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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第6章 クラウンという選択

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第047話 拠点の始まり

翌朝、ユイは拠点へ向かった。

門をくぐると、すでにリリアとカイルが掃除を始めている。窓を開け、こもっていた空気を外へ逃がしていた。


「おはよう」


リリアが手を振る。


「おはようございます」


ユイも掃除道具を手に取り、作業に加わる。ほどなくして、セリス、アイリス、エルザも次々と到着した。


6名で手分けして作業を進める。

1階の広間を中心に埃を払い、床を磨く。厨房の古い食器を洗い、倉庫を整理する。人の手が入るだけで、拠点は少しずつ息を吹き返していった。


昼過ぎには、ひとまず形になってきた。


「2階も見ましょう」


ユイが階段を上る。

2階には個室が10部屋以上並んでいた。古い宿か、使用人たちが暮らしていた場所だったのだろう。


「部屋、たくさんあるね!」


セリスが覗き込む。


「全員、ここに住めますね」


カイルが言った。


「拠点常駐です」


ユイは頷く。


「基本的にここで生活します。ただし、外泊は自由。義務ではありません」


「それがいいわね。縛られすぎると動きにくいもの」


リリアが納得したように言う。


「私、たまに帰ってこない日あるかも!」


アイリスが笑った。


「必要な時はいる」


エルザが短く言う。


ユイは部屋を見渡した。


「各自、好きな部屋を選んでください」


それぞれが部屋を見て回る。

ユイは東向きで簡素な部屋を選んだ。整理しやすく、余計な物を置かずに済む。


リリアは資料を広げやすい広めの部屋。

カイルは武具を置きやすい部屋。

セリスは水魔法の道具を並べられる部屋。

アイリスは窓の多い部屋。

エルザは奥まった、気配を消しやすい部屋を選んだ。


「決まりましたね」


ユイが1階に戻ると、全員が集まっていた。


「まず、拠点のルールを決めます」


広間の中央に立つ。


「1つ目。拠点は自由に使えます。ただし、整理整頓は各自で」


全員が頷く。


「2つ目。依頼は全員で受けるか、個別で受けるかを事前に相談します」


「情報共有が大事ね」


リリアが補足する。


「3つ目。緊急時は、可能な限り拠点に集合します」


「了解です」


カイルが頷いた。


「4つ目。クラウン費用と個人報酬の分配について」


ユイは続ける。


「依頼報酬は、まずクラウン費用として拠点維持費、武具、食費などに充てます。残りを個人報酬として分配します」


セリスが手を挙げた。


「どのくらいの割合?」


「クラウン費用3割、個人報酬7割を基本とします」


「じゃあ、私が買い出し担当するよ!」


アイリスが軽く言う。


「安い店、知ってるし!」


「警備は任せろ」


エルザが短く告げた。


「5つ目。幻モンスターに関する情報があれば、優先的に調査します」


ユイは表情を引き締める。


「目撃情報、古文書、噂。どんな些細なことでも構いません。見つけたら共有してください」


「現地調査も?」


リリアが尋ねる。


「はい。必要なら現地へ向かいます。それがクラウンの目的です」


「分かりました」


カイルが頷く。


「私も情報集めるね!」


セリスが明るく言う。


「情報屋の本領発揮だね」


アイリスがニヤリと笑う。


「裏も探る」


エルザが短く言った。


ユイは全員を見渡す。


「他に意見はありますか?」


しばらく沈黙が続いたが、異論は出なかった。


「では、これで決定します」


全員が頷く。


「次は、依頼です」


ユイはギルドから受け取った依頼書を広げた。


「どれを受けますか?」


「魔物討伐、護衛、物資運搬……どれも基本的な依頼ね」


リリアが目を通す。


「どれから始めるのがいいですか?」


カイルが尋ねる。


「この討伐依頼にします」


依頼書には、王都近郊の森でフォレストトレントが出現していると記されていた。


「フォレストトレント。推奨レベル24、討伐ランクC」


「古森に生息する樹木型魔物。動きは遅いけど、防御力が高い」


リリアが説明する。


「火が効く」


エルザが短く言う。


「明日、出発します。今日は装備の確認と拠点の整備を続けましょう」


全員が散り、それぞれの部屋で準備を始めた。


夕方になると、厨房から香りが漂ってくる。


「みんなー! ご飯できたよー!」


セリスの声に、全員が広間へ集まった。

テーブルにはパン、スープ、焼いた肉が並んでいる。


「いただきます」


6名が食卓を囲む。

初めて、全員揃っての食事だった。


「こうして食べると、本当に組織って感じがしますね」


カイルが笑う。


「そうね。これから、ここが拠点になるのね」


リリアが微笑む。


「楽しくなりそう!」


アイリスがパンをかじる。


エルザは黙って食べているが、拒む様子はない。


「みんなで食べるご飯、美味しいね!」


セリスが嬉しそうに言った。


ユイは全員を見渡す。

前世では一人だった。今は違う。


「明日から、本格的に始まります」


ユイは静かに告げた。


「よろしくお願いします」


全員が頷く。


食事を終え、それぞれが部屋へ戻っていく。

ユイは広間に残り、窓の外を見た。


夜が近づき、月が昇り始めている。


拠点がある。仲間がいる。


ユイは深く息をついた。


明日、最初の依頼に出る。


自室へ戻り、簡素なベッドに腰を下ろす。装備を確認し、短剣を磨く。

窓の外には、静かな森が広がっていた。


ユイは横になった。体は疲れているが、心は落ち着いている。


ここから、本当に始まる。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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