第066話 全員集合
5日後。
クロウフォールの拠点、広間。
8名が揃っていた。
ユイ、カイル、リリア、アイリス、セリス、エルザ、ハンス。
そして、セイラ・アイスブレス。
「来てくれたんですね」
ユイが笑顔で迎える。
「ああ」
セイラが短く答えた。
「考えた結果、やってみることにした」
「ありがとうございます」
ユイは深く頭を下げる。
「では、改めて全員で集まりましょう」
8名が広間のテーブルを囲む。
ユイが中央に立った。
「今日は、クロウフォールの本当の目的を話します」
空気が引き締まる。
リリア、カイル、アイリス、セリス、エルザはすでに知っている。
幻モンスターを討伐する。
それが、クロウフォールの目的だ。
だが、ハンスとセイラは知らない。
「私たちの目的は、幻モンスターの討伐です」
ハンスとセイラが、一瞬だけ動きを止めた。
数秒の沈黙。
セイラが小さく笑う。
「本気か?」
「はい」
ユイは真剣な目で答える。
「幻モンスターを?」
ハンスが低い声で尋ねた。
「はい」
「倒せぬ存在を、討伐する?」
「その通りです」
ユイは頷く。
セイラが腕を組む。
「それが、お前たちの目的だったのか」
「はい」
「馬鹿げてる」
セイラが冷たく言った。
「幻モンスターは倒せない。だから幻モンスターなんだろう」
「確かに、世界ではそう言われています」
リリアが口を挟む。
「ですが、私たちは本気です」
「本気?」
セイラが眉をひそめる。
「ああ」
ユイが頷く。
「俺たちも、その目的で集まった」
カイルが言った。
「最初から、そう聞いていた」
「私も」
アイリスが続く。
「私もよ」
セリスが明るく言った。
「私も同じ」
エルザが短く答える。
ハンスとセイラは黙っている。
セイラが鋭い目でユイを見た。
「証拠はあるのか?」
広間に沈黙が落ちる。
証拠。
それを求められるのは当然だった。
幻モンスターを討伐する。
あまりにも途方もない目標だ。
リリア、カイル、アイリス、セリス、エルザも黙っている。
彼らも証拠を持っていない。
ユイの言葉を信じて、集まった。
それだけだった。
「証拠がなければ、考える気もない」
セイラが続ける。
「俺は幻モンスターなんて見たこともない」
「倒せるという証拠がなければ、意味がない」
「俺も同じだ」
ハンスが低い声で言った。
「倒せぬ存在を討伐する。それが本当なら、何か根拠があるはずだ」
ユイは深く息を吸った。
証拠。
それを示せるのは、ユイだけだ。
前世の記憶。
カオスナイトを討伐した経験。
だが、それは語れない。
信じてもらえないし、理解もされない。
ならば、別の形で示すしかない。
「証拠があります」
ユイが静かに言った。
全員の視線が集まる。
「私は、カオスナイトの情報を持っています」
「カオスナイト?」
セイラが繰り返す。
「はい。幻モンスターの1体です」
「それが証拠か?」
「詳細な情報です」
ユイは続けた。
「戦闘パターン、能力、弱点。すべて知っています」
リリアが息を呑む。
「ユイ、それは……」
「どこで手に入れた?」
カイルが尋ねる。
「それは言えません」
ユイは首を振った。
「ですが、確かな情報です」
セイラが腕を組む。
「本で読んだ知識じゃないのか?」
「本には書かれていません」
リリアが答える。
「古文書を調べましたが、カオスナイトの詳細な能力は記録されていません」
「幻モンスターは伝説の存在です」
「詳細な戦闘パターンなど、誰も知りません」
「なら、どうやって知った?」
ハンスが尋ねる。
「それは言えません」
ユイは繰り返した。
「ですが、信じてください」
セイラが鋭い目でユイを見据える。
「信じろと言われても……」
「聞いてください」
ユイは一歩前に出た。
「カオスナイトは、闇属性の幻モンスターです」
全員が黙って耳を傾ける。
「能力は3つ」
「1つ目、闇の領域。周囲を闇で覆い、視界を奪います」
「2つ目、影の分身。自分の分身を最大5体まで生成します」
「3つ目、闇の剣。触れた者の魔力を吸収する剣を持っています」
セイラとハンスは黙って聞いている。
リリアたちも真剣だ。
「弱点は2つ」
「1つ目、光魔法。闇の領域を打ち消せます」
「2つ目、本体を見極めること。分身は本体より動きが遅い」
「戦闘パターンは4段階」
「第1段階、闇の領域を展開」
「第2段階、影の分身を生成」
「第3段階、闇の剣で攻撃」
「第4段階、魔力を吸収し、自己再生」
「討伐方法は、光魔法で闇の領域を打ち消し、本体を見極め、魔力吸収前に倒すことです」
ユイは一息に語り終えた。
広間に、重い沈黙が落ちる。
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