向は」


「あっち。戦闘中から、ずっと」


ユイも同じ方向を見る。


遠い。質が掴めない。


敵意はない。


ただ、存在だけがある。


「今は動かない」


「確認しなくていいの?」


「消耗がある。余力がない状態で踏み込むのは悪手だ」


アイリスは少し考え、「そうだね」と頷いた。


荷をまとめ、次の目的地へ向けて準備を始める。


ユイは最後にもう一度だけ、奥を見た。


岩の影のさらに向こう。


そこに何かがいる。


姿は見えない。


だが確実に、


こちらを見ている。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

少しでも「面白い」「続きが気になる」と感じていただけましたら、

ブックマーク・評価・感想などで応援していただけると、とても励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ