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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第10章 シャドウ・ヴェール

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第79話 疑念の報告

シャドウ・ヴェールの拠点へ、5人が戻ってきた。

石造りの地下施設。薄暗い通路に、重い足音が響く。


出撃時は15人だった。

だが、帰還したのは5人のみ。


拠点に残っていた観察者たちが、その光景を見て息を呑む。


「15人で行ったはずだろ……?」

「ガルスは……他の精鋭たちはどうした……」


黒いローブの集団が、ざわめいた。


レイナとユーリは俯いたまま、何も言えなかった。

レイナの目は赤く腫れ、涙の跡が残っている。

ユーリは弓を強く握りしめたまま、立ち尽くしていた。


ザインは無表情だった。


「上司へ報告する」


それだけ告げ、ザインは奥へ歩き出す。

ミラとドレイクも無言で続いた。


上司の部屋。

石造りの室内に、魔法の明かりが静かに揺れている。

深いフードを被った人物が、椅子に腰掛けていた。


「……報告しろ」


低く、威圧的な声。


ザインが一歩前に出る。


「カオスナイトは、想定を大きく上回る戦闘能力を持っていました」

淡々とした口調。

「戦術が通用せず、対応が後手に回りました」


沈黙が落ちる。


「……10人を失った、ということか」


「はい」

「ガルスも、戦死しました」


一瞬、空気が止まった。


「……ガルスが、か」


長い沈黙。

やがて、上司は低く言った。


「なぜ、ユイ・セイラスたち8人は生還できた。

 それに対し、我々の精鋭は壊滅した」


鋭い問い。


ザインは一瞬だけ視線を伏せ、すぐに戻す。


「……あの冒険者たちは、幻モンスターについて、我々より多くを知っている可能性があります」


「知っている、だと」


「我々が把握していない特性、あるいは対処法を」


再び沈黙。


「……引き続き監視を続けろ」

上司は静かに命じた。

「同時に、調査を進める」


「了解しました」


ザインは一礼し、部屋を後にした。


廊下では、レイナとユーリが待っていた。

2人とも、明らかに疲弊している。


レイナが震える手で目元を拭った。


「私たち……何もできませんでした……」


ユーリは俯いたまま呟く。


「俺の索敵が……間違ってたのかもしれない……」


ザインが近づく。


「仕方ない。相手が規格外だった」


表向きは淡々とした慰め。


ミラが柔らかく言った。


「あなたたちの責任じゃないわ。誰にも予測できなかった」


ドレイクは黙って頷く。


レイナとユーリは、その言葉にわずかに救われたようだった。


「……ありがとうございます」


2人はその場を離れていく。


姿が見えなくなると、残ったのは3人だけだった。


ミラが小さく笑う。


「順調ね」


「……ああ」


ドレイクが短く応じる。


ザインは無表情のまま、内心で整理する。


上司派の主力は壊滅。

計画通りだ。


ガルスの戦死で、上司派の統率は崩れた。

組織の均衡は、すでに失われている。


次は――上司。


「行くぞ」


ザインが言う。


「次の準備だ」


3人は静かに歩き出し、拠点の奥へと消えていった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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