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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第11章 束の間の日常

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第081話 休息の朝

カオスナイトとの戦いから、数日が経った。


クラウンの拠点であるティリアス市街の小さな邸宅は、朝の光に包まれて静まり返っていた。いつもならユイが全員を起こし、訓練へ向かう時間だが、今朝は違う。


ユイはゆっくりと階段を降りる。足音が静かな廊下に響くだけだ。


食堂に入ると、すでにセリスが朝食の準備をしていた。


「おはようございます、ユイさん!」


明るい声で振り返るセリスの青い髪が、朝日に照らされて揺れる。


「おはよう」


ユイは短く答え、席についた。


「今日は、少しゆっくりですね」


「ああ。たまには休んでもいいだろう」


「そうですね。みんな、疲れてますもんね」


セリスは笑顔で頷き、フライパンを動かす。香ばしい匂いが食堂に広がった。


やがて、他のメンバーも次々と姿を現す。


カイルは早朝訓練を終えたばかりのようで、額に汗を浮かべている。


「おはようございます!」


「朝から訓練か」


「はい。体を動かさないと落ち着かなくて」


少し照れたように笑うカイルに、ユイは何も言わず頷いた。


「……おはよう」


低い声とともにエルザが席につき、無言で窓の外を眺める。


「おはようございますわ」


リリアが優雅な動作で椅子に座る。銀髪が朝日を受けて淡く光った。


「……そう」


セイラは短く言葉を落とし、静かに腰を下ろす。


「おーい、おはよー!」


元気な声とともに、アイリスが階段を駆け下りてきた。


「遅いぞ、アイリス」


「いやー、久々にゆっくり寝られたからさ!」


最後に、ハンスが静かに現れる。巨体が食堂に入ると、空気がわずかに引き締まった。


「……そうだ」


短くそう言って、壁際に立つ。彼の体格では、椅子は使えない。


全員が揃うと、セリスが料理を運んできた。


「できました! みんなで食べましょう!」


温かいスープと焼きたてのパン、野菜の炒め物が並ぶ。


「いただきます」


久しぶりに、戦いを考えずに迎える朝だった。


食事の途中、カイルがユイに尋ねる。


「今日は、どうしますか?」


ユイは少し考え、短く答えた。


「今日は、何もしない日にしよう」


その一言に、場の空気がわずかに動く。


セイラは無表情のまま視線を向け、ハンスは黙って頷いた。リリアは少し驚いたように首を傾げる。


「……本当に、何もですか?」


「ああ。休息も必要だ」


「そうですね。確かに」


アイリスが笑う。


「じゃあ街でも散策する?」


「それもいいな」


「私も行きます!」


セリスが元気に手を上げた。


「……そうね」


エルザが小さく呟く。


カイルが少し不安そうに聞く。


「訓練はしなくても大丈夫ですか?」


「一日くらい、問題ない」


朝食を終え、ユイは全員を見渡した。


「午後から街に出る。それまでは自由行動だ」


それぞれが頷き、思い思いに動き出す。


ユイは食堂に残り、窓の外を眺めた。


穏やかな朝。戦いのない時間。


前の人生で、こんな日があっただろうか。


ユイは静かに息を吐く。


「……装備の確認だけは、しておくか」


休息の日でも、油断はしない。それが、今の自分だった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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