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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第12章 素材集めへの準備

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第092話 アイリスの情報収集

朝、アイリスは街に出る準備をしていた。黒と紫のレザーアーマーを身につけ、小型ナイフを腰のベルトに差し込む。


「よし、行ってくるかー」


拠点の玄関に向かうと、エルザが立っていた。黒い軽装鎧に身を包み、無言でこちらを見ている。


「えっ、エルザも来るの?」


「…情報は重要だ」


短い答えに、アイリスは肩をすくめた。


「まあ、確かに。じゃあ一緒に行こうか」


二人は王都の街へ出た。朝の市場は活気に満ち、商人たちの声が飛び交っている。アイリスは慣れた足取りで人混みを抜けていった。


「まずは、いつもの情報屋だね」


路地を曲がり、古びた酒場の前で足を止める。看板は擦れて文字も読みにくい。


「ここ」


扉を開けると、昼間にもかかわらず数人の客がいた。カウンターには見覚えのある無精髭の男が座っている。


「よぉ、久しぶりだな」


「久しぶり! 元気してた?」


「まあな。で、今日は何だ?」


「最近、変わったことない?」


男は顎に手をやり、少し考え込んだ。


「変わったことか……冒険者の失踪が増えてる」


「失踪?」


「北の森と東の街道だ。死体も見つからない」


アイリスは眉をひそめた。


「魔物の仕業じゃないの?」


「それなら痕跡が残るはずだ。だが、何もない」


男は声を落とす。


「それと、素材の値段が上がってる。魔石や硬鱗が倍近い」


「素材か……」


アイリスは小さく頷き、銀貨を二枚置いた。


「ありがと。助かった」


「気をつけろ。何かが動いてる」


「分かってるって」


酒場を出た二人は、市場へ向かった。野菜や肉の露店が並び、人の流れが続いている。


「おばちゃん、最近どう?」


アイリスが野菜売りの老婆に声をかける。


「あら、アイリスちゃん。元気そうね」


「おばちゃんもね。最近、何か変わったことない?」


老婆は少し考えた。


「街道が危ないって話は聞くわね。商人が護衛を増やしてるとか」


「なるほどね」


「それと、ギルドが忙しそうよ。依頼が増えてるみたい」


「ありがと!」


アイリスは次々と人に声をかけ、情報を集めていく。エルザは終始無言で、その背後に立っていた。


「エルザ、何か気づいた?」


「…人が減っている」


「人?」


「街の人数が、以前より少ない」


アイリスは周囲を見回した。確かに、いつもより人通りがまばらに感じる。


「気のせいじゃなさそうだね」


二人は午後まで情報を集め、拠点へ戻った。


広間では、ユイとリリアが地図を広げていた。


「おかえり」


「ただいま! 色々集めてきたよ」


アイリスは簡潔に報告する。


「冒険者の失踪が増えてる。北の森と東の街道」


リリアが地図に印をつけた。


「それと、素材の価格が高騰してる。魔石や硬鱗」


ユイが考え込む。


「供給が減っているのか……」


「街道も危険らしい。護衛を増やしてるって」


エルザが補足する。


「…街の人も減っている」


リリアが息を呑んだ。


「人口減少……」


ユイは地図を見つめ、静かに言った。


「何かが動いているな」


「幻モンスターと関係してる可能性もあるわね」


「断定はできないが、無視はできない」


ユイは地図を閉じた。


「明日、ギルドで素材の情報を集める。装備強化の準備も進めよう」


「了解! また情報集めるよ」


「…そうだ」


夜、アイリスは自室の窓から外を見ていた。冒険者の失踪、素材の高騰、街の人口減少。


偶然ではない。


「退屈しないね」


小さく笑い、月を見上げた。雲に隠れた月は、何かを予感させるように淡く光っていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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