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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第11章 束の間の日常

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第082話 街への買い物・前編

昼を過ぎた頃、クラウンのメンバーは拠点前に集まっていた。


「全員揃ったな」


ユイが短く確認する。


「はい!」


カイルが元気よく答え、アイリスが軽く跳ねる。


「久々の街歩きだねー!」


「楽しみですわ」


リリアが穏やかに微笑む。エルザは無言で頷き、セイラは淡々と立っている。ハンスは壁際に静かに佇み、セリスは明るい表情を浮かべていた。


ティリアス市街は、平日の午後らしい落ち着いた活気に満ちている。石畳の通りを進みながら、ユイは全員に指示を出した。


「二人一組で行動する。必要なものがあれば買っておけ」


「了解です!」


「わかったー!」


それぞれが頷く。


「カイルとエルザは武器屋へ」


「はい!」


カイルが即座に応じ、エルザは無言で肯いた。


「リリアとセイラは魔法触媒の店」


「承知いたしましたわ」


「……そう」


「セリスとアイリスは食材市場」


「はーい!」


「了解だよー!」


「ハンスと私は防具屋を見てくる」


「……承知した」


「夕方に拠点で合流だ」


全員が了解し、街の中へ散っていった。


カイルとエルザは、市街東側の武器屋街へ向かう。並ぶ店先から、金属の匂いと打ち直された刃の気配が漂っていた。


「エルザさん、何か見ますか?」


歩きながらカイルが尋ねる。


「……見るだけ」


エルザは短く答え、足を止めない。


武器屋に入ると、壁一面に剣、槍、斧が整然と並んでいた。カイルは思わず目を輝かせ、大剣の並ぶ一角へ向かう。


「おお……!」


手に取り、重さと重心を確かめる。


「この重量配分、いいですね」


感心したように呟くカイルの横で、エルザは静かに短剣の棚へ移動していた。


一本ずつ視線を走らせ、時折手に取って重さを確かめる。刃の角度、柄の感触、わずかな歪みまで見逃さない。


「いらっしゃい」


店主が声をかけてきた。初老の男で、鋭い目をしている。


「そっちのお嬢さん、目が利くね」


エルザは答えず、短剣を元の位置に戻した。


カイルが驚いたように振り返る。


「えっ、エルザさんって武器に詳しいんですか?」


「……当然だ」


短い返答だった。


「すごいですね。全然知りませんでした」


「……知る必要もない」


エルザは淡々と言い、次の短剣を手に取る。


店主が興味深そうに近づく。


「暗殺者か何かかい?」


エルザは沈黙したまま、刃を光に透かす。


「まあいい。その目は本物だ。気に入ったら声をかけな」


エルザは小さく頷いた。


一方、カイルは大剣を見つめながら呟く。


「でも、今は買う余裕がないな……」


「……見るだけでいい」


「そうですね。今日は見るだけにします」


カイルは名残惜しそうに剣を戻し、他の武器にも目を向けた。


エルザは短剣だけでなく、投擲用の刃や仕掛けのある武器にも視線を走らせている。


「エルザさん、普段から手入れしてるんですか?」


「……毎日」


「すごいですね」


「……当たり前だ」


それだけ言って、最後の一本を戻す。


「また来な」


店主の声に、エルザは軽く頷いて店を出た。


「待ってください、エルザさん!」


カイルが慌てて後を追う。


「意外と武器が好きなんですね」


「……好きじゃない」


「え?」


「……必要だから、知っているだけだ」


カイルは納得したように頷いた。


二人は次の武器屋へ向かう。エルザの表情は変わらない。ただ、その足取りはわずかに軽かった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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