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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第9章 真の力と覚悟

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第070話 超重装甲と氷魔法

第070話 超重装甲と氷魔法


ハンスが前に出た。


巨大な盾を構え、ハンマーを手にしている。

石と金属の融合体であるその体が、朝日を受けて鈍く光った。


「石壁」


低い声と同時に、地面が隆起する。

高さ約2メートル、幅約3メートル。

高い防御力を持つ石の壁が、前方に立ち上がった。


リリアが魔法で石を飛ばす。

石は壁に当たり、弾かれた。

ひびすら入らない。


「持続時間は約1分だ」


ハンスが説明する。


セイラが壁を見た。


「防御力は高いな」


「ただし、範囲が狭い」


ハンスは淡々と認める。


壁は前方のみを守る。

側面や背後からの攻撃には対応できない。


やがて、石壁が消えた。


次に、ハンスはハンマーを両手で握る。

ゆっくりと振り上げる。


動きは遅い。


「重撃」


振り下ろされたハンマーが地面に叩きつけられる。

鈍い音が響き、地面が砕け、小さな穴ができた。


威力は高い。

だが、やはり動きは遅かった。


カイルの剛力斬より、さらに遅い。


ハンスはハンマーを下ろす。


「威力はあるが、遅い。超重装甲の代償だ」


ユイは頷いた。


ハンスの欠点は明確だ。

動きが遅い。

そして、指示がなければ踏み込めない。


だが、その防御力は圧倒的だった。


「ありがとうございます」


ハンスは元の位置に戻る。


最後は、セイラだ。


セイラが前に出る。

白と青が混じった長髪が風になびき、吐く息が白い。

氷の杖を手にしている。


「氷槍」


杖を掲げると、空中に氷の槍が生成された。

長さ約1メートル。鋭く、冷気を放っている。


セイラが杖を振るう。

氷槍が約20メートル先のダミーへ飛んだ。


突き刺さった瞬間、ダミーが凍り付き、ひび割れる。


威力は高い。

だが、槍の周囲の地面まで凍っていた。


範囲が広く、制御が荒い。


ハンスが眉をひそめる。


「周囲を巻き込むな」


「分かっている」


セイラが冷たく答える。


「だが、制御は難しい」


火力特化の代償だ。

魔力消費が激しく、地形や味方を巻き込みやすい。


続けて、セイラは別の魔法を準備する。


「凍結」


杖を向けられた別のダミーが、一瞬で凍り付いた。

氷に覆われ、完全に動きを止める。


持続時間は約30秒。

ただし、対象は1体のみだ。


セイラは杖を下ろす。


「これが私の技だ」


圧倒的な火力。

だが、制御が荒く、単独行動を好む。

連携を信用していない理由が、はっきりと見えた。


ユイは全員を見渡す。


8名全員の技が確認できた。

それぞれに強みがあり、弱点がある。


「ありがとうございました」


ユイは深く頭を下げた。


「では、連携パターンを組みましょう」


セイラが腕を組む。


「連携?」


「はい」


ユイは頷く。


「8名で戦うためには、役割分担と連携が必要です」


ハンスが低い声で尋ねる。


「どういう連携だ?」


「まず、パターンAです」


ユイは説明を始めた。


「ハンスさんとカイルが前衛」


「残り6名が後衛」


「ハンスさんの石壁で時間を稼ぎ、カイルの盾で攻撃を防ぐ」


「その間に、後衛が攻撃と回復を行います」


カイルが頷く。


「分かりました」


ハンスも頷いた。


「次に、パターンBです」


ユイは続ける。


「セイラさんの大技使用時、全員が後退」


「範囲が広いため、巻き込まれないよう距離を取ります」


セイラが眉をひそめる。


「私1人で戦うのか?」


「いいえ」


ユイは首を振った。


「攻撃の瞬間だけです」


「その後、すぐに全員で押し込みます」


セイラは黙って聞いている。


「最後に、パターンCです」


「私とアイリスが側面支援」


「リリアとセリスが回復担当」


「エルザが奇襲」


「ハンスさんとカイルが前衛を固める」


「セイラさんが火力を提供します」


ユイは全員を見た。


「これが基本の連携パターンです」


リリアが尋ねる。


「実際に試してみる?」


「はい」


ユイは頷いた。


「まず、パターンAから」


8名が配置につく。


ハンスとカイルが前に出る。

残り6名が後方へ下がる。


「ハンスさん、石壁を展開してください」


「了解」


石壁が前方に現れる。


「カイル、盾を構えて」


「はい」


「リリア、魔力増幅をセイラさんに」


「分かったわ」


光がセイラを包む。


「セリス、待機」


「はい!」


「アイリス、エルザ、側面へ」


2人が素早く移動する。


「セイラさん、攻撃魔法を準備」


「分かった」


氷槍が生成される。


連携が、少しずつ形になっていく。


ユイは全員の動きを見ていた。

まだぎこちない。

だが、悪くない。


「一度、解除します」


全員が元の位置へ戻る。


ハンスが低く言った。


「悪くない」


セイラも頷く。


「思ったより、動けるな」


カイルが笑った。


「もっと練習すれば、うまくいきそうですね」


リリアが微笑む。


「そうね」


ユイは安堵した。


8名での連携。

それが、形になり始めている。


「では、次はパターンBを試しましょう」


訓練は続く。

何度も、何度も繰り返す。


やがて、ユイが声をかけた。


「今日はここまでです」


「明日も、訓練を続けます」


セイラが眉をひそめる。


「何日やる?」


「最低でも7日間です」


ユイは答えた。


「幻モンスター相手です。生半可な訓練では、全滅します」


全員が沈黙した。


ハンスが低い声で言う。


「7日間か」


「はい」


ユイは頷く。


「それでも足りないかもしれません」


「ですが、形にはなります」


カイルが真剣な顔で言った。


「分かりました。頑張ります」


リリアも頷く。


「私も」


全員の表情に、覚悟が浮かんでいた。


明日から、本格的な訓練が始まる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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