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エターナル・リアルム 〜20年後の知識でやり直したら、世界が想定外に歪み始めた〜  作者: たくわん。
第6章 クラウンという選択

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第045話 西の街道

午後、ユイは宿で装備を整えていた。

短剣2振りを腰に下げ、回復薬をベルトに差す。黒銀の軽装鎧を身につけ、動きを確かめる。問題はない。


窓の外を見る。空は澄み渡り、雲も少ない。

西の街道へ向かうには、申し分のない天候だった。


ユイは部屋を出た。


ギルド前に着くと、すでに全員が揃っていた。

カイルは銀のプレートアーマーに大剣と盾。リリアは緑金のローブに長杖。アイリスは黒紫のレザー装束に複数のナイフ。セリスは水色の軽鎧と水晶杖。エルザは黒い軽鎧に短剣と投擲武器。


「全員揃いましたね」


リリアが穏やかに微笑む。


「では、行きましょう」


ユイが先頭に立ち、6名は王都の西門へ向かった。


門をくぐると、石畳の街道が西へ延びている。両脇には畑が広がり、農夫たちが作業に勤しんでいた。


「魔物の群れって、どのくらいの規模なんですか?」


カイルが尋ねる。


「依頼書によると、10体前後です」


「種類は?」


エルザが短く聞いた。


「赤目の狼。群れで行動する魔物です」


アイリスが肩をすくめる。


「赤目の狼なら、そんなに強くないよね」


「油断はできません」


ユイは前を見据えた。


「群れで連携してきます。こちらも連携が重要です」


全員が頷く。


街道を進み、1時間ほど経つと、道の先に商隊が止まっているのが見えた。馬車が3台並び、商人たちが荷を確認している。


近づくと、1人の商人が顔を上げた。


「冒険者の方ですか?」


「はい。ギルドの依頼で来ました」


ユイが答えると、商人は安堵した表情を見せる。


「助かります。魔物が出てから、街道が通れなくて」


「どこで出ましたか?」


「この先、森の近くです。昨日も襲われました」


商人が西を指差す。


「ありがとうございます」


6名はさらに街道を進んだ。やがて、道の両脇に森が迫ってくる。


ユイは手を上げて足を止めた。


「ここからは警戒します」


全員が武器を構える。

ユイとカイルが前衛。後方にリリアとセリス。アイリスは上空へ舞い、エルザは影に溶けるように側面へ回った。


陣形を保ったまま進む。


森の奥から、低い唸り声が響いた。


「来ます」


ユイが短剣を抜く。


森から飛び出してきたのは、赤い目をした灰色の狼だった。3体。さらに奥から、複数の気配が伝わってくる。


「前衛、受け止めます」


カイルが盾を構え、飛びかかる狼を弾き返す。


ユイは側面へ回り込み、短剣を振るう。刃が狼の喉を裂き、血を噴いて倒れた。


「後ろから来るよ!」


上空のアイリスが叫ぶ。


振り返ると、さらに5体の狼が迫ってきていた。


「セリス、リリア、後方警戒!」


「任せて!」


セリスが水晶杖を振ると、水の壁が生まれ、狼の動きを鈍らせる。

同時に、リリアが治癒魔法を展開し、全員の消耗を補った。


影から現れたエルザが、狼の背後に短剣を突き立てる。抵抗する間もなく、狼は崩れ落ちた。


「まだいる!」


アイリスの投げナイフが空を切り、狼の脚に突き刺さる。動きが止まったところへ、カイルの剣が振り下ろされる。


ユイも間合いに入り、短剣で確実に仕留めていく。


連携は機能していた。


やがて、最後の狼が地に伏す。


全員が一度、呼吸を整えた。


「全員、無事ですか?」


ユイの問いに、全員が頷く。


「連携、良かったですね」


カイルが笑う。


「うん! みんな、ちゃんと役割果たしてたよ!」


アイリスが地上へ降りる。


「でも、まだ油断は禁物ね」


リリアは周囲に視線を走らせる。


ユイも同感だった。

10体前後という情報に対し、実際は8体。誤差の範囲だが、油断は禁物だ。


「戻りましょう。ギルドに報告します」


全員が頷き、街道を引き返す。


商隊の前を通ると、商人たちが深く頭を下げた。


「ありがとうございました!」


「気をつけてください」


短く返し、王都への道を歩く。夕日が背中を照らしていた。


「初めての依頼、成功ですね」


カイルが満足そうに言う。


「報告が終わるまでは、まだです」


ユイは前を見据えた。


連携は悪くない。

だが、これは簡単な依頼だった。本当の試練は、これからだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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