第044話 全員集合
翌朝、ユイはギルドへ向かった。
約束の時間より少し早く到着する。受付にはソフィアの姿があったが、まだ声はかけない。全員が揃うまで、外で待つことにした。
ギルドの前で待っていると、最初に現れたのはリリアとカイルだった。
「おはよう」
リリアが微笑む。
「おはようございます」
次に姿を見せたのはセリスだ。水色の軽鎧を身につけ、水晶の杖を手にしている。
「おはよー! 今日が正式な日だね!」
続いて、アイリスがひらりと現れた。黒紫のレザー装束に、複数のナイフを携えている。
「みんな揃ってきたー!」
最後に現れたのはエルザだった。影から歩み出るように、静かに姿を現す。黒い軽鎧に短剣、腰には投擲武器。
「全員か」
低い声でエルザが言う。
ユイは6名を見渡した。
「初めて顔を合わせる人もいます。改めて自己紹介をしてください」
カイルが一歩前に出る。
「カイル・ヴァルディス。前衛剣士です。盾役もやります。よろしくお願いします」
リリアが軽く頷いた。
「リリア・エインセル。治癒支援と分析を担当します」
アイリスが手を振る。
「アイリス・フェンネル! 情報屋で偵察役! よろしくー!」
セリスが明るく笑う。
「セリス・アクアノート! 水魔法と回復を担当するよ! みんな、死なせないからね!」
エルザは短く言った。
「エルザ・ナイトハート。暗殺と奇襲」
最後にユイが口を開く。
「ユイ・セイラス。前衛短剣を使います。リーダーを務めます」
全員が静かに頷いた。
ユイは改めて6名を見渡す。
「本気で幻モンスター討伐を目指します。ついてきてくれますか?」
「当然です」
カイルが即答する。
「私の好奇心が許さないわ」
リリアが腕を組む。
「面白そうだから」
アイリスが笑った。
「みんなを守ります!」
セリスが杖を掲げる。
「退屈しなさそう」
エルザが短く言う。
ユイは頷いた。
「ありがとうございます」
前衛はカイルと自分。回復はリリアとセリス。偵察はアイリス、暗殺はエルザ。では
「組織名を決めます」
ユイの言葉に、全員の視線が集まる。
「何がいいですか?」
「かっこいい名前がいいな!」
アイリスが手を挙げる。
「目的が分かる名前がいいと思います」
カイルが言う。
「幻って入れると、信じてもらえなさそう」
セリスが首を傾げた。
「死を恐れない名前がいい」
エルザが静かに告げる。
「前線に立つ覚悟を示す名前ね」
リリアが頷く。
ユイは少し考え、答えた。
「クロウフォール」
全員が顔を上げる。
「死を忌避せず、最前線へと降り立つ者たちの名です。幻モンスター討伐を目的とし、表と裏を問わず必要な手段を取る」
「いい名だ」
エルザが頷く。
「覚悟が伝わるわね」
リリアが微笑む。
「クロウフォール……いいですね」
カイルが拳を握る。
「決まりだね!」
アイリスが笑い、セリスも大きく頷いた。
「では、ギルドへ」
6名は揃ってギルドの中へ入る。受付のソフィアが顔を上げた。
「皆さん、揃いましたね」
「はい。クラウン結成について相談したいです」
ユイが前に出る。
ソフィアは書類を取り出した。
「条件を確認します。最低6名、明確な目的、拠点の確保、ギルドマスターの審査です」
「6名は揃いました。目的は幻モンスター討伐です」
ソフィアの手が止まる。
「拠点は?」
「まだ確保していません」
「拠点がないと正式認可はできません。それから」
冒険者証を確認し、続ける。
「Eランクが2名います。クラウン結成には、全員がDランク以上である必要があります」
「Dランクに上がるには?」
「依頼をこなして実績を積むことです。ただし、ギルドマスターが特別依頼を出す場合があります」
「特別依頼?」
「今、執務室にいらっしゃいます」
ユイは全員を見た。全員が頷く。
6名は執務室へ向かい、扉をノックした。
「入れ」
低い声が返る。
中にはギルドマスター、グレンがいた。白混じりの茶髪に鋭い眼光、筋骨隆々の体格。
「6名か。話は聞いている」
立ち上がり、続ける。
「クラウン結成を目指しているそうだな。目的は幻モンスター討伐。本気か?」
「本気です」
「だが条件が足りない。拠点がない。Eランクが2名いる」
「承知しています」
「なら、こうしよう」
グレンは地図を広げた。
「西の街道で魔物の群れが出ている。商隊が被害を受けた。この討伐が成功すれば、EランクをDランクに昇格させる。拠点もギルドで物件を紹介しよう」
「分かりました」
「期限は3日だ。討伐して報告しろ」
「了解しました」
執務室を出ると、カイルが尋ねた。
「すぐ向かいますか?」
「準備してから行きます。午後に出発しましょう」
全員が頷いた。
ユイは西の空を見た。
最初の依頼。これを越えれば、クロウフォールは正式に動き出す。
「では、午後、ギルド前に集合」
それぞれが散っていく。ユイは宿へ戻り、装備を確認した。
ここから、本当に始まる。
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